50 【開拓VRβ版実況15】 フィールドワーク
※お使いのパソコン・情報端末は正常です。
セリフに数字が入力されていますが、本作品の仕様です。
開拓VRゲーム。Walkers on the Frontier。略称WotF。
舞台は十九世紀前後の科学技術を持ち、魔法が発達している世界の新大陸。
開拓者、狩猟者、学者、貴族、四つの開拓民が協力して未開の地を開拓し、拠点となる街を開き、魔物を退ける。
現在βテスト中。バランス確認や不具合や説明不足をチェックするためにベータテスターに実況を推奨している。
南の砂浜で引き続きスライムの養殖の実験中だ。
砂浜に居るのはエンジ、と実験を指導しているテリューナル教授を中心に大学の学生達、お小遣い目当てで手伝いに来てくれた貧民街のちびっこ達、開拓者ギルドで雇った狩猟者達、その中で知ってる顔としてはベクローが居る。
大学の学生達が街の子供たちに指示を出しているがなかなかに混迷を極めている。
「スライムを/3 直接触らないで!/2 トングを/3 使ってください!/2 」
「食べられませんよ~/2 手の消毒は/1 こちらで~す/5 」
「スライムって/1 どぶの泥と/5 同じ味なんだぜ/3 」
「食べちゃダメですよ~/2 謎の毒や/3 謎の伝染病を/3 持ってることがありますからね~/2 」
「旦那よ、/1 /7 学者先生と/1 貴族が/1 こういうとこで/5 仕事して/2 いいんかいな?/6 」
実験場はベクローに言われるほどに申し訳程度の屋根とそれを支える柱しかない……東屋、と言っていいかも怪しい。
「不自由はしていませんので/2 それに/7 安全上/6 死角が少ない方が/1 望ましい/3 」
と、教授もなかなか肝が太い。
サリーリルカも貴族のはずなのだが頓着した様子もない。
「やはり/7 以前襲撃された時の仮説は/1 正しいようです/3 」
大学に野良スライムが乱入してきて育てていたスライムが食べられてしまった時の話。
あのスライムは一瞬で大量のゴミとスライムを飲み込んだのだ。
そのため、教授たちが条件を色々変えて調べてみたところ、スライムの養殖ではスライムの密度がごみの消化速度に大きな影響を及ぼすことが分かったらしい。
「強さの/1 同じくらいの/3 スライムが/01 近くに/5 いると/2 /57 栄養素を/3 消化するより/2 先に/05 お互いを/3 牽制のために/4 攻撃し合って/2 消耗してしまうようです。/2
成長が/1 遅くなったり/2 /7 ちぎれて/2 分裂したり。/2
結果的に/5 ゴミの消化が/1 遅れています。/2
最適密度を/3 調べられれば/2 /57 効率化に/3 つながるでしょう/2 」
― なるほど/6
― いっぱい/6 居れば/2 /05 いいってもんでもないのね/3
― エサ/3 取りあって/2 ケンカしちゃうのか/2
― スライムお前ら/1 仲良くしろ/2
― なんか/6 バカわいいぞ/3 その生態/1
細かい設定が好きな視聴者が楽しそうにしている。
「何で/6 そう/3 なってしまうんでしょう/2 ?/6 」
「魔物は/1 周囲の魔力を/3 自分に/5 共鳴させて/2 /47 取り込んでいます。/2
近くに/5 自分以外の生命体が/1 いると/2 /57 共鳴が/1 乱れて/2 /47 魔力の吸収が/3 うまくいかないのです/2 」
― 切実な生態だった/3
― 近くに/5 同類が/1 いると/2 /05 横から/5 魔力/3 とられちゃうのか/2
― もしくは/6 双方/1 魔力を/3 取り込めずに/2 共倒れ/2
― 牽制が/1 必要不可欠なのか……/3
「人間などの/5 魔物以外の生物も/5 同様のメカニズムで/4 周囲の魔素を/3 取り込むことはできますが/2 /7 通常/6 取り込める/2 量は/01 微々たるものです。/3
そのため/4 人間は/1 主に/6 食品から/5 魔力を/3 摂取します/2 」
― 人にとっては/5 皮膚呼吸みたいなもんかね/3
