178 【開拓VR正規版実況開始】
※お使いのパソコン・情報端末は正常です。
セリフに数字が入力されていますが、本作品の仕様です。
開拓VRゲーム。Walkers on the Frontier。略称WotF。
舞台は十九世紀前後の科学技術を持ち、魔法が発達している世界の新大陸。
開拓者、狩猟者、学者、貴族、四つの開拓民が協力して未開の地を開拓し、拠点となる街を開き、魔物を退ける。
実況を通じて視聴者にも不具合や説明不足をチェックしてもらう方針のために、運営会社がベータテスターには実況を推奨している。
そのベータテストが終わった。
― 正規版/1 あと三日後なんだっけ?/3
― エンジ/1 起きてこないね/2
― WotFロス/3
視聴者が喋っているのはいつものお茶の間。
こたつの前のタヌキは寝っ転がったままだ。
こたつの上の配信予定日を書いたスケッチブックにはWotFの正規版稼働日が書かれている。
「はぁ……」
エンジはため息をつきながら自分の部屋でペンダントをいじっていた。
パークサズラムにもらった3Dデータから出力したものだ。
中央の透明な部分を覗き込むと、集合写真が見える仕組みになっている。
ベータテストのデータがどのくらい正規版に移行されるかは現時点では不明。
正規版が開始したらこの写真に写る光景がすべて消えている可能性もあるのだ。
分かっていたこととはいえ。この世界に二度と行けない可能性を考えてしまうと、こみあげてくるものがある。
写真立てに入れた集合写真を見ながら、また皆に会えますようにと祈るように念じた。
『エンジ様ですね。/1 ベータ版から/5 引き続きご利用/2 ありがとうございます。/6
このたびは/5 ベータプレイヤー様の/4 多大な/6 ご協力により/2 /04 無事/6 製品版を/3 発売することができました。/2
厚く御礼申し上げます/6 』
目の前の黒猫型のヘルプキャラクター、ハロウさんがおじぎのように体を傾ける。
製品版の初ログイン。
エンジはいつもと変わらない動作確認部屋に居た。
エンジの姿はいつもと変わりのない貴族のエンジ・ノチリスノイラ。
― エンジのアバター/1 残ってる!/2
― ハロウさんの設定も/1 そのままだし!/3
― よっしゃ!/6 勝ったな!/2
― 能力値/1 変わってるかもしれんでしょ/2
― まだ/6 油断できない/2 /7 街が/1 リセットされてるかも/2
『キャラクターを/3 リセットし、/2 作り変えるには/2 /05 部屋の中にある鏡に/3 触ってください。/2
このまま/5 ゲームを/3 再開する場合は/2 /05 部屋の扉を/3 開けてください/2 』
― 絶っっっ対/6 触るなよ/2
― ドア/3 行け/2 /7 ドア/3 ドア/3
エンジはドアノブに手をかけた。
『仕様の変更があるため/4 /7 ベータ版と/5 キャラクターの性能が/1 変わっている可能性があります。/2
よろしいですか?/6 』
― あ/6 やっぱ/6 弱体化/1 入るんだ/2
― 製品版から来る人と/3 差が/1 開きすぎるもんなぁ……/2
― どうするエンジ?/6
『キャラクターを/3 作り直す場合/2 /05 ベータプレイヤーの初ログイン時のみ/5 特典として/5 初期値が/1 増大します/2 』
― え?/6
― そんな餌につられクマ/6
― わざわざ特典付くってのが/1 気になるんだよな/3 /7 相当大幅な/6 弱体化が/1 あるんじゃないかって/2
― 名前も/9 見た目も/9 職業も/9 同じ/6 別人を/03 作り直すとか/2
― でも/7 作り直すと/2 /05 多分/6 NPCとの人間関係とか/3 リセットされるよね/2
「僕は……/1 このままが/3 いいです……/6 」
― よっしゃ/6 行って来い!/2
― ダメもと/3 ダメもと/3
