98 【開拓VRβ版実況25】 空中戦
※お使いのパソコン・情報端末は正常です。
セリフに数字が入力されていますが、本作品の仕様です。
開拓VRゲーム。Walkers on the Frontier。略称WotF。
舞台は十九世紀前後の科学技術を持ち、魔法が発達している世界の新大陸。
開拓者、狩猟者、学者、貴族、四つの開拓民が協力して未開の地を開拓し、拠点となる街を開き、魔物を退ける。
現在βテスト中。実況を通じて視聴者にも不具合や説明不足をチェックしてもらう方針のために、運営会社がベータテスターには実況を推奨している。
第一定都の街の北の絶壁を気球で調査していたところ、崖上に生息していた巨大なクマの魔物に目をつけられてしまったようだ。
ゆっくりと崖を降りてくるクマの魔物に対して、防衛用の簡易な砦を作って戦う作戦だ。
一方でガナフドラ第一警備のニスミハが何か思いついたようだ。
「気球を使って/4 上空から/5 撃ち降ろします。/2
あの高さから/5 落とせば/2 /05 墜落ダメージが/1 入る/2 可能性が/01 高いですわ/3 」
「確かにそうだが/3 下から/5 狙撃する手もあるだろう/2 」
食い下がるエプヴィルに更にニスミハが続ける。
「魔導銃の有効射程距離は/1 かなり短いのは/5 /03 ご存じのはずですわよ。/2
わたくしなら/1 風の魔法で/4 気球を/3 操作できますわ。/2 行かせてくださいませ/2 」
「―……無茶はするなよ/2 」
崖を降りるクマの魔物。
既に上から三分の一を過ぎ、崖の中ごろにまで差し掛かっている。
不安定な足場とはいえ、その歩みを邪魔できるものはいない、はずだった。
魔物はふと、音もなく自分より上空に奇妙な丸い物体が浮いていることに気付いたようだ。
さきほども一度見た、何ら危険性を感じたことはなかった丸い物体、魔力もスカスカで見た目の珍しさ以外には強力な魔物の興味を引くものはなかったはずだ。
丸い物にぶら下がっている木の枝が絡まってできたものにも少々の魔力は感じるが脅威を感じないだろう、珍しいものを見る感覚で無防備に見上げているようだった。
一発の銃声が鳴るまでは。
赤い閃光に似た視界と左眼の痛みで、魔物はとっさに攻撃を受けたことを理解しただろう。
その攻撃が上空の丸い物から放たれたことも。
魔物はバランスを崩しながら大音量の咆哮を放った。
「きゃあ!/6 」
ニスミハの乗るかごの一部が破損する。地上とつながっているロープ、気球を構成するロープの一部がちぎれ、気球は急速に上空に吹き飛ばされる。
振り落とされないようにしがみつきながら、ニスミハは分析した。
攻撃を受けた。ニスミハが無事だったのは学者のジョブの基本回避率が高かったに過ぎない。
「風の魔法!?/1 」
気球本体にも穴が開いており、魔物の魔法も相まって一旦上がった高度は徐々に落ちていく。現在のニスミハは落ちないようにしがみついているだけで精いっぱいだ。
「わたくしは/1 大丈夫ですわ!/3 皆さま/1 ご武運を!/3 」
気丈に叫ぶニスミハを乗せ、西風にあおられ、気球は街の外へ消えていった。
「ニスミハさん!/1 」
「きゅー!」
わずかに回復して屋上に出ていたエンジも咄嗟に魔法で気球を制御しようとしたが、届かない。
隣ではエプヴィルが即座に指示を飛ばしていた。
「目視で構わん!/2 誰か/1 ニスミハを/3 追ってくれ/2 」
「知り合いに/3 連絡して/2 目撃情報を/3 集める/2 /7 着地地点は/3 すぐに割り出せるようにしておく/2 /7 戦闘に/3 集中しろ/2 」
「パークサズラム殿!/1 恩に着るぞ/2 」
魔物が墜落してきた轟音が響くのがほぼ同時だった。
「一斉射撃!/2 弾込めのタイミングを/3 合わせろ!/2
連射は/3 できん/2 /7 射撃が途切れたら/5 狩猟者は/1 頭を/3 狙え/2 /7 奴に/3 行動させるな/2 」
簡易砦の二階の小窓から撃ち降ろす一斉射撃。
― 蜂の巣/3
― いや、/6 エフェクトが/1 ほぼ白しか出てない/3
― ほとんど効いてない/2
― 効いてれば/5 銃の着弾のエフェクトが/1 黄色や/3 赤のはず/3
