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66 【開拓VRβ版実況17】 霧の森の魔王様2

※お使いのパソコン・情報端末は正常です。

 セリフに数字が入力されていますが、本作品の仕様です。


 開拓VRゲーム。Walkers(ウォーカーズ) on(オン) the() Frontier(フロンティア)。略称WotF。

 舞台は十九世紀前後の科学技術を持ち、魔法が発達している世界の新大陸。

 開拓者、狩猟者、学者、貴族、四つの開拓民が協力して未開の地を開拓し、拠点となる街を開き、魔物を退ける。


 現在バランス確認という名目で大規模βテスト実施中だ。

 不具合や説明不足をチェックするためにベータテスターに実況を推奨しているが、ネタバレなどでは強制的に実況を停止する。現在のエンジがそうなっている。


 始まりの街第一定都から南の岬を回ってたどり着く西の大河のほとり、霧の森と、正体不明のその森の住人。

 なぜかエンジが交渉役に指名されたが、霧の森の住人はたった一人、そして動物の頭蓋骨と長いローブを脱いだ姿は小さな少女だった。


 彼女は微笑みかけてきたが、すぐにふいっと顔をそらした。

「女子供と/6 あなどられると/2 /05 無用ないさかいに/3 巻き込まれるのは/2 世の常でね、/6 /7 姿を/3 いつわっていた/2 ことについては/01 許してほしいな/2 」

 やや顔をそらしながら魔石の角を持つ頭を揺らし、微笑する。

 そう、彼女はかつて『霧の森の魔王』と呼ばれる魔物だという。


「それに/7 ここに/5 隠れ住んでいるのにも/2 相応の理由が/01 あるのだよ/2 」

 そして本人によれば元大陸の王族だ。



「そう、/6 もう/6 数百年ほど前になるだろうか……/5 」

 物思いにふけるように、別の方を見ながら言葉を紡ぐ。


 魔王様たちは資源に乏しい小国だったが、魔法技術に優れており、その秘術を狙って大国が攻めてこようとしたのだそうだ。狙いはもちろん魔術知識を有する彼女たち権力者階級だった。


 つまり魔王様たちは、エンジたちが本国と呼んでいる方の大陸から、船で数百年前に新大陸に逃げて来たのだと思われる。


 魔王様はその相手の国のことに深くは言及しなかった。

 エンジには旧大陸の歴史や政治はわからないが、おそらくは巨大な領土を誇る大国と、都市国家のような小国の戦争だったのだろう。


 現実なら十五~十七世紀は大航海時代。

 この世界も同程度には船や天体知識が発達していた可能性は高い。


 しかし、この世界では当時、西の海に行けば魔力の渦に巻き込まれて、空に昇るとも地に沈むとも言われていたそうだ。


「しかし/7 私は/1 魔力感知で/4 気づいてしまった。/2

 魔力の暴風雨の先に/5 陸地が/1 ある/2 ことに/03 」

 沈痛な面持ちでうつむき、話を続ける。


「東に/3 引き返していれば/2 /05 あるいは/6 助かったかもしれない。/2

 その暴風雨で/4 船団は/1 沈み、/2 /7 残りは/1 五隻に/3 なっていた/2 」


「暴風雨を/3 突破する/2 ために/04 周囲の魔力を/3 限界を超えて/6 取り込んだ/2 結果が/01 これだ/3 」

 と、自分の頭の魔石を触る。


 エンジ達に暴魔海域と呼ばれる海域は魔力の暴風が吹き荒れる地帯。

 魔王様はその魔力を利用して海域を抜ける事にしたようだ。


 エンジは教授から魔物化の弊害を聞いている。

 生命活動を停止し、周囲の魔力を奪いはじめるのだという。


「暴風域は/3 脱したが、/2 /7 その後は/5 船の乗組員を/3 犠牲にした。/2

 逃げ場のない船上で/5 一人/1 また一人、/1 私のせいで/4 魔力が/3 枯渇して/2 死んでいった/2 」


 目を伏せて、絞り出すように続けた。

「……私は/1 供の者を/3 食いつないで/2 生き残ったも同然。/2

 陸地に着いた時には/5 船団は/1 三隻に/3 なっていた……。/2

 他の船から/5 民が/1 来てくれていたんだ。/2 /7 誰も/1 私を/3 生かす/2 ことを/03 諦めなかった。/2

 船と一緒に/6 沈めてくれれば/2 /05 助かった者も/1 いただろうに……/2 」


「……つらかったんですね/2 」

「うん……/6

 王様だから/4 皆に/5 弱いところは/03 見せられないからね……/2 」


 目をそらしたまま、つぴっと魔王様は鼻を鳴らした。


「だから/7 この森の外で/5 人に/3 会うわけにはいかないのだ/2 /7 瘴気で/4 絶えず魔力を/3 補充していなければ/2 /05 死なせてしまうかもしれない/2 」


