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超人達の警察学校  作者: ことなり
新しい日常へ
5/14

超人

「最悪、そうなります。」


想像しただけで震えが止まらない。

私がお父さんを殺す・・・

あり得ない話では無いのだ。

青年を一瞥すると、安心させるように笑いかけてくる。


「大丈夫ですよ。そうなる前に私が来ましたから。」


「そんなの、わからないじゃないですか。」


「分かりますよ。それだけあなたと私には差があります。」


またにこっと笑いかけてそう言った。

何か馬鹿にされた気がする。

天然でやってるのか?

だがそのおかげで少し気が楽になった。

震えもだいぶ収まってきた。


「私は色んな現場を見てきました。能力の誤発によって、家族や大切な人を亡くしてしまった超人も、何人もね。」


青年の目はどこか悲しそうだ。

どんな凄惨な現場を見てきたらそんな目ができるのか、私にわかるはずも無い。


「そんな話されるとますます納得いかない。本当に死刑とかは無いんですか?」


お父さんは不安そうに言う。

確かにここまで強烈な超人の話を聞くと例外もあり得る。


「あれ!不安にさせちゃいました〜?」


情緒不安定か!

さっきまでの態度はどこ行った!


「まぁ死刑に踏み込めない理由はありますがね。」


どういうことだ。


「まぁ見てもらう他ありませんね。洲神さん、包丁とかありますか?あったら持ってきて下さい。」


何をするつもりなんだろう。


「これでいいのか?」


お父さんが持ってきたのは刃渡り20センチほどの包丁。

結構良い値段だったやつだ。

つまり良く切れる。


「さてと、じゃあ洲神さん!どこでも構いませんから、私に包丁を刺して下さい。」


「「えっ!?」」


「論より証拠ですよ!弁償はしますから!」


何言ってるんだ?

出来るわけない。


「良いのか?後悔するぞ。」


えぇっ!やる気なの!?


「お父さんそれはさすがに」

「どーぞどーぞ!100パーセント刺さりません。刺さっても不慮の事故ですよ!」


遮られた・・・

ほんとにやらせる気だ。


「じゃあ・・・いくぞ!」


お父さんが声を上げ青年の腹部に包丁が刺さ・・・らなかった。

キンッと高い音を立てて、逆に包丁が折られてしまった。


「これは、どういうことだ?」


「超人じゃない人間に超人は殺せない。どんな武器を使ってもね。」


青年の腹部には傷どころか、服さえ貫いていない。


「私に防衛本能が働いて、超能力の壁のような物を作ってしまうんです。服さえ守るほど厚く、包丁をも折るような強靭な壁をね。逆に・・・」


青年は折れた包丁を拾って私に渡してきた。

そして右袖を捲り右腕を差し出す。

切れ、ということか。


「すみません!」


万が一切れた時の為に一言謝って包丁をスライドさせる。

すると呆気なく皮膚は切断され、真っ赤な血液が流れた。


「あれ!?え?ご、ごめんなさい!」


あんなに勢い良く刺しに行ったときは傷1つできなかったのに。


「大丈夫ですよ。説明に必要ですからね。このように超人の持ち物には超能力が付加され、簡単に傷付けることができます。そして超能力を上手く使いこなせば・・・」


もう一度腕を差し出してくる。


「ごめんなさい!」


空気を読んでもう一度腕に切り傷を入れる。

しかし今度は無傷だった。


「こんなこともできます。」


なるほど、この人流に言うと壁をより強くしたんだろう。


「訳わからんなあんた。」


しかし言われた本人はまたもにこっと笑いかけて言うのだった。


「これが超人です。」

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