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63 【開拓VRβ版実況17】 完全犯罪()

※お使いのパソコン・情報端末は正常です。

 セリフに数字が入力されていますが、本作品の仕様です。


 開拓VRゲーム。Walkers(ウォーカーズ) on(オン) the() Frontier(フロンティア)。略称WotF。

 舞台は十九世紀前後の科学技術を持ち、魔法が発達している世界の新大陸。

 開拓者、狩猟者、学者、貴族、四つの開拓民が協力して未開の地を開拓し、拠点となる街を開き、魔物を退ける。


 現在バランス確認という名目で大規模βテスト実施中だ。

 不具合や説明不足をチェックするために運営がベータテスターに実況を推奨している。


 第一定都から南の岬を回ってたどり着く西の大河のほとり、霧の森の住人を説得しようとやってきたガナフドラ第一警備と、偶然ついていくことになったエンジ。

 エプヴィルが森に向かっている最中、エンジたちが船で留守番している間に、以前森を砲撃した第二定都の街の船がやってきた。


 船べりで顔色を悪くしているエンジに視聴者が話しかけてくる。


― エンジ/1 おーい/6

― 大丈夫?/6

― 知り合いが/1 ロストの瀬戸際だったら/3 /05 焦るだろ/2 /7 そっとしといてやれよ/2


― 撃たれると/3 決まったわけじゃなし、/2 /7 そういう態度で/4 第二定都が/1 反発するんじゃないの?/2

― 今までの情報で/4 信用できる方が/1 おかしい/2

― 大丈夫だってば/2


― 霧の森の周辺/5 まだ/6 測量されてないんだっけ/2 ?/6

― やられて/2 即/6 ロストじゃない、/2 /7 未測量地帯で/5 やられても/2 /05 回収できれば/2 大丈夫/6

― 故意に/6 撃ってきたら/2 /05 二十四時間以内に/5 回収できると思うか/2 ?/6

― PKできるっけ/2 ?/6

― 多分/6 爆発で飛んできたものや/4 炎には/4 巻き込まれる/2


 エンジは黙って霧の森の方を見つめていた。

 視聴者のコメントに反応できないのはいつもの事だが、今回は具合が悪そうなのを心配されてしまったようだ。


 それもそのはず、今、エンジは第二定都の船の砲をあさっての方向に向けるべく、魔法を使ってこっそり川の流れを操作することを考えていた。


 魔力感知は今のところエンジとサリーリルカ、ニスミハがわずかにしか習得していない、かなり特殊な能力であり。魔法がエンジの仕業とばれる可能性は少ない。

 砲台を森から逸らせればいいだけで、ちょっとしたお茶目であって攻撃ではない。



 しかし、パークサズラムが内輪の話をするときエンジに一時配信停止を求めたように、第二定都もこちらの動画をチェックしているはずだ。


 視聴者のコメントから判断して、エンジが魔法を使うと、エンジの実況を見ている人の画面には魔力が表示される。エンジが何をどうしたか一目瞭然。


 第二定都にこちらの非を見咎められたら何が起こるか分からない。

 エンジとしてはまた会社の事務所に怒鳴り込まれるのは嫌だった。


 それらを考えると……


「……配信中断していいですか……?/2 」

― またぁ?/6

― ええんやで/6

― エンジ/1 ぼーっとしてるようで/6 割と/6 繊細だからな/3

― 読解補助語が/1 一個だけなのが/3 /01 余裕なさを/3 表してる/2 /04 無理すんなよ/2

― 実況も/1 『推奨』なんだから/3 /4 ちょくちょく/6 さぼってもいいんだよ/2


 ちょこちょこ中断していて心苦しいが暖かいコメントも多い、エンジは座り込んで船べりに体を預けると、配信を中断し、追いかけ再生も切った。



 切り替わった配信先のいつものお茶の間ではタヌキがぴょこんと動き出し、スケッチブックに『ちょっと待ってね/2 』と書きこんで、寝た。

 実況を見ていた視聴者がいつもの四畳半でぼやいた。

― こういうの/1 あり?/2

― 文句あるなら/5 よそいってら/2

― エンジは/1 まったり実況派だから/3 /04 こういう状況/3 苦手そう/2

― 暇なら/5 第二定都側の配信/3 見つけるの/2 /03 手伝ってくれよ/2 /7 全然/6 見つかんねぇ/2




 WotFに戻ってきたエンジは立ち上がると、霧の森の方を見ながら深呼吸する。

