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パシッ!


振り下ろされた木の棒を大きな手が受け止める。


「おいおい、婆さんこんな子供に何してんだ?」


そこには大きな体の男がエイトを守るように立っていた…


誰だ?


見知らぬ男にジャックが警戒する。エイトを見るが知らぬ顔らしい誰だろうと眉をひそめていた。


「うるさい!そいつは私の子なんだ!親の私が何しようと構わないんだよ!それは私の所有物だ!」


女は興奮したまま唾を撒き散らし喚いている。


「あんたが親ねぇ…そうは見えんな。親とは子を守り時には見守るもんだろ?」


「うるさい!」


女が男に木の棒を投げつけるが男はヒョイと避ける。


喚く女の声にギャラリーが集まってきてしまった…女は町の人に白い目で見られると


「くっ…、おい!行くよこっちに来い!」


場所を変えようとエイトに来るように指示した。


エイトはビクッと反応すると静かに立ち上がった。


「おい…まさかあいつの所に行くわけないよな?」


ジャックがエイトに聞くとエイトは寂しそうに微笑んだ。


「早くしろ!」


エイトは女の方に足を進めると


「お前はあれが母親だって言うのか?」


助けてくれた男の人がじっとエイトの顔を見ている。


エイトが何も言えずにいると


「全く…男なら言いたい事を言ってみろ!お前の育ての親はそんな事も教えてくれなかったのか?」


お前の親と言われてエイトはカズキとナナミの顔が浮かんだ…


エイトは振り返ると女の目の前に行く。


「遅いぞ!このクズが!ほらさっさと行くよ!」


しかしエイトはじっとしている……エイトが動かない事に女が顔を顰めた。


「なんだ!?早くしろ!」


「ぉ……」


エイトがボソボソっと何か言うが女の耳には届かない。


「何言ってる?聞こえないよ!」


グズグズするエイトにイラつくいていると


「お母さんは…僕の事…好きだった?」


エイトは母親の目をじっと見つめて聞いてみた。


「はぁ?」


母親の顔が歪む…何を言っているのか分からない様子だった。


「お母さんは僕が突然居なくなって心配した?」


「心配?」


「僕の事…一度でも愛して…くれた?」


エイトが目を潤ませて母親に向き合う。


母親はフンッと鼻で笑うと


「お前のどこを愛せって言うんだ」


母親はそんな事よりも早く動けとばかりにエイトに手を伸ばす…が、


エイトはその手を払い除けた。


「はっ?」


初めての抵抗に母親の顔がみるみる赤くなる!


エイトは構わずに


「あなたは僕の親じゃない!僕を産んでくれた事は感謝する。本当の親に会うことが出来たから…だからあなたとは行けない」


ハッキリとそう言うとごめんなさいと頭を下げた。

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