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ラルクはエイトとジャックを抱えて部屋を飛び出ようとすると…
「師匠…」
エイトが泣きそうな顔で見つめてくる
「ダレンさんと僕、友達になったの…ここで助けてくれたんだ、僕見捨てられない」
下ろしてと頼んでくる。
「あんな変態と友達!?エイト…友達は選べよ…」
呆れながらため息をつくが
「仕方ない…」
ラルクはひょいとダレンを抱き上げ荷物のように脇に抱える。
「きゃ!」
ダレンは乙女の酔うな声で恥じらうと
「気持ち悪い声出すな!」
ラルクの全身に鳥肌が立つ!
「な、何してるのよ」
いきなり抱えられて戸惑っていると
「俺の意思じゃねぇ、エイトがお前を見捨てられないって言うからだ。とりあえず逃げるぞエイトを取り戻すのが一応目的だったからな」
ラルクは三人を抱えて部屋を飛び出した!
「逃げるぞ!もう構わん、殺れ!」
その後ろからは男の魔法が追いかけてくる。
「くそ、威力がデカすぎて横にも逃げられん…」
「師匠ちゃん!私が少し防壁を張るからその間に!」
ダレンは残っていた魔力を使って防壁を張る、少しスピードの落ちたところでラルク達は屋敷から逃げ出した!
「くそ…逃げられたか…しかしあの傷ならそう遠くには行けないだろ、屋敷にいる者を集めろ!装備を整えたら狩りに行くぞ!」
村長は男達に声をかけた!
どうにか逃げ出したラルク達は一度拠点にした場所まで戻る。
「とりあえずここまで来れば…」
ダレンをドサッと離すとエイトとジャックを地面に下ろす。
「ちょっと…もう少し優しく扱って欲しいわ…」
顔を青白くしてダレンは力なく笑った。
「ダレンさん、顔色が…大丈夫?」
エイトが駆け寄ると
「その傷に魔力まで使い切ったみたいだからな…今夜が山かもしれないな」
ラルクの言葉にエイトはショックを受ける!
「ダレンさん…僕のせいでごめんなさい…」
エイトはたまらずに目に涙を貯める。
「元はといえば…自分のせい…だからね…」
ダレンはふっと笑うと気を失ってしまった…
「ダレンさん!ダレンさん!」
エイトが声をかけるが目を覚ます様子はない、エイトは師匠を見上げるが黙って首を振る。
「エイト、そいつは自業自得だ諦めろ」
ジャックが声をかけるがエイトは諦めきれない。
「僕…薬草見つけてくる」
エイトが森の中に飛び込むと…
「エイト!」
ジャックが後を追った!
「はぁ…どうするよ…」
ラルクは木の影に声をかけた…




