176 【開拓VRβ版実況40】 ラストバトル・終焉
※お使いのパソコン・情報端末は正常です。
セリフに数字が入力されていますが、本作品の仕様です。
※洪水、浸水などの表現に敏感になっている方はご注意ください
開拓VRゲーム。Walkers on the Frontier。略称WotF。
舞台は十九世紀前後の科学技術を持ち、魔法が発達している世界の新大陸。
開拓者、狩猟者、学者、貴族、四つの開拓民が協力して未開の地を開拓し、拠点となる街を開き、魔物を退ける。
現在βテスト中。実況を通じて視聴者にも不具合や説明不足をチェックしてもらう方針のために、運営会社がベータテスターには実況を推奨している。
第一定都の港湾に再び巨大な魔物が現れ、通りかかる船を襲いはじめたため、現在討伐作戦の真っ最中だ。
作戦の都合で発生した鉄砲水により、街は濁流が溢れ、戦況は膠着状態に陥りかけていた。
ダムの放水と干潮時刻を過ぎた事により、魔物が操れる水の量が増えていく一方、エンジ達プレイヤーが強制ログアウトさせられる時刻が迫っている。
ここで決着をつけられなければ第一定都は壊滅的なダメージを受けてしまうだろう。
甲板上のエプヴィルが歯噛みする。
「攻撃が/1 通らん。/2 /7 魔物が防御に使える水量が/1 増えた事と/2 /04 /7 最初に/5 一隻/3 落とされたのが/2 /01 痛い/2 」
パークサズラムは手立てを講じるためにあちこちに連絡を取っていた。
「狩猟者/1 開拓者/1 どうだ?/6 」
パークサズラムの通信にエフジドルダが答える。
「足場が設置できなくて/4 近づけない。/2 竜巻のように/6 魔物を/3 取り巻いている渦が/2 /01 厄介だ/3 」
「エンジ!/1 魔力を/3 操作して/2 /04 魔物の水を/3 剥がせるか/2 ?/6 」
「魔素の支配が/1 強くて/3 /04 近づかないといけません!/2
向かっていますが/2 /7 魔物が/1 下流に/5 流されたので……/2 /04 結界を維持できる経路のほとんどが/1 水没しています。/2 着くまでに/5 時間が/1 かかります!/2 行きつけないかも……/2 」
その直後、「バアアー!」「わー!」とトカゲの魔物に威嚇される声が聞こえ。「旦那ー!」「エンジさん!」「エンジ!?」「坊ちゃん!?」「きゅーーい!!」「せっかく助けたのにここで落ちるのは無しだぜ!?」という声と「すいませんすいません」と謝るエンジの声が聞こえてきたので、多分しばらくは無理そうだ。
「エプヴィル!/1 攻撃を/3 当てる/2 方法は/01 あるか/2 !?/6 」
パークサズラムの問いにエプヴィルとイドレードが答える。
「ちょうど/6 イドレードと/5 話していた/2 」
「魔物は/1 魔力を回復に回す余裕もないほど/4 防御に専念しています。/2 /7 短時間に/5 相手の操れる水の量を/03 越えた/2 物量を/03 叩きこむしかない。/2 飽和攻撃です/4 」
「時間がない……/3 」
焦るパークサズラムにエプヴィルが伝える。
「NPC達を/3 下げさせてくれ。/2
一分後、/5 集中攻撃を行う。/2 合図を頼む/2 」
「飽和攻撃……/3 」
洪水から逃れて屋根に上っていたニスミハは自作の爆弾を握りしめていた。
この爆弾なら威力は十分、しかし未完成の為に取り回しが難しく、迫撃砲に載せる決断もできないまま、こうして終盤まで握りしめていた。
学者の細腕では投擲で魔物に届かせることもできない、せめて迫撃砲が流される前にダメで元々、打ち込んでみればよかった、それ以前に小型のロケットでも開発できていれば、悔いも残らなかっただろう。
そう思いながら魔物を見つめていた。
「学者さん/1 その魔石/3 あの中に/5 投げ込むの/2 ?/6 」
不意に後ろから声をかけられてニスミハは振り返った。
屋根にはNPCの少年がのぼってきていた。
レオワー君はニスミハとは面識がなかったが、ニスミハはエンジと一緒に居た貧民街の子供のNPCとして記憶していた。
