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ぼくは女の人の怒る声にびっくりして顔色を悪くする…


怖くておじさんも女の人も見れないで震えてしまった…


ジャックが心配そうに鼻を鳴らしていると、様子がおかしい僕に気がついて女の人がそばに駆け寄った。


「どうしたんだい?僕…大丈夫かい?」


心配そうに顔を覗き込む…その顔は先程怒っていたとは思えない優しい顔をしていた…


「だ、大丈夫です…」


この人は違う…そう思いながら深呼吸すると


「おばさん…おじさんを怒らないであげてくれる?」


怖々お願いする…


「おばさんのせっかくの優しい顔が勿体ないよ…おばさんは笑っている方が素敵です」


チラッと様子を伺いながら思った事を言ってみる。


するとおばさんが驚いた顔をして嬉しそうに笑った。


「ありがとね、そんな事久しぶりに言われて照れちゃうよ」


そうは言いながらも機嫌良さそうに僕の頭を撫でてくれた…


「しょうがない!今日はこの子に免じて許してあげるか!」


おばさんがニコッと笑うとおじさんがホッと息をついた…。


「またおいでね!」


「小僧助かった!また来いよ今度はもっとサービスしてやるからな!」


おじさんはおばさんに聞こえないようにこっそりと僕に耳打ちすると


「サービスはいらないよ…だからおじさんはおばさんを大切にしておげてね」


そう言ってバイバイと手を振るとおじさんは唖然としながら僕を見送った…



僕はドキドキとしながら町を抜けようと走り出す!


カズキとナナミはいつも仲良しだから喧嘩してる所なんて見た事が無かった…


たまにはじいちゃんが怒られるけどそれでもナナミは仕方がないとすぐに愛おしいそうに笑う。


だからあんなに怒った女の人を見るのは久しぶりでエイトは動揺してしまっていた…


帰り道を間違えたよく分からない路地に来てしまう。


「あれ?ここは…さっき通ったっけ?」


キョロキョロと道を探していると…


「お、お恵みを…」


道の隅でボロボロの布を纏った人が通る人に何かを恵んでもらおうと声をかけていた。


「だ、誰か…」


カサカサの手を差し出すが誰もその人が見えていないように通り過ぎる…まるで前の僕の様だった…。


僕はその人のそばに行った。


「大丈夫?」


声をかけて手を差し出そうとすると…


「おまえ…何処かで…」


汚く乱れた髪の隙間からジロっと覗く瞳に違和感を覚える…


この目に見つめられた事がある気がした。


がしっ!と腕を凄い凄い力で掴まれる!


骨がくい込み痛みに顔を顰めるとジャックがウー!とその人に威嚇するように唸り声をあげた。


「お前!生きていたのか!」


お前と言われてこの人の正体がわかった…


僕のお母さんだ…

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