テリューナル教授によると、魔物が瘴気の中でもダメージを受けない理由がこの共鳴によって魔力を取得する能力らしい。スライムだって魔物なのだ。
「周囲の魔力を/3 見る限り/2 /57 エンジさんは/1 /7 この周囲の魔力と/3 共鳴する/2 力が/01 強いようですよ/3 」
― マジで/6 エンジは/1 食いでのある/2 スライムだったのか/03
「え……/6 」
視聴者のコメントのせいであんまり嬉しくない。
一方、テリューナル教授はエンジの表情からエンジがマイナスの感情になったと判断したらしい。
魔力の過剰摂取による健康不安を感じたと思ったらしく、そこまで心配する必要はありませんよとなぐさめてきた。
NPCとは思えない心遣いだ。
「ときに/6 エンジさん、/1 学者が必要な仕事は/1 ありませんか/2 ?/6 」
「どうしました?/6 」
テリューナル教授から改まって声をかけられた。
「苦学生から/5 相談を/3 受けるんです/2 が、/7 いかんともしがたいことに/6 解決手段が/1 ないのです/2 」
「ああ/6 それなら……/6 」
エンジは地図と周囲を見比べていた。
「鮫は/1 この辺まで/5 来れますね……/2 」
街の南。街から少し離れ、静かな夜の砂漠地帯。東には砂浜と海が広がる。
エンジは砂の下を泳ぐ魔物の気配と、灯りに照らされた地図、測量の目印となる測量魔法の杭を見比べる。
満点の夜空に浮かび上がる岩山のシルエット、この下に魔物が居るとは思えない静かさだ。
「気を付ける/6 」
ケビンが答えた。
― 砂で/4 覆われてて/2 /04 目視じゃ/4 わからん/2 けど、/7 細かく入り組んだ/6 入り江みたいになってんのか/3
― 一歩踏み出したら/5 ケビンくんが/1 いきなり/6 腰まで/5 砂に/4 埋まってた/2 時は/05 びびったわ/2
― ああいう/6 現実にない現象/3 目の前で/5 起こされると/2 /05 ファンタジー世界なんだなーって/3 なる/2
現在エンジは街の南側の魔物の生態の調査をしている。
この辺には砂の下を泳ぐ夜行性の鮫の魔物が確認されており、土地を利用する上で生息域の確認が必要だった。
「エンジさん、/1 ここは/1 もう/5 大丈夫です/3 か?/6 」
「はい、/6 もう少し南に/3 移動します/2 」
学者さんには必要に応じて目印のために測量魔法を使ってもらっている。
夜空の下を歩く一行。
現在のパーティーはエンジ、学者のプレイヤー2名。狩猟者のケビンとエフジドルダ。
そして珍しい事に大学の学生NPCである。オーガのミーレ君だ。
ケビンは以前知り合った緑髪の斧使いの狩猟者のプレイヤー。
もう一人の狩猟者はガナフドラ第一警備から来たエフジドルダ。銀の長い髪をした狩猟者の女性だ。
ガナフドラ第一警備も砂浜を演習に使っているからという理由で、調査がてら警備の人をつけてくれたのだ。
調査費用もガナフドラが半分持っていてくれたりする。
ミーレ君は超大柄だが、大学に通う細やかで紳士的な学者のNPC。
新しく出会ったプレイヤーは二人とも女の子の格好をしている学者。
ウェンカは赤い髪の房があちこちに跳ね上がり、明るいオレンジの目をした気さくな雰囲気。白衣を羽織り、内側に革のコルセットを着け、黒いズボンをはいている。
リスジェイアは黒に近いダークブルーの髪に深い青の目。ウェンカに比べると落ち着いた物腰で、ワンピースのような白いローブを着ているが内側は動きやすいズボンの出で立ちだ。
「でも/6 本当に助かりました。/2
学者って/1 何したらいいか/3 全然わからなかったんですよ/2 」
「ウェンカと一緒に/5 始めたんです/2 けど、/7 学者だと/5 パーティーに/3 入れてもらえなくて、/2 /05 学者二人で/5 本当に困ってたんです/2 」
「僕も/5 このままだと/5 学費が/3 払えなくなる所で/2 ……エンジさんには/3 感謝してます/2 」
― なるほど/6 こうやって/5 マメに/6 NPCとかも/3 気にかけてあげないと/2 /05 だめなのか/3