 自分のせいで誰かが死ぬ。それはどれくらい辛かったんだろう。


 しばらくの沈黙の後、また魔王様は話し始めた。



「……私は/1 /7 民を/3 犠牲にしない/2 ために/04 /7 瘴気を/3 取り込んで/2 /04 魔力を/3 補充するために/2 /04 /7 独り/5 霧の森に/3 移り住んだ。/2

 民を/3 少しずつ/6 遠ざけ、/2 /7 そのうちに/5 私は/1 存在しない人間に/3 なった。/2 /7 百年ほど前の/5 地形が変わるほどの/9 大洪水の折、/5 民たちは/1 別の土地に/3 移り住んだようだ/2 」

 魔王様はうつむいた。


「もう/6 実在しない人間と/3 思われていたはずなのに/2 /7 この土地を/3 離れる/2 折に/05 歌って/2 踊って/2 /7 貢物の作物とか/3 供えてくれたりして……/2

 一緒に/5 ついていきたかった……/2 一緒に/5 行きたかったよ……/2 」

 涙が膝の上にこぼれていく。


「だから/7 エンジ!/1

 ぜひ/6 このそばに/5 賑やかな街を/3 作ってほしい!/2 」

 少女の目は一瞬まっすぐエンジに向いた。が、すぐに目をそらす。


「この通り、/6 私は/1 民の思いで/4 生かされたのだから/2 /04 簡単に/6 死んでやるわけにはいかない。/2

 しかし、/7 人が/1 いない/2 のは/01 寂しいのだ!/2 」


「で……でも……/7 今の話を/3 聞くと/2 /05 僕らは/1 敵国の末裔では……/3 」

「祖国に/5 置いていかざるを得なかった/2 民の末裔/03 かもしれんぞ/2

 それに/7 いつか/5 私の民と/3 仲良くしてくれる/2 なら/7 問題ない/3 」

 器が大きいのは王族だからなのか、彼女自身の度量なのか。


「エンジたちが/1 望む/2 のは/01 この周囲の/3 開拓だったな/2 」

 彼女の行動指針としては以下の通り。


 一つ、攻撃されれば反撃する。彼女の民に攻撃した場合も彼女への攻撃とみなす。

 二つ、これから指定する場所を超えて森に立ち入らないこと。



 至極まっとうな要求だけだ。見返りは平和でにぎやかな街の建設。

 正直、もっと色々要求されてもおかしくない。

「分かりました/2 /7 早速/6 皆に/3 周知します/2 が、/7 魔王様の正体は/1 まだ/6 明かさない/2 方が/01 いいんですか?/2 」

「先も/5 言ったように/2 /7 無用な争いに/3 巻き込まれる/2 ことが/01 多くてね……/3

 まぁ/6 エンジに/3 任せよう/2 」

「責任重大ですね/3 ……あれ?/6 」


 不意に体に違和感を感じた。

 強いて言うなら全身があったかい静電気に包まれている感じだ。

「どうした?/6 エンジ/1 」


 感覚の違和感を伝えると魔王様が慌てだした。

「魔力の/3 過剰摂取だ。/2

 瘴気を/3 取り込んでいるようだが/2 /7 そのままだと/5 私のように/3 なる。/2

 今すぐ/5 返そう/2 /7 森の境界は/1 明日/5 日の出のころに/5 /7 こちらが/1 提案する/2 線を/03 引く、/2 /7 あまり森の奥に/3 来ないように/2 /03 伝えておいておくれ/2 」


 動物の骨を被り、長身黒髪になった魔王様の後について森の道を帰ることになったが……そういえば不死者は魔力を使って体を変形できるって教授が言ってたなぁ……と、エンジはぼんやりと思った。


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