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エイトはみんなが寝た夜にこっそりと起きると…音を立てないように立ち上がる。


ラルクおじさん達から離れようとすると…


「どうした…」


おじさんが目も開けずに声をかけた…


「起こしちゃった?」


エイトがごめんと眉を下げると


「いや…気配でな、それでどこ行くんだ」


「ト、トイレだよ…」


エイトが言うと


「あんまり遠くに行くなよ」


それだけラルクは再び寝息をたてた…


エイトはホッと息をはくと…目的の場所へと向かった。


エイトは木の影から様子を伺うと…暗闇に呻き声が聞こえる。


血の匂いを嗅ぎつけて来たのか近くに魔物も気配もしていた。


「や、やばい…体が…」


「助けて…」


そこには盗賊達が身動き取れずに呻いていた。


「あ、足が…」


「おい…退いてくれ…くる…しい…」


下敷きになっているやつは息も絶え絶え声を出すと


「動けねぇんだ…俺達はここまでだな…魔物も寄ってきたし…食われて終わりだ」


もう諦めかけている者もいた。


エイトはグッと決心すると、盗賊のそばに火を灯す。


すると盗賊達は驚いてエイトを見ると…


「な、何しにきやがった…」


「ひぃ!」


ギャイギャイ騒ぐ盗賊達を無視してエイトは火をつけると魔物避けを置く。


「これで魔物は寄ってこないよ」


そう言うと盗賊達に近づき


「よいしょ…」


盗賊達を一人一人運んで木や岩などに寄りかからせて座らせた。


「な、何しやがる!」


盗賊達が警戒していると


「はいこれ適当に木とツル取ってきたから折れてる所を固定してね」


自分で出来そうな人にはポイっと渡して無理そうな人のはエイトが簡単に固定してやった。


「おじさんはちょっと酷いから…」


エイトは自分が傷つけた盗賊の頭を見ると眉を下げた…


その顔を見て頭は顔を逸らす。


「お前がやったんだろ…そんな顔するな!俺が惨めじゃねぇか…」


「ご、ごめんなさい。とりあえず手当だけするね…」


嫌がる頭を抑えながらエイトがサッと布を巻くと…


「なんでこんな事する…俺達はお前を殺そうとしたんだぞ…」


「でも僕死んでないし…それにこれで死なれちゃったらなんか嫌だからさ」


「そんな甘ちゃんでやっていけるのか?」


思わず盗賊も心配してしまうお人好しだった…


「うーん…わかんない」


昨日のラルクに殺す覚悟をしろと言われたがエイトにはまだその覚悟がなかった…


「わかんないって…お前そんなに強いのにもったいないなぁ」


「僕って強いの?」


「強いだろ!少なくとも俺よりは…」


「そっか…じいちゃんにもおじさんにも全然敵わないからなぁ…」


「お前が敵わないって…」


「俺達喧嘩する相手間違えたな」


「もういい、あとは好きにしろ肉なり焼くなり」


手当も終えて盗賊達が武器を投げ捨てる。


「えっ…別に僕、人は食べないよ…食べるなら魔物の肉が美味しいよね!」


エイトはそう言うとスープのあまりをどんと取り出す。


「これいっぱい余ったからよかったら食べてね…あっもうおじさんが心配するかも、僕の事は内緒にしてね!」


エイトはそれだけ言うと唖然としている盗賊達を無視してラルクの元に戻った。


音を立てずにラルクの隣に戻ると…


「遅かったな…」


ラルクが声をかける。


「ご、ごめんなさい…」


エイトがあやまると


「別に怒ってないぞ、心配しただけだ…長いトイレだったな」


暗闇のなか月明かりでうっすらと笑うラルクの顔が見えると


「な、なんか寂しくてね…」


誤魔化す為にそう言うとラルクがエイトを抱きしめた。


「じゃあこうすりゃ寂しくないか?」


「う、うん…温かい」


エイトはラルクの温もりにすぐに眠りについてしまった。


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