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夢見た魚はもう泳げない  作者: シバヤ
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類は友を呼ぶ

「答えは『No』だよ。」


彼女の笑顔がスッと消え、俺に告げた。


その答えは予想通りであった。

でも、予想通りであって欲しくはなかった。



この女性はみんな分け隔てなく笑顔で接し、相手に好感を持てるような接し方で対応してくれる人なんだって思ってた。



でも自分が気になっていたところはやはり間違いではなかった。



会話の仕方だって、急に喋り方を変えてきて、敬語→タメ語→ギャルっぽさなど、多分相手にウケがいい接し方を探していたんだろう。



笑顔だってそうだ。彼女の笑顔は笑っているように見えて、何か心ここに在らずのような笑い方や、まるで仮面でも被っているような満面の笑みの仕方をしていた。



だけど、世渡り上手そうな彼女なら今が楽しいはずだろうと思っていた。



俺は深く深呼吸をして彼女に向き合う。



「やっぱりそうか。」



「やっぱりってことはわかってて聞いたの?性格悪いな〜。」



「いや、単純に感が当たっただけだよ。」



「でもそんな質問をしてくるってことは君も『No』でしょ?」



「あぁ、その通りだよ。」



「やっぱりね〜!思った通りだ♪」



「悪いな、変な質問して。」



「確かに変な質問だったけど、別に大丈夫だよ〜!」



別に気にしてないって顔している。それはありがたいが、この話はもう広げるつもりはない。



「それじゃ、俺はこれで…」



「ちょっと待ってよ〜!女の子に質問するだけして帰るの?」



確かにそのつもりだったんだが、それは流石に失礼だったのかもしれない。



頬を膨らませて怒っていますっていうのが伝わってくる。

怒ってるのは嘘くさいが、少し可愛い。



「私にだって1つくらい質問する権利あるよねー?いいよねー?」



「まぁそれくらいなら構わないよ。」



それなら時間もあまり取られないだろう。

そろそろ海翔も待ちくたびれてるだろうし。



「なに質問しよっかな〜♪」



まだ決まってなかったんかい。



「ちなみに俺の好きな女性のタイプはー…」



「え!?なにそれ気になるー!」



棒読みでさっきのお返しをしてみたつもりだったんだけど、思いのほか食い付いてきたな。

でも多分本当は興味はないんだろうな。



「本当にそれでいいのか?」



「んー、それはまた今度聞くことにするね。」



また今度?学校で会った時とかにってことか。



「そんな機会があればいいですけどねー。」



「多分会えるよ!あ、いい質問思いついちゃった〜♪」



え、なにそれちょっと怖い。

俺は少し怯えながらそれは何だよと聞く。



「『類は友を呼ぶ』ってあれは本当にあると思う?」



ん?なんか俺の質問に似せてきた感じだな。

でもちゃんと答えないとな。



類は友を呼ぶか、よく聞く話だけどそれは本当にそうなのだろうか。



目を閉じて腕を組み考え込む。



そうすると彼女が俺の顔の近くまできて、顔を覗き込んできた。



「うわ、急に何だよ。ビックリするじゃんか。」



この人にはパーソナルスペースってもんがないのか。



「思いのほか悩み混んでるなーって思ってさ!

簡単にパパッと答えてくれて構わないよ〜?」



「いや、君は俺の質問にちゃんと考えて答えをくれたんだ。なら俺も考えて答えを出したい。」



「君って固いね〜、もっと気楽に行こうよ!」



そういう問題ではないと思うけど…



でもちゃんとさっきの質問を考えないと。



「うまく伝えられるか分からないが、それでもいいか?」



いいよーと了承を得たので今思ったことを伝える。



「その答えはどちらでもないかな。」



「えー、どっちかに決めてよ!」



むぅ〜と可愛い声をあげて怒っている。

とりあえず俺が思ったことを説明をする。



「例えば素行不良な人がいる。素行不良な人は同じような人と一緒にいることが多いだろうと思う。この点だけで言えばYesなんだけど、その中でも真面目な奴がいたり、すげーヤンチャな人がいたりするだろ?

その中でも相容れないことだってあるだろうし。

だから一概にYesかNoで答えるのは難しいと思う。 だからどちらでもあってどちらでもないかな。」



うーん、と彼女は考えている。彼女にも思うことがあるのだろうか。



「なるほどねー、確かにそれもそうかもしれないな〜。」



「ちなみに君はどっちなんだ?」



「私?私はもちろんYesだよ。だって君と知り合えたからね〜♪」



なんかその言い方は嬉しくはないな。まぁいいけどさ。



「ちなみに、私たちがした質問って意味がある?」



「ないな。すまん、俺が変なこと言ったからだな。」



「別に気にしてないって!もう律儀なんだか固いんだかよくわからないねきみ。」



「それが取り柄なんで。」



うわ〜、カッコつけちゃって〜と言われた気がしたするが、無視して話を進める。



あ、そういえばまだ名前聞いてなかったな。



「遅くなったけど、俺の名前『潮野優哉しおのゆうや』って言うんだ。君は?」



「あーそういえば私たち名前名乗ってなかったね〜。

私は信条愛花しんじょうあいかだよ〜。アイちゃんでもアーちゃんでも好きに呼んでね!よろしくねユウくん!」



呼び捨て通り過ぎてあだ名できたか。愛花は俺にはこの対応があってると思ったのだろうか。



「よろしくな愛花。」



あだ名で呼ばせようとしたのは完全にスルーしてシンプルに呼び捨てにさせてもらう。



「長々と話し込んじゃって悪いな。それじゃあ俺はこれで失礼するね。」



「はーい!明日学校で会おうね!」



そういうと俺は、先ほど選んでくれた漫画や探していた参考書を持ってレジに並ぶ。



愛佳はまだ参考書が足りないのか本と睨めっこ状態になっている。



全く、初対面なはずなのにすげー馴れ馴れしく接してきたな。



そう思いながら俺は参考書や漫画を買い、本屋を出て海翔のいるところに向かう。




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