― 知らない所で/5 知り合いが/1 倒れたりしてそうで/2 /01 怖いわ/2
― 学者さんを/3 うまく/6 外に/5 同行できる/2 方法が/01 浸透すると/2 /05 いいんだけどな/3
今回はゴミ処理場建設のため、魔物の生息域を確認する必要が出来て、セージドとマルシールアの測量をより細かく測り直す事になり、学者を雇う事になった。
そしてたまたまお金に困っていたミーレ君、ウェンカ、リスジェイアの三人に白羽の矢が立ったわけだ。
しかし、この需要が無ければ彼、彼女らがどうなっていたかと思うとこのゲームのバランスに不安が残る。
「そうなんですよ!/6
学者なら/5 クラフト系で/4 行ける/2 かと/03 思いきや、/2 素材も/1 高いし/3 採りに行く/2 にも/05 遠いじゃないですか!/3 」
ウェンカが口をとがらせている。
「僕ら狩猟者は/1 それ/3 やった事ない/2 けど、/7 大変だね/3 」
「わたしは/1 狩猟者/3 だが/7 ガナフドラに/4 拾ってもらって/2 /01 ラッキーだったと思う/3 」
― 狩猟者に/5 魔石狩りのついでに/5 素材を/3 採ってきてもらって/2 加工/2 とか?/6
― 何にせよ/6 上手い/9 仕組みが/1 浸透するまで/2 /05 大変そうだなぁ/2
― ここでは/5 貝殻とかの加工品は/1 無いの/2 ?/6
― 貝殻/1
― そういえば/7 ここ/5 砂浜だよな/1
― マルシールアが/1 不毛の地って/3 言ってた/2 から/7 無いんじゃない/2 ?/6
― セージド達は/1 森林地帯/3 狙いだった/2 から/7 海は/1 盲点だったんじゃないか/3 ?/6
― ついこの間まで/5 海が/1 マジクソ/6 汚れてたろ/3
魔物があちこちに棲んでいる世界だ。戦闘職ではない開拓者のセージドと学者のマルシールアでは調べきれなかった可能性もある。
エンジが聞いてみると、学者三人が三様に返事を返してきた。
「海の生き物を使った素材は/1 あると思います。/2 一人で出歩くのは/1 危険なので/3 /04 学校の図書館で/5 読んだだけですが/2 」
「ええ?/6 えーとですね/6 現物を/3 見てみないと/2 どんな素材に使えるとかは/3 分からないんですよ。/2 ね?/6 リズ/1」
「目視で/4 ちょっとした情報が/1 分かります/2 /7 私達のレベルが/1 低いせいか、/3 /05 本当に/6 ちょっとした/6 情報ですが……/3 」
ウェンカの問いかけにリスジェイアの方もうなずく。
ケビンたちも合点がいったとばかりにうなづいた。
「ああ/6 狩猟者も/5 相手を/3 目視してないと/2 /05 体力ゲージは/3 表示されない/2 」
― 何も/3 見えないの/2 貴族だけか/01
― 魔力が/1 見えるじゃん/2
― それは/1 エンジだけ/3
― 開拓者は/1 どうなんだろうな?/6 あんまり/6 実況/3 見たことないや/2
― プレイヤー同士でも/5 見える世界が/1 違うのか/2
学者の三人は海の調査にも乗り気だ。
「貝かぁ/1 」
「朝になったら、/5 海の中も/3 見てみます/2 」
「僕も/1 ご一緒して/5 いいですか/3 ?/6 」
「こちらこそ/6 どーぞ宜しくお願いします/6 、ミーレ君/1 」
「僕も/1 護衛/4 付いていくね/2 」
「皆/1 まとまって/5 行動してくれると/2 /05 助かる/2 」
狩猟者の二人は、普通であれば言語の違うNPCとの意思の疎通が難しい。しかしミーレ君が学者でマルチリンガルのスキルがあるのか、そういった不都合はないようだ。
砂の方を調べ終わったエンジは、ふと海岸の方に注意を移す。
「?」
海岸まで五百メートル以上。
エンジの精密な魔力感知はまだ届かない。
しかし薄ぼんやりと発している魔力の光は見える。
― 何か/1 いる/2 ?/6
― まるい?/3
― 岩じゃね?/1
― あんなん/1 あったやろか/2 ?/6




