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「なんですかこれ?」


僕は渡された紙袋の中身が気になっておばあちゃんを見ると


「決して見るんじゃ無いよ!」


「えっ」


「お前が見るようなもんじゃないからね」


何度も念を押される…僕はうんと頷くとおばあちゃんにお礼を言って店を出ていった。



ガチャ!


山の奥に住む爺の変わりに可愛らしい男の子が薬を貰いに来た…


オドオドしている様子にイラッとして思わず強い口調で対応すると、案の定私を怖がっている様子を見せる。


ふん!子供に好かれるつもりなんてないからね別に構わない!


しかし同じような性格の山爺の代わりというのは気に食わない。


さっさと済ませて帰らせようと思っていると薬の代金が足らないことを気にしだした。


いつもの量より多めに入れたが今度、爺のところに行った時にでも回収すればいい話だ。


気にするなと言うが子供は何やらカバンをあさっている。


すると綺麗な木苺のジャムを取り出した。


聞くと自分のばあちゃんの手作りだと嬉しそうに説明する。


さっき私に睨まれた事など忘れているようだ…


足りない薬の変わりにくれると言う…ジャムは好きだが…まぁ一口味見をしてみると物凄く美味い…こんな美味いジャムは生まれてこの方初めて食べた。


これを町で買うとしたらかなりの高額になりそうだ…この価値もわからずニコニコとしている子供に毒牙を抜かれる…


しかし薬の代金の足りない分がこのジャムでは貰いすぎた…変わりに何かあげられるものは無いかと探すが子供が好きそうな物はあいにく置いてない。


そこで何か欲しいものはないかと聞くと、チーズが欲しいと言う…


そんなものが薬屋にあるか…


しかしこの先の店に売っているはずだ、しかもあの店主は確か…


いい事を思いつきニヤッと笑う。


あの店の店主に頼まれていた物が手に入ったところだった…これを持っていけば簡単にチーズが手に入るだろう。


店主に言伝を書いて紙袋の中に入れる。


紙には家族にはこの事は黙っててやるからこの子の欲しいものを見繕ってやれ。


と書いておいた。


紙袋を子供に渡すと中身が気になると袋を見つめる。


子供が見るようなものではない…特にこんなに可愛い子は知らなくていい事だ。


見んんじゃないよと忠告するとみたい気持ちを我慢しながら頷いた。


きちんと言うことを聞ける子は嫌いじゃない…今度来た時の為に何か美味しいお菓子でも用意しといてやろう。


子供がお礼を言いながら出ていくのを珍しく穏やかな気持ちで見送った。


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