 動画にするときに下手なカメラワークで魔力の痕跡を動画に映したくないのだ。エンジの下手なアリバイ作りだった。


 このリプレイはQ3Dで公開できないなぁ、と思うエンジだった。


 緊張が落ち着いて、魔力の流れは十分。

 エンジは思いっきり第二定都の船の周囲に渦を起こし、急速に旋回させて砲のある側を川上に向ける。

 瞬間、川上に閃光と大爆発が起こった。少し遅れて轟音が届き、風で吹き飛んだエンジの帽子が、甲板を転がる。


「……は?/6 」

 船上にいたほぼ全員がハモった。

 第二定都の船の上流が船数隻分の炎に包まれている。

 しばしの沈黙。


「はあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?/6 」

「えええええええ!?/6 」

「なにあれ/6 なにあれ!?/6 」

「なんじゃありゃあ/1 」

「シャレにならんぞ/3 」

「あんなん/3 撃たれてたら/2 /05 エプヴィルさん達/1 絶対/6 巻き込まれてたよ!/2 」

「外したのか?/2 」

「船が/1 ありえない速さで/6 旋回したぞ/2 」

「示威行為/2 ?/6 」

「何はともあれ/6 当てられなくて/4 助かった/2 」

「もう一個/6 爆弾/3 持ってたら/2 /05 どーすんの!?/6 」

「魔力を探った感じでは/5 もう/6 あれぐらい強力な爆弾は/01 なさそうです/2 」

「ほんとに?!/6 エンジさん/1 信じていい?/2 」

「落ち着け/2 普通の砲弾は/1 あるかもしれん/2 」

「何でそういう事/3 言うの/2 ダグザドル!/1 」


 エンジとしては、まさか本当に撃つとは思わなかったし、威力も想像以上だし、こうなるとも思わなかった。ちょっと風向きが悪いんで何かするなら思いとどまってくれればいいぐらいだった。

 プレイヤーも水夫のNPCも含めて大騒ぎになっていたエンジ達の居る甲板だが。さらに不穏なざわめきが起こる。


「こっちへ/3 来る/2 ?/6 」

「やんのか/6 コラァ!/6 」

 イグドナが身構える。が、相手の船はそのまま下流に流れていく。

 どうやら向こうは急旋回と波にあおられたせいで錨が千切れたらしい。船のコントロールを失い、こちらに何かするどころではない。


 第二定都の船はあっという間に流されて行って見えなくなった。

 スクリューは生きているだろうから帰ることはできるだろう。



 人心地ひとここち着いてから配信を再開する。

 後追い再生はOFFだ、エンジが魔法を使ったのが視聴者視点でばれてしまう。


― エンジ/1 大丈夫だったん?/6

「ご心配おかけしました/6 」

― 何があったか/3 教えて/2

「多分/6 動画/3 作ります/2 」

― イグドナさんの実況で/4 見れた。/2 /7 これは/1 あかんだろ/2

― ダグザドルさんも/1 実況はしてないが/2 /7 リプレイは/1 見れるんだな/2


 見ていた視聴者が居て、魔法を使ったのがばれないかと冷や冷やする。


― 何が/3 やりたかったの/2 彼らは/1

― 大砲の威力も/1 怖い/2 が/7 いきなり/6 船が/1 ぐりんって回ったのも/2 /01 怖い/3 /7 とんでもない機動力/3 持ってるのかも/2

― 威嚇目的って事/4 ?/6

― 流されてったぞ/2 ?/6

― 第二定都側で/5 リプレイを公開してる人は/01 いないのか/2 ?/6


 またエンジの具合が悪くなる。自分のこのリプレイを永久封印するのはもちろんだが、リプレイを公開してる人の中に魔力感知ができる人がいないことを願うばかりだ。



 しばらくしてエプヴィル達が帰ってきた。


「エプヴィルさん!/1 もー/6 危ない事は/1 なしですよ!/2 」

「我のせいではないぞ/2 」

 イドレードへの返事を見るに、元気そうだ。


「エンジ様/1 大変申し訳ありませんが/6 少々よろしいですか?/6 」

 ニスミハさんに呼ばれた。

 霧の森組が少し神妙な顔をしている。


「多分/6 エンジ殿の事だな/3 ?/6 」

「はい/6 改めて/6 感知しましても/2 /05 魔力量が/1 明らかに/6 多いですし……/3 」

― 何々?/6

― どったの?/6


「霧の森の住人がな/1 船に居る魔法使いと/3 交渉する/2 と/03 言ってきた/2 」


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