視聴者にやや後ろ向きに応援されつつ、エンジは扉を開けた。
ドアを開けてエンジが立って居たのは港に停泊している船の甲板。
― ログイン場所が/1 自分の部屋じゃない……?/3
― 港の形は/1 第一定都だな/3 /7 北の断崖も/1 あるし/2
― でも/7 建物/1 ちいせぇ/3
― 前は/5 レンガで三階建てぐらいの建物が/1 多かったけど/3 /7 今は/5 数えるほどだな/3 /7 ほぼ/6 木造バラックって感じ……/3
― リセットされた?/2
― 復興中かもしれないし……/2
「潮の臭いが……/1 」
― どした?/6 エンジ/1
「爽やかに/3 なってます……/2 」
― そっか/6 前は/5 水質汚染都市だったから/3
― 汚染前の状態に/3 リセットされてるってこと?/2
― むしろ/6 ベータ版開始時よりもっと前/5 開拓最初期ぐらいの頃の/5 話になってるんじゃ……/03
― 人間関係とか/3 含めて/2 街や世界が/1 リセットされてるかもしれない/2
呆然としたエンジが船から降りた先には馬車が待っていた。
「お久しぶりでございます/6 エンジ様。/1 マリノキアでございます。/1
そして/7 住み込みの学生/9 ジェクルさんでございます/3 」
馬車の横に立つマリノキアさんに合わせて、御者台の横に立つジェクルさんも軽く頭を下げる。
― あ/6
― あ/6
― え?/6
― これ/3 知ってる……/2 /7 第二定都アップデート以降のプレイヤーが/1 新規に始める時の/5 演出だ……/03 /7 この後/5 会社を/3 回る/2
― 俺らが/1 文句/3 言って/2 /04 途中で/5 変わった/2 仕様か!/03
― ねぇ/6 キューイは?/1 キューイは/1 いないの?/2
「遠路はるばる、/6 ようこそ/6 第一定都まで/5 お越しくださいました。/2 /7 長旅は/1 お疲れでしたでしょう、/2 ごゆるりと/6 おくつろぎくださいませ。/2
と、/7 申し上げたいところですが/2 /7 まずは/6 会社と/5 開拓者ギルドと/5 大学に/5 ごあいさつにあがりましょう/2 /7 皆様/1 お待ちですよ/2 」
― そっくりだ/3 アップデート後の新規スタート時の/5 口上と/1
― え!?/6 マリノキアさん/1 エンジのこと/3 覚えてないってこと!?/2 /7 やだよ!/2
― 行き先に/3 開拓者ギルドが/1 入ってるのは/2 /7 第二定都の連中が/1 自業自得とはいえ/6 マファイロさんスルーして/4 苦戦した/2 反省かね/04
その時、目の端に知った顔が映った。
エンジは思わずそっちを向く。
港の荷物運びをしている開拓者ギルドの狩猟者三人組。アードット、ベクロー、カーマン。
エンジが目を離せないでいると、彼らもこっちに気付いた。
そして
「旦那ぁ!/1 帰ってきたんかよ!/2 」
「復興の音頭/3 とれる/2 やつが/01 おらんで/2 /7 てんやわんやだったわいな!!/2 /7 旦那!/1 何とかしてほしいわいな/2 」
「アードッ/1 てめー/1 荷物/3 押し付けんな!/2
さっさと行ってください/2 旦那!/1 こいつらが/1 仕事しねーっす!/2 」
― え?/6
― おまえらあああああ!!/1 覚えてんのかああああ!!/2
― よっしゃああああああああ!!/6
― よく見たら/5 南の灯台/1 建ってんじゃん!/2 南の灯台/1 建ってんじゃん!!/2
「きゅーーーい!!!」
「馬小屋……/5 お……留守番してもらっていたのですが/2 」
「あらまぁ/6 よっぽど嬉しかったのですねぇ/3 」
驚喜したコメントが飛び交う。
向こうから駆けてきた白いちっちゃい生き物を抱きあげて、ようやくエンジは返事をできた。
「ただいま帰りました!/6 」
「きゅ!」