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夢見た魚はもう泳げない  作者: シバヤ
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今って楽しいか?

「バーカ、急に何言ってんだ優哉ゆうや。」



後ろから声がする。



「なんだ、海翔かいとか。」



「なんだとは何だ!親友であるお前が、急にうつ病にでもなったかのような言葉を発しやがって!」


うつ病?あー、さっきの独り言聞こえてたのか。



「それによー、授業中もずっと何か考え込んでる風な顔しやがって。何かあったのか?」



「いや、特に考え込んでたわけではない。それにうつ病にもなってないよ。ただ……」



ふと言葉に迷ってしまった。



「ただ?なんだよ。そこで止まると気になるじゃん」



藍沢海翔あいざわかいと、お前は『今』が楽しいか?」



急にキョトンとした顔をしている。それもそうだよな、俺も自分で何を言っているんだって思ってる。



「そんなん当たり前だろ!部活をしても良し、恋愛することだって良し。

大人からすれば俺たち薔薇色のような高校生活を送っているんだぜ!?こんなの楽しくないわけないよ!」



そうだった、俺たちは高校生だったな。高校1年生で最初は初々しさがあって、友達を作るのに必死になってたけど、1ヶ月も経てばみんな仲良く楽しく高校生活を送っている。



「それによー、周りには沢山の女子高生だぜ?こりゃもう優哉も恋愛するしかないっしょ!」



「発言がおっさんくさいぞ海翔。でも恋愛か、それもいいかもな。」



「だろ!?恋愛って楽しいぜ!また中学と同じで勉強とずっとお友達してるのもいいと思うけどよ、お前の性格はわかるけど少しは楽しいことしようぜ!」



中学か、確かにほとんど勉強しかしてなかった思い出しかないな。スポーツも体育くらいでしかやってなかった。



思えば中学生の時、1番仲がいいのが海翔だった。3年間ずっと同じクラスで一番俺に絡んでくる奴だった。いつしか俺らは親友みたいな間柄になっている(俺は認めてないけどな)。

そんな奴が同じ高校に一緒に入学してまさかの同じクラス。これも何かの縁なのかもしれないな。



「俺は勉強をするのだって楽しいさ、価値観は人それぞれだろ?海翔はなにが楽しいのさ?」



「もちろんスポーツと恋愛!」



即答かよ。でも海翔は身長が180cmで背が大きく、運動神経がかなり良い。そしておまけに顔が良いときた。そりゃ女子からも人気があるだろうし、恋愛も楽しくできそうだ。



「そりゃまた中学と同じだな。高校もその二つを頑張るのか?」



「勉強は中3でめっちゃ頑張ったからな。お前にもたくさん勉強教えてもらって、その甲斐あってお前と同じ高校に入れたんだし。だから勉強はひとまず置いといて、薔薇色の高校生活を送るんだ」



一緒の学校じゃなくても良かったはずなのに何故わざわざ同じとこに来たんだよ。

それにこいつは頭が薔薇色に染まってしまったらしいな。いや、元からか。



「そうか、頑張れよ。俺は陰ながら応援してるよ。」



「優哉だって頑張れよ!お前勉強できるし、顔だっていい。それならすぐ彼女くらいできるだろうよ!」



「まぁ俺のことを好きになってくれる相手がいたら恋愛してみたいな。」



「実際中学ではたくさんいたんだけどな…。」



「ん?なんか言ったか?」



「いや、何でもねーよ!俺は恋愛頑張るけど、勉強は多分困るから、テスト勉強するとき親友を頼るぜ。」



「そこは自分で何とかしろよ。あと親友って呼ぶな恥ずかしい。」



そういって海翔は自分の席に戻っていく。あいつは俺の隣の隣だ。時計を見ると授業開始2分前。



俺も次の準備をしなくては。



それにしても今が楽しいと思えるのはすごいことだ。ポジティブ思考なのか、普通に今が充実してるのか知らないけど、それを堂々と言えるっていうのはすごい。



やはり、恋愛してるかしてないかで人は変わるのだろうか。



俺は恋愛はしたことないけど、今のこの現状が楽しいだろうか?

教室の1番後ろの窓側の席で自分について考える。



深く考えるまでもなくすぐに結論が出た。

そうだな。俺も海翔と同じく、堂々として言えるだろう。



『答えは否である』と。






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