156 【開拓VRβ版実況37】 不死者の眼
※お使いのパソコン・情報端末は正常です。
セリフに数字が入力されていますが、本作品の仕様です。
開拓VRゲーム。Walkers on the Frontier。略称WotF。
舞台は十九世紀前後の科学技術を持ち、魔法が発達している世界の新大陸。
開拓者、狩猟者、学者、貴族、四つの開拓民が協力して未開の地を開拓し、拠点となる街を開き、魔物を退ける。
現在βテスト中。実況を通じて視聴者にも不具合や説明不足をチェックしてもらう方針のために、運営会社がベータテスターには実況を推奨している。
第二定都で恐怖政治を行っていた一人、ジェヴィ・ノチリスノイラの差し金でネクロマンサーにより幽体離脱に似た状態異常にされてしまったエンジ。
エンジの体はそのまま夜の海に浮かぶ船に運び込まれてしまったが、ケビンが救助に来てくれている。
「ええ、/6 普段は/5 魔力の流れを制御して/4 人に/3 擬態しています/2 」
不意打ちで攻撃を加えてきたものの、ケビンに魔物の証である胸の魔石を看破されたネクロマンサーは大人しかった。
「今のを/3 躱されたら/2 /05 もう/6 打つ手が/1 ありません。/2
降参します/2 」
不意打ちの風の魔法を避けられたのを見てか、ゼファージースの合図で不死者がケビンの周りからぞろぞろと離れる。
「ちょっと!/6 ゼファージース!?/1 」
焦ったようなジェヴィの声がする。
成り行きを見守っていたエンジ達だが、敵はあっさりと降参した。
― ボスの女が/1 焦ってるって事は/2 /05 勝ったん/2 ?/6
― あっさりすぎ/3
切った張ったの大立ち回りを期待していた視聴者は不服の様だ。
― イベントの/5 勝敗が/1 決まったなら/2 /05 エンジも/1 動けるんじゃない?/2
「あ、/6 そうか……/6
……まだ/6 だめっぽいですね/3 」
エンジは自分の入っている袋の周りをうろちょろしてみたり袋をすり抜けて入ってみたが、だめだった。
というわけで透明人間状態のまま話を聞く。
― 女の方は/1 プレイヤーだし/3 貴族だから/3 いいとして/6 /7 男のNPCの方/5 ケビン君に/3 言葉/1 通じるのか/2 ?/6
― 通じてるっぽいぞ/2
― このNPC/1 学者か貴族?/3
― 魔物って/3 言ってなかった?/2 /7 魔石が/1 あるって/2
― 魔王様も/1 おそらく貴族カウントで/4 言葉通じるし/2
部屋の隅からキーキー騒いでいるジェヴィを尻目に。ゼファージースはフードを外し、てのひらを肩の高さに示して降参のポーズをとっている。
船の外を撫でる灯台の光に照らされて、エンジは彼の左右の腕の色が違うのに気付いた。
「ですが/7 少し/6 お話を/3 聞いていただけませんか/2 ?/6 」
「いやだ/6 」
ケビンは周囲をうかがいながら、ゼファージースのお喋りの申し出をきっぱりと断った。ネクロマンサーの男を相手に警戒を解いていない、武器を構えて半身で相対し、顔も若干背けている。
― 聞いたげて/2
― 色々/3 自供する/2 タイミングなんじゃないの/03
― 動機とか/3 過去とかさ/3
― いや/6 なんか/6 やな/6 予感する/03 /7 何かは/1 分からないけど/2
― そう?/6
ケビンは相手のブーツの爪先を目の端でとらえながら言う。
「エンジは/1 ゲームで/5 エプヴィルと/3 話してる時/2 /05 一回/6 死んだ。/2
霧の森の人は/1 目を/3 合わさないで/2 話す。/2
目を合わせて/5 人の魔物と/3 話す/2 危ない/6 」
― ああ/6
― そーいえば/6
― ケビン君/1 箱庭ゲームの試合/3 見てたんか/2
― 最初に/5 会った時/2 /05 エンジの実況/3 見てるって/2 /03 言ってたもんな/2
― 確かに/6 エンジが/3 誘拐された時も/2 /05 こいつ/1 しばらく/6 喋ってたな/2
― 一理ある/6
「……そこまで/3 知られてますか……/2 」
ゆっくりと上げていた両手を下ろすゼファージース、と、一瞬で距離を詰め、ケビンにつかみかかる。
刃物同士が激突した様な火花と硬質の音が響いた。
大きくかぎ爪が伸び、鱗で覆われた竜のような巨大な右手。それをケビンが斧で防いでいた。
「魔物の腕……?/6 」
「こちらは/3 ご存じありませんでしたか?/2
魔物は/1 体を/3 変形させられるんですよ/2 」
途端に肩からもう一つの腕が現れてケビンに掴みかかってくる。
ケビンは拳で手首を殴って鉤爪を逸らすと、斧を振り回して距離を開けさせた。
「驚きましたね。/2 今のも/3 避けますか/2 」
「君/5 腕/1 増える?/2 /6 強く切っても/5 死なない?/2 」
「この人の/9 腕を/3 傷つけたら/2 /05 怒りますが/2 」
白い鱗に覆われた巨大な左腕の横に、肩からだらりとぶら下がっている褐色の人間の腕を、鱗で覆われた右手でやわらかく撫でた。
人の腕はぬいぐるみの様に肩に粗く縫い付けられている。
― うえ/6 何/63 あの腕/1
― フランケンシュタインの怪物みたいだな/3 つぎはぎだ/3
「手加減しない/2 /04 腕/3 しまっておいた方が/2 /01 いいよ/3 」
片や斧、片や素手なのに斬撃の嵐のような応酬になる。
ゼファージースが魔物化した腕を漫然と振るうと、ケビンは伏せて避け、姿勢を崩したゼファージースに魔法を撃ちこもうとする。
ゼファージースは姿勢の低くなったケビンに突然現れる腕で追い打ちをかけるが、ケビンは斧の連撃で腕を撥ね、爪を弾いて距離をとる。
斧と爪がぶつかるたびに火花が散り、そらされた攻撃によって室内の木や塗装がはがれ飛び、衝撃で窓ガラスは割れて飛び散った。
「ゼファージース!/1 私を/3 守りなさい!!/2 」
部屋の隅から金切り声を上げるジェヴィ。
ゼファージースが張り付いたような微笑に一瞬めんどくさそうな顔を浮かべて腕を軽く振ると、不死者が彼女の周りに集まった。集まっただけだが。
不死者の群れが部屋の隅に寄った瞬間。割れてガラスのなくなった窓から飛び込んでくる黒い影と、その懐から飛び出した小さい白い影。
白い影がエンジに駆け寄って小さく鳴いた。
「きゅい」
「キューイ!/1 」
― 静かに/2 /7 俺だ/1 助けに来た/2 /06
視聴者が定番の嘘アテレコをやっている一瞬の間にずだ袋ごと黒い方の人影がエンジをかっさらう。
後を追いかけながらエンジは袋を抱えている人物に気付いた。彼がエンジの入っている袋に声をかける。
「旦那/1 」
「カーマンさん!/1 」
視聴者にしか聞こえないが、エンジは思わず呼びかけに応えた。
「ゼファージース!/1 死体を/3 盗られたわ!/2
追いなさい!/2 」
廊下に出た瞬間に後ろから声が響いた。