「あなたは……/1 前に/5 エンジ様と/3 一緒に/6 居た……/2 」
そこでニスミハはハッと我に返る。
「お子様は/1 避難しているはずですわよ!/2 戦場に/5 居ては/2 /01 いけませんわ!/2 」
すると頬を膨らませて反論する。
「俺だって/1 役に立てるよ!/2
あの水の壁を/3 越えて/2 魔石ぐらい/3 投げ込めるぞ!/2 」
「え?/6 まさか?/6 どうやってですの?/6
大人の狩猟者も/4 やっとの/6 距離ですわよ/3 ?/6 」
「ウェンカさん/1 リズさんが/1 作ってくれた/2 投げ紐。/04
すっげー/6 練習したんだ!/2 灯台の上を越えて/5 的に/5 当てられるんだぜ!/2 」
ちなみに灯台には巨大なレンズが設置されているので、レオワー君はその練習はやめてくださいと叱られたのだが、今のニスミハには関係ない。
「灯台……!/1 」
ニスミハは魔物との距離を見比べる。灯台を越えられるならここから魔物に届くだろう。
「プレイヤーだけ/1 突撃をかけろ!/2 」
砲撃開始曲と同時にパークサズラムから突撃命令。プレイヤーも何とか攻勢に出ようとするが、攻撃魔法は水の壁で阻まれる。
地上付近に水柱があがった。魔物が攻撃を妨害しようとしているのだ。
「ここが/1 正念場/3 /7 攻撃が/1 到達するまで/2 /05 こっちに/5 注意を/3 惹く!/2 /7 無理しないで/2 圧力を/3 かけ続けて!/2 」
エフジドルダが号令をかけた。
「了解!/2 橋は/3 架けられない/2 が/7 こけおどしぐらいならできる!/2 」
ザスフームが粗い足場を作って魔物の攻撃を誘発する。狙い通り、魔物は狩猟者を近づけまいとして近くに出現する見せかけの足場を壊していく。
「砲撃に/3 紛れて/2 /04 放り込んでくださいませ!/2
合図いたしますわ!/2 」
ニスミハが準備を指示し、レオワー君が投石装置を構えた。
多様な砲弾が魔物の水の盾に弾かれて炸裂し、地面に叩き付けられてめり込み、炸裂し、水上に飛沫を上げる。
ニスミハは、砲弾が魔物の頭上に迫り、上空に水の盾が形成されたのを見た。
「今です!/5 」
水の壁の上空で派手な爆炎が炸裂したが、爆風に負けることなく魔石爆弾は弾丸のように飛び込んでいく。
魔物の周囲に水の防壁が戻る前に到達させる。
魔導爆弾の問題点は過去に魔物に感知されている事。
しかしこの砲弾の嵐の中では、魔物にとっては大きめの砂粒に等しい大きさだ。感知して弾かれるか否かは賭けだった。
上空の砲弾を防ぎ終えた水の壁が竜巻のように動き始めた、が、一瞬溶けるように動きを止め、滝のように地面に流れ落ち始める。千載一遇のチャンスを得て、魔導爆弾は薄い滝を突き抜けた。
「……起爆!/2 」
水の壁の中で閃光が光り、大量の水がスコールのように周辺の地面に叩き付けられる。
それが収まると、楽隊の音楽も止まった中、静かに立っている魔物の姿が見えた。
狩猟者全員が固唾をのんでHPバーの様子を見守る。
魔物の左足が一歩、踏み出した。
右足がまた一歩、街に踏み込む、そして
魔物の体がぐらりと傾く、消えていく体から心臓部である巨大な魔石が零れ落ち、力のない投石機のように、近くの家を破壊し、粉々に砕け散った。
巨大な魔物はそのまま街の上に音もなく倒れる、いや、地面に着く直前に、灰のように散り散りになり、風に吹き飛ばされて消滅した。
全員が静止し、次の連絡を待つ。
VRの外から、自分の鼓動の音が聞こえるようだった。
「魔物のHPが/1 消えた事を/03 確認した。/2 /04 討伐完了だ/2 」
パークサズラムの連絡が聞こえて全員の顔が明るくなる。狩猟者は自分の見たものの裏付けを得られ、他のジョブは確定情報に沸いた。
間髪入れずに楽団が戦闘終了の合図の曲を演奏し始め、一大お祭りムードになった。
しかし、プレイヤー達には勝利の余韻に浸る事も許されなかった。
ヘルプキャラのハロウさんが降りてきて、告げる。
『三分後に/5 強制ログアウトを/3 開始します/2 』