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夢見た魚はもう泳げない  作者: シバヤ
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夢に挫折は付き物。

【夢見た魚はもう泳げない】

俺、潮野優哉しおのゆうやは高校の授業中にふとそんなことを思った。

なぜこの言葉を思ってしまったのだろうか。



ただ突発的に思っただけかもしれない、もしくは何か自分に嫌気がさしたのかもしれない。



今の自分には満足している。

不満も特に思い当たるものはない。

だから多分前者だったのかもしれない。



でも過去の自分を振り返ると。自分は後者だと感じた。



小学校の時運動神経がよく、スポーツではなかなかの評価をされていたが、歳を重ね、中学、高校と進む中で実は大したことはなく、周りにはたくさんの上手い人がいて自分はプロになれないなと挫折し、絶望し、苦渋を感じたことがあったからだ。



幼稚園の頃の夢だってそうだ、今思い返してみると全員がほぼ無理な夢を持っていた。



アイドル?プロスポーツ選手?到底叶わないだろう夢がたくさんあった。

その当時は本気で夢は叶うと思っていたのだろう。



歳を重ねて自分がどれほどの人間なのかを悟り、成長と共に夢を諦め、最終的には成り行きでその職業に就く。



これが当たり前なんじゃないかと思ってしまった。



現実は甘くない、本当に夢が叶う人はセンスがあるか相当な実力の持ち主で、それでいて運が良い人なんだろう。



そんな成功した人の実体験をテレビやラジオなんかで耳にする。



『私は小学校の時から必死に勉強して今のようになりました』や『実はスポーツは高校から始めて、必死に練習してプロになれたんです』など。



だが正直どうだっていい、貴方は成功したことを自慢するだけでなく人格まで褒められたいのだろうか。



こう考えている自分は本当に腐ってしまったのだろう。


昔はこんなんじゃなかったはずなのに…

俺は夢に向かって泳ぎ、疲れてしまい、泳げなくなって、深海の底まで落ちてしまった。



そんな自分だからこそ、この言葉がとても理解できてしまう。



唐突に授業終わりのチャイムが鳴り響き、それと同時にクラスのみんなが自由時間を友達と過ごしたり、スマホでゲームしたりして満喫しているように見えた。



俺はさっき思い浮かんだ言葉の答えを、小さな声で自分に言い聞かせた。



「俺は夢見た魚だったんだな」


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