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106 【開拓VRβ版実況27】 サプライズどころではなく

※お使いのパソコン・情報端末は正常です。

 セリフに数字が入力されていますが、本作品の仕様です。


 開拓VRゲーム。Walkers(ウォーカーズ) on(オン) the() Frontier(フロンティア)。略称WotF。

 舞台は十九世紀前後の科学技術を持ち、魔法が発達している世界の新大陸。

 開拓者、狩猟者、学者、貴族、四つの開拓民が協力して未開の地を開拓し、拠点となる街を開き、魔物を退ける。


 現在βテスト中。実況を通じて視聴者にも不具合や説明不足をチェックしてもらう方針のために、運営会社がベータテスターには実況を推奨している。



 ミルフマが相談があるというので、鉄道開通のお祝いがてら皆で西の河港にやってきた。


「皆さま/1 ようこそいらっしゃいました/6 」

 ミルフマの家は森にほど近い、河の側にあるそこそこの大きさの一軒家。刈り込まれた広い大きな庭がある。

 拠点をここに移したらしい、若いメイドさんが付き人の様だ。


「押しかけて/2 申し訳なかったわ/6 」

「そんなことありませんよ/6 お呼びしたのは/2 私ですし/1 」

「無理/3 言って/2 すまなかったな/6 」


 イオナとパークサズラムが挨拶をかわしているそばから、エンジもミルフマに挨拶し、他の面々がお喋りしている間、ふと薄っすらと霧のかかった庭のガーデンテーブルの方を見た。

 知った顔の人がいる。顔は見えないので動物の骨だが。

「まお……っ!主さん!?/1 」

「エンジ?/1 ああ/6 久しぶりだね/6 」

 霧の森の魔王様だった。

 以前と少し違うのは黒いマントは変わらないが、少し大きめのネット編みのストールを着けている。


「旦那/1 誰でぇ?/6 」

 初対面のアードットが首をひねる。


「霧の森の主さんです。/3 この森一帯の/5 管理者とか/03 顔役みたいな人です。/03 以前は/5 滅多に森の外に/5 来なかったんです/2 」

― うーん/6 絶妙な/6 言い回しだ/3

― 俺らも/1 この人が/1 何者か/3 /03 よくわかってないんだよ/2

― 隠遁した賢者とか?/3


 そういえばエンジは視聴者にも魔王様の詳細を伝えられていない。伝えられる日は来るのだろうか。


「きゅー!」

「そなたも/1 元気だったみたいだね/3 えーと……/6 」

「キューイです/1 」

 きゅきゅきゅいと鳴くキューイの鳴き声をふんふんと聞いている魔王様だ。どうもキューイの言葉が分かるらしい。

 キューイは魔王様に助けてもらってエンジの家にたどり着いた経緯がある。


「まお……主さんは/1 森の外に/5 出て/2 大丈夫なんですか?/6 」

「短時間なら/5 魔力の強いミルフマやエンジと/3 一緒に/6 居れば/2 /05 大丈夫みたいでね/3

 たまに/6 ミルフマとは/5 お茶を/3 ご一緒させてもらってる/2 」


 想像以上に仲良くなっていた。

 この分だと魔王様が元人間の魔物ということを明かせる日も遠くないかもしれない。ミルフマはもう知っているのだろうか?


「こんな風に/6 服に/5 魔石を/3 飾れるようにしておいて……/2 /7 この魔石が/1 なくなってたら/2 /05 森に/5 帰ってるよ/2 」

― ???どゆこと?/6

― 盗られるとか?/2

― なんかのまじない?/3


 この説明だけだと視聴者にはよく分からない仕組みだが、ストールをポケット状にし、魔石を入れられるようにしてあった。身に着けている魔石を消耗しはじめたら危険信号という事なのだろう