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膝を着いたエイトの頭目掛けて一番大きな鳥が鍵爪を広げエイトを掴もうと飛んできた!
鳥の爪がエイトに触れる寸前で…
ズドンッ!
鳥の体に何かが突き刺さった!
エイトが顔を上げると目の前にはエイトの倍以上ある鳥が木の棒で岩に突き刺さり串刺しになっていた…
ピクッピクッと体を痙攣させていると…
「貴様ら何してやがる!!」
岩山の上から怒気を孕んだ叫び声が響き渡った。
「じ、じいちゃん…」
エイトが岩山の上に立つカズキを見つめると…
「俺の可愛いエイトに…」
カズキは血だらけのエイトの姿を見て唖然とすると鳥達を睨みつけた!
殺気を感じ取り鳥達が慌てて飛び去ろうとすると…
「エイトを傷つけて逃げられると思ってんのか…」
カズキは落ちていた石を拾うと、鳥に向かって振りかぶって投げる!
「ギャー!!」
石は鳥の身体を貫通した…カズキは次々に石を投げると一羽残らず鳥が地面に墜落した…。
鳥が一羽も居なくなると…
「エイト!大丈夫か!」
カズキがエイトに駆け寄る!
「じいちゃん!」
エイトがよろけながらカズキに近づいて行くと、カズキがエイトを抱き上げる!
「なんで鳥に襲われてたんだ!まだ合図は出てないぞ!」
回復魔法をかけながらカズキが怒る!
「ご、ごめんなさい…じいちゃん…嫌いになった…?」
エイトがしゅんと悲しそうに顔を曇らせる…
「嫌いになんてなるか!心配したから怒ってるんだ!エイトに傷ついて欲しくないから!」
「うん、僕もじいちゃんに言われた事守ろうと思ったんだけど…この子が傷ついてるの見たら体が動いちゃった…」
エイトは助けた獣を指さすとカズキがエイトを抱いたまま近づいていく…
「こりゃ狼か?」
カズキが傷だらけで気を失って倒れている狼を見下ろしていると…エイトがカズキの服をツンツント引っ張る。
「怪我…治してあげたい…だめ?」
カズキの様子を伺いながら見つめると…可愛いエイトのお願いにカズキは狼に回復魔法をかけてやった。
「こいつが鳥に襲われていてエイトは助けにいってやったのか?」
「うん…石を落とされるのを見て…可哀想になっちゃった…僕もじいちゃんみたいに助けてあげたくて…」
エイトが自分の傷を撫でるとカズキが仕方なさそうに微笑んだ…。
カズキとエイトは撃ち落とした鳥を回収して未だ目を覚まさない狼を背負って帰路へとつく。
走りながらカズキはチラチラとエイトを確認する…
「エイト…大丈夫か?怪我は痛くないか?その狼じいちゃんが持ってやろうか?」
たまらず声をかけると
「大丈夫だよ!じいちゃんが治してくれたからどこも痛くないよ!狼も僕が手を出したんだから最後まで面倒見る!」
「そうか…」
カズキはエイトの言葉にもう心配するのは止めて前を向いた。




