表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

召集乃日

作者: ペッタブ

「美味しいものを食べられる」というのはある意味、人間の特権だと思う



今日日、飯を食って美味しいと表現出来た生物は見たことがないし、聞いたこともない

そう根拠立てるのは、自分の見分が狭いだけなのかもしれない、という深層意識や心の底にありがちな考えを否定したいが為なのかもしれない


愛だとか、希望だとか。将又、悲しみやら、怒りとやらも、ヒトの特権かと思うと

その一つ一つが愛おしい。のかもしれない



今更ながらにこのような考えが出来るのも、死を間近に実感したときやそういった状況に陥ったとき

改めて物の見方や感情の置き場や、記憶の回想なんてものを思い返し、

「人間、努々、忘れる事なかれ」と自分を戒めるのだろう。




――――編成隊人員乃抜擢通知、及召集指令




手元に綴られている文字は一見、精錬されていて尚も読実そうに見える封筒に入っていて、

ご丁寧に[一万オーツ]が『支度金』として同封されている。

これ程までに親切さを振りまいた手紙なんてものは、生来から貰ったこともない。




要は、「替えが足りないから、こっちに来て命を散らしに来い」なんて

クソ戯けたことが書かれている紙でしかない。



勿論、選択の自由の名の元に己の考えを以って紙片を破り捨て、日常に身を任せても構わない。



翌日には黒服の人間達が手紙を破り捨てた、その自由の手に鎖を繋ぎ、強制送還を執行するだろう。


隣家の一人娘だったトウカが二週間前に同じような目に遭い、泣きじゃくりながらも黒服達によって 『セイバー』に乗せられ、連れられてしまった。


トウカの両親は必至に頼み込んでいた。お願いだから、一人娘なんだ、私が代わりにいきますから、と


黒服たちは感情もクソも投げ捨てた声で一言、

「規則ですから」

と吐き捨てるとような言葉を、容赦なく浴びせやがった。




そういう訳で、今自分は迷っている

逃げ出すべきか、向かうべきか。

でも、まあ、知っている人は少ないだろうが、自分は頼まれては断れない人間だから。




そういう訳で、今ホームに立っている。

結構な人数が召集されたのだろうか、まばらだった人の数が『シティ・パレス』行のリニア表示が出てからというもの続々と集まって来ている。

これは、今回の作戦は縦深攻撃を画策しているかのか。


集まった者たちは様々だ。

封筒を片手に談笑を交わすもの、家族とともに涙を流すもの、周りに興味がなさそうな人、そして自分のような片手に携帯食を貪る者は一人しかいなかった。






携帯食を噛む


先ほども話したと思うが、美味しいと思えるのは人間の特権だと思う






携帯食を噛む


自由を手に出来なかった者の涙を思い出し、自由なんてのは幻想だと感じた






携帯食をかむ


どんな理不尽に見舞われようとも、常に自分を見失わぬように生きてきた







携帯食を


それでも、自分を取り巻く理不尽さを、友人の涙を、死を目前にしたことを考えると




何もかも

クソくらえ、だ

近似世界線で何か書こうかと思案していますが、何かとバッドエンドストーリーしか思い浮かばないから、何かしらハッピーエンドな映画を観たいいい( ´・Д・)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