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「エイトのあんな顔は見てられん」


木の影から声が帰ってくると、カズキが姿をあらわした。


「お前さぁ…」


呆れてカズキを見つめると


「腕輪が壊されたんだ!何かあったのかと思うだろ!」


カズキがずんずんとそばに寄るとダレンの体を確認する…


「この程度なら…傷を少し治して魔力分けてやりゃどうにかなるだろ」


カズキは軽く回復魔法をかけるとほんの少しだけ魔力を分け与える…それだけでダレンの顔色が戻ってきた。


「これで大丈夫だろ…」


「でもそいつがエイトを傷つけたらどうするんだよ…一度そいつらに捕まったんだぞ」


「その時はもう一回生き返った事を後悔させるまでだ」


カズキはニヤッと笑う。


「お前の方が悪役のようだな…」


ラルクが苦笑いしていると


「じゃあエイトが戻ってくる前に行くわ、後はよろしく頼むぞ!」


「すまなかったな…預かってる大切な子を危険な目に合わせて」


「男の子だから、少しぐらいの冒険はしないと思ってお前に預けたんだ…俺こそ信じないで来ちまって悪かったな」


カズキは笑うと


「もう何があっても来ないから…頼む…」


カズキが頭を下げると…ガシッ!


カズキの腕を何かが掴んだ。


「えっ…」


見るとダレンが意識を戻してカズキの腕を掴んでいた。


「ま…って…あなたが…あの子の…おじいちゃん…ね…」


まだ傷が痛むのか顔をしかめながら息も絶え絶え話している。


「なんで…助けた…」


「お前の為じゃない、エイトの為だ。あの子を泣かせたくないからな」


「泣…く?」


「貴様が死ぬ事であの子が泣くんだ、あの子にそんな悲しい思いをさせたくないだけだ…もし、エイトをまた悲しませてみろ。この世の地獄を見せてやる」


腕を掴むダレンの腕を逆に掴むとぐっと握って外す…


ゾクッ…


ダレンは今までに感じた事の無い悪寒を覚える…


カズキはダレンの返事を待たずにさっさとラルクに挨拶をして姿を消した…


「なんなの…あれ…」


「あれがこの国の最悪の裏切り者とされてる勇者だよ」


「あれが!!」


ダレンがラルクを凝視する!


「裏切り者って言ってるのは国だがな…」


ラルクは寂しそうにカズキが消えた先を見つめていた…



カズキは帰った振りをしながらエイトの行動を木の上から監視する…


エイトやジャックに決して気が付かれないように気配を消して…


一生懸命あの男のために薬草を集めているエイトを愛おしそうに見ていると…


あっ…


エイトの頬に殴られたような跡が見えた。


なんだ…あれ…


ーボキッ…


ピクッ!


ジャックは木の軋む音が聞こえバッと周りを確認する…


変な気配は無い…気のせいか?


「エイト、そろそろラルクの所に帰ろう」


「うん…早くしないとだもんね」


エイトは素直にジャックの言うことを聞くと立ち上がりラルク達の元に走り出した。

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