極秘
「さて、本題に入りましょうか。あなた方の今後についてです。」
「今後・・・」
死刑はないとしても、強制労働?
悪い予感が頭をよぎる。
それほどまでに、超人に対する印象は良くない。
「あなた方には日本が有する人工島、ベガ、デネブ、アルタイルのどこかに行ってもらいます。」
「な、なんですか?それ。聞いたことないんですけど・・・」
冗談を言っているようには思えない。
でも日本らしくないっていうか、夏の大三角形じゃん。
「知らないのも無理はありませんよ。何せこの三つの島に超人を送っているのは、極秘中の極秘ですからね。世界地図にも載っていません。」
「極秘って・・・そこで何をやらされるんですか?」
「何もやらされませんよ。強いて言うなら、玲奈さんには学校に通っていただきます。それ以外は普通の生活です。」
「・・・へ?学校?」
拍子抜けだ。
何をするかと思えば学校に通えとは。
「ちゃんと意味はありますよ。正しい教育は必要ですし、何より力の使い方を学べます。一応、規則により島へ行った超人は3年間学校へ通わなければなりませんが・・・異論はありますか?」
「いえ、それくらいなら・・・」
「そして、島へ行った者は原則3つの島の外には出られません。」
「えぇっ!?そんなの・・・嫌です!」
それは納得できない。
ここには大切な友達だっている。
「規則ですから、諦めて下さい。」
繁原さんが冷たく言い放つ。
「そんな・・・」
嫌だ、とは言えない。
繁原大地の鋭い視線が、それを許さない。
「次にお父さんの方ですが。」
繁原さんの視線がお父さんに移る。
お父さんの顔色は険しいまま変わらない。
「この説明によりあなたも国の機密事項を知ったことになります。よって、あなたも同行していただきます。」
「・・・わかりました。」
「お父さん・・・」
ふたつ返事でOKだ。
お父さんがついて来てくれるのは心強い。
返事を聞いて、繁原さんはにこっと笑う。
「御協力、感謝します。出発の日時ですが、心の準備があるでしょうができれば早いうちが良いですね。」
心の準備、か。
友達に私が超人だって、言いたくないな・・・
「お父さんはいつでもいい。持って行く荷物も少ないだろうし、今からでも構わない。玲奈は?」
「私も・・・すぐでも良いです。」
「・・・わかりました。ではすぐにでも行きましょう。外で待っていますので準備ができたら声を掛けて下さい。」
そう言って繁原さんは出て行った。
ん?なんか変な間があったな。
すぐ行ってあげるっていうのに表情も硬い。
「ごめんね?お父さん・・・」
「良いんだよ。玲奈を1人で行かせるより全然マシだ。」
対してお父さんの表情は柔らかい。
私を安心させようとしてくれているのだろう。
「ありがと。」
お礼を言って準備を始めた。