― 普通の魔物相手なら/5 クリティカル/3 連発なのに……/2
クマの魔物に浴びせられる攻撃のエフェクトを見て視聴者がざわつき始めた。
現実であれば蜂の巣になるような猛攻だが、ほとんど中ダメージを意味する白のエフェクトしか出ていない。
魔物が攻撃を仕掛けてこないのは偏に墜落したダメージが残っていてふらついているからだ。
銃撃が止んだ瞬間、狩猟者が突っ込んでいく。
「硬っ!/6 いや!/6 何かおかしい!/3 刃が/1 滑るような……/2 」
背中に入ったはずのイグドナのナイフの軌道は、ほぼノーダメージを意味する水色のエフェクトに閃いた。
他の狩猟者のダメージエフェクトも精々が緑色だ。白より一段落ちる小ダメージを示す表示だ。
「切り付けが/1 効きにくい!/2 注意して!/2 」
「どりゃあ!/6 」
アードットのゲンコツが頭部に赤く閃くクリティカルを叩き出し、魔物が再びふらつく。
狩猟者が散開し、そこを狙って再び銃の射撃が始まる。
射撃に巻き込まれないように砦に避難してきたアードットも、なーんか拳が滑るな、と唸っていた。
その時、イグドナの耳に通信が入った。
「イグドナ様/1 」
「ニスミハさん!/1 無事!?/3 」
パークサズラムの通信魔法はまだ効いているらしい。吹き飛ばされたニスミハから音声が届く。
「無事とは言いがたいですが/3 /7 大至急/6 お伝えしますわ。/2
クマ型の魔物は/1 風の魔法を/3 操っているようです/2 」
「風?/3 」
イグドナが閃いた。
「何で/6 攻撃が/1 効きにくいか/2 /01 分かった!/2 風で/4 攻撃を/3 そらされてるんだ!/2 」
それを聞いて射撃に加わっていたプレイヤーが気付く。
「銃弾が逸れて/04 威力が/1 落ちてる!/2
突進に/3 合わせて/2 /7 風の魔法を/3 纏ってる!/2 」
― 風を/3 使うのか/2
― さっき/5 ニスミハさんが/1 吹っ飛ばされたのも/2 /01 これ/3 ?/6
しかし、タネが分かったところで即座に対応するのは難しい。
「イドレードの命中が/1 あればなー、/2 /7 相性悪すぎるよ/3 」
目にかすったと思しき銃弾が、有効打のオレンジ色を呈しているが、思ったほどダメージを出せていない。
「今/5 残りHPは!?/1 」
「五分の二ってとこ。/3 最初/5 落っこちてきた/2 時には/05 残り半分に/3 なってて/2 /7 楽勝じゃんって/3 思ったんだけど……/2 」
エプヴィルの問いにイグドナが答える。
「最初に半分の状態で/5 今/5 五分の二だと……/3 」
愕然とするエプヴィルにドーエクとパークサズラムが応える。
「ニスミハさんの判断は/1 正しかったですね/3 」
「万全の状態から/5 殴り合ってたら/2 /05 叩き潰されてたかもしれん/2 」
「む……/6 早く終わらせて/2 迎えに行ってやらんとな/2 」
動けるようになった魔物が唐突に簡易砦に突進をかけた。
「うわぁ!/6 」
砦が大地震のように揺れる。
「貴族の魔力に/3 引き付けられてはいるようだな/2 」
「戦闘が終わるまで/5 ここから/5 出られませんね/2 」
パークサズラムのコメントにドーエクが軽口を返した。
この作戦での貴族は魔力で魔物を引き付けるだけの囮だ。
しかしジョブ特性で基本魔力が高いため、いざというときの火力が高いのも特徴だ。
エプヴィルがおもむろに銃を手に取る。
「隠し玉が/1 あるなら/2 /05 最初から/5 出せ/2 」
「貴族が/1 前に出ると/05 他のジョブに/5 神経使わせて/2 /04 足並みを乱すのだ/2 」
「経験ですねぇ/2 」
そういえば以前イオナがエプヴィルも前線によく出ると言っていた。
「あの攻撃で/4 約10%……となると/5 至近距離の/5 我が全力で/4 削り切れるかどうかといった所か/2 」
魔物の残り体力を慎重に測るエプヴィルにドーエクが声をかける。
「それで倒せなかったら/5 私も/1 撃ちたいので、/2 /7 その銃/3 貸してください/2 」
「恐ろしい事を/3 言うな、/2 善処はするぞ/2 」




