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「えっ!本当に」
エイトは握っていた拳を下ろすと
「ええ、本当よ。ほらこれでしょ?」
ダレンはカバンをエイトにポンッと投げつける。
「ここの暮らしも飽きてきたし…これからは私があなたの師匠になってあげてもいいわよ」
ダレンが言うと
「うーん…それはいいや!僕はラルクさんの弟子だもん。だから友達ね!」
エイトはニコッと笑ってダレンの手をギュッと掴んだ。
ダレンは掴まれた手を見つめる…
「どうしたの?」
エイトがダレンの顔を覗き込むと
「人から触られたのは…久しぶりだわ…」
「えっ?だってさっき触ってたよねぇ?」
男達と肩を組んだり、自分の首を触っていたのを見ていたエイトは首を傾げる。
「あれは#私が__・__#触ったの…相手から触りたいなんて思われないからね」
ダレンが手を離そうとすると…エイトはさらにギュッと強く握る。
「なんでそんな事思うの?」
「あなたはまだお子ちゃまだからわからないかもしれないけどね…こんな男か女かもわからない奴を人は嫌うのよ。わからないから怖い…気持ち悪いってね」
なんて事はないとダレンが言うと
「ふーん…変なの?ダレンさん綺麗なのにね」
「綺麗?」
ダレンが驚いてエイトを見返すと
「うん!綺麗だよね、初めて見た時女の人かと思ったよ」
「そう…」
ダレンがそっと目をそらすと
「あれ?どうしたの?」
エイトはダレンの顔を覗き込んだ。
「なんでもないわよ!さぁあんたの師匠ってのところに行くわよ…」
ダレンがジロっとエイトを睨むと
ーバンッ!
扉が突然開き、
「ダレンさん!来てください!なんかすごい強いヤツと魔物が屋敷に侵入しました!」
ダレンは突然入ってきた男を掴むと部屋の外に投げつける。
「グッハッ!」
男は壁に叩きつけられると
「勝手に入ってくるんじゃないわよ…」
ダレンは男に向かって歩き出す…
「ダレンさん、なんですぐ投げるの?」
エイトが話しかけるとダレンの足が止まる。
「あっ?なんで?こいつが勝手に部屋に入ってきたからよ!ノックもしないで入るなんて最低のクソ野郎だわ!」
「す、すみません!」
男は慌てて土下座するとダレンに謝罪する。
「ダレンさんて…短気だよね」
エイトがクスッと笑うと
「なんですって!」
ダレンの矛先がエイトに向くと
「だって~すぐ怒るんだもん。せっかくの綺麗な顔がもったいないよ、もっとニコニコ笑ってる方が似合ってると思うよ」
エイトの言葉にダレンがグッと何かを呑み込む…すると投げられた男が驚いてダレンとエイトを見つめると…
「ダ、ダレンさん…そいつ何言ってるんですか?なんでまだ殺してないんだ?」
もうてっきり死んだと思っていた子供が笑っている姿に嫌な予感がする。
「まさか…あんた裏切る気か?」
男がダレンを見つめると
「裏切るも何も私あんた達の仲間になったつもりなんてないけどね」
ダレンは男の首にトンっと手刀を落とすと男を落とす。
「ほら、行くわよ」
ダレンの言葉にエイトは頷いてあとを追った!




