174 【開拓VRβ版実況40】 ラストバトル・土石流
※お使いのパソコン・情報端末は正常です。
セリフに数字が入力されていますが、本作品の仕様です。
※洪水、浸水などの表現に敏感になっている方はご注意ください
開拓VRゲーム。Walkers on the Frontier。略称WotF。
舞台は十九世紀前後の科学技術を持ち、魔法が発達している世界の新大陸。
開拓者、狩猟者、学者、貴族、四つの開拓民が協力して未開の地を開拓し、拠点となる街を開き、魔物を退ける。
現在βテスト中。実況を通じて視聴者にも不具合や説明不足をチェックしてもらう方針のために、運営会社がベータテスターには実況を推奨している。
第一定都の港湾に再び巨大な魔物が現れ、通りかかる船を襲いはじめたため、現在討伐作戦の真っ最中だ。
街中で攻撃に参加していたメンバーは、作戦の都合で発生する鉄砲水から逃げるために高台に向かっていた。
洪水から逃げて高台にのぼらなければならない、それはたった今脱出した建物を魔物に押しつぶされたエンジも同じだった。
魔力を感知された場合、背後にいる魔物が気付いて追いかけてくる可能性が高い。
しかし、そうも言っていられなくなった。
「階段が/1 出来次第/2 /05 走れぇー!/2 」
向こうの建物の上階からバサップが叫ぶ。
上流の方から水が街路にあふれ出てきたのを見て、エンジは足元にできるそばから階段を駆け上りはじめる。
魔物を威嚇して白兵組から引き離すためだろうか、船からの砲撃が近くに着弾しているようで、振動を感じる。
そしてアクションゲーム苦手ゲーマーとしては地面からせりあがる手すりの無い階段を、ちっちゃくなったキューイと魔王様を抱えて駆け上るのはかなり冷や冷やする。
― 魔法で/4 水を/3 押しとどめたり/2 /7 自分の周りだけ/5 来ないようにしたりできないの?/2
視聴者の提案はもっともだが、身を守るには水量と勢いがありすぎる。
「直感ですけど/2 /7 あれぐらい/6 勢いが/1 ついている/2 水に対してだと/05 魔法が/1 押し負けます/2 」
最初にワニ型の魔物を倒そうとした時と比べ、市街地に流れ込んで発生した乱流のせいか水の流れが読み切れず、流れも速い。
― 前に/5 サリーリルカちゃんたちを/3 水路から/5 飛ばしたことあったじゃん/2
「本当にダメだったら/5 やってみましょう/2 」
エンジの背後に居た魔物にも水が迫ってきていた。
第一定都の水路を一直線に突き進んでくる大量の水。
水棲の魔物にとっては水は歓迎するところだが、いくらなんでも土石流に巻き込まれたらただでは済まない。
そして、魔物といえど魔王様から食らったダメージは深刻だったようだ。一足飛びに逃げようにも水路から逃げられず、魔法で巨大な濁流を街の街路に誘導してダメージを減らそうとしているらしい。
攻撃のチャンスだが、魔物が街の奥まで進んでいるため砲弾も届きにくく、狩猟者達は水に飲まれないように逃げるので精いっぱいだ。
その土石流の中に一艘の丸太と見紛う舟があった。
舟というには鋼鉄製だし、プロペラのようなものを乗せている。
「フーガス!/1 パムーリンズ!/1 」
高台から魔物の動向を警戒していた開拓者が叫んだ。
鋼鉄の丸太船に乗っていたのはよくイオナの農園にいる狩猟者と開拓者の二人だ。
「へいへーい/6 質量兵器と/3 ジャイロコプターの/3 お披露目だよ~/2 /7 爆弾もあるよ!/3 」
「やー/6 魔物に/3 確実に/6 ぶち当てるための/2 /04 川下りとはいえ/01 骨が折れたよ/6 」
なんと、激流の中を魔物に確実に当てるために船を人力でコントロールしていたらしい。
見ている前でも激流に押されそうなところを強引に進路を変えたり、水路に落ちていた瓦礫をくだいてバランスを崩しかけたりと、骨の一つぐらい折れるかもしれない重労働だ。
しかし勢いは止まらない。
「速力/1 充分!/3 /7 飛ぶよ!/2 」
「OK!/6 」
魔物の手前で、二人を乗せたジャイロコプターは舞い上がる。
そもそもジャイロコプターは推進力によって発生する向かい風を回転翼に受けて飛び上がる構造だ。
凧揚げで風が吹いていないときは走って風を凧に当てるのと似たような構造をしている。つまり推進装置しかないが、推進力によって発生した向かい風を回転翼に受ける事によって飛行できるのだ。
風の魔導回路による推進装置と合わせ、川下りの激流に乗った速度の一部を回転翼に当ててジャイロコプターは水面を離れた。
「おーっとっとー/6 危ない/3 」
魔物を避け、河の周囲に立つ背の高い建物の屋根をかすめながら二人は舞い上がる。
魔物はといえば、ただでさえ必死に土石流を逸らしていたところに突っ込んできた鉄柱を逸らすだけの力はなく、鉄柱を逸らすのに魔力を集中させれば水に巻き込まれる。
結果、魔物は、まともに爆弾を食らった。
舞い上がったジャイロコプターは風の魔法の推進力で上空を旋回しながら魔物に炸裂する爆弾と、街が水に呑まれるのを見守り、少し大きな屋根に不時着し、煙突にぶつかって止まった。
「無事/6 脱出!/2 」
「無茶するなぁ/3 」
高台から二人を見守っていた狩猟者達が安堵の息を吐いた。
街路のあちこちで水が砕け散り建物を削り、そうして巻き込まれた土砂や木材が再び何かに激突して街を飲み込んでいく。
エンジ達にその濁流が迫ってきていた。
「あ!/6 」
流れてきた大岩が目の前の階段を吹き飛ばし、エンジ達は濁流の真ん中に取り残される。
その間に徐々に水位が上がってきた。
「坊ちゃん!/1 流れに負けて/4 再構築できねぇ!/2 」
― うおお/6 どうする?/6
― 助けられないなら/2 最初から/5 やるなや/2
― そのままだったら/5 数秒前に/5 呑まれてたんだから/2 /04 バサップ/1 悪くないだろ/3
― 水面を/ 凍らせる?/2 /6 爆発しそうだな……/2
「きゅ?」
「え?/6 あれ?/6 」
「魔王様!/1 キューイ!/1 」
二人が目を覚ました。
― よかった/6 これで/5 脱出できる/2
― キューイに/3 乗せてもらおう/2
しかし、その希望は魔王様の言葉で打ち砕かれる。
「今/5 ダメージを/3 受けすぎてて/2 /04 体を/3 維持するのが/2 /01 限界だね/3 」
「きゅう」
「キューイも/1 そのようだよ/3 」
― えええええ/6
― てことは/7 今の/5 二人は/1 普通の/6 ちびっこと/3 仔やぎ……/3
― 子ヤギかどうかは/3 知らんけど/2