40
「ただいま～」
カズキは久しぶりの一人での用事を済ませて帰ってくると…ナナミが心配そうに外で出迎えてくれる。
「どうした？そんな顔でお出迎えなんて？」
ナナミに声をかけると
「カズキ！エイトを見かけなかった？」
ナナミがおかえりも言わずにカズキに駆け寄る。
「エイト？いや見てないが…」
ナナミの様子に嫌な予感がする…
「実は…」
ナナミが朝の事を話してくれると
「山爺に家に…それにしちゃもう昼過ぎだぞ？あそこならエイトの足なら30分もしないで行けるはずだ…」
「山爺の所なら何度か行ってるから大丈夫だと…どうしよう…何かあったのかも」
泣きそうなナナミを抱きしめると
「大丈夫だ！俺が今から行って様子を見てくる！」
「なら私も…」
一緒に行きたがるナナミに
「すれ違いでもし帰って来たら家に一人になってしまう。ナナミは家で待っててくれ」
ナナミはわかったと頷くと
「じゃあ今すぐ行ってくるから！」
カズキは山爺の家に向かって全速力で走り出した！
「お願い…」
ナナミは手を前で組んで祈るようにカズキを見送った…
カズキは10分もせずに山爺の家に着くと…
ドンドンドン！
勢いよく扉を叩くが山爺が出でこない…
やはり何かあったのか…周りを見回すが荒らされた様子などは無かった…すると家の奥から何か呼ぶ声が聞こえる…
カズキはすぐに裏手に回ると家に中で寝ながら手を振る山爺の姿が目に入った！
カズキは窓から部屋へと入ると
「山爺！どうしたんだ！？エイトは？エイトは来ていないのか？」
具合が悪そうにベッドに寝ている山爺に声をかけると…
「落ち着けカズキ！エイトは来てくれた。それで俺の命を救ってくれたよ」
山爺が自分が倒れた経緯を話すと
「じゃあ今エイトは町に…」
カズキが唖然とする。
「今度で大丈夫だと言ったんだが、あの子は優しい子だな…でもちょっと帰りが遅くて心配していたんだ」
「町に行ったのはどのくらい前なんだ？」
「もう二時間は経ったかな…まぁ町まで歩いて40分くらいかかるからな…ましてエイトの足ならもっとかかるか…それでも薬屋だけならそんなにかからないと思うんだが…」
山爺がエイトを思い心配そうに顔を曇らせる。
(今のエイトなら30分もかからずに着くだろう…って事は町で何かあったのか…)
カズキはさらに嫌な予感が強くなる。
「悪い！山爺俺は行くから大人しくしててくれ」
「わかってる。早くエイトを迎えに行ってやってくれ」
カズキは頷くと急いで町に向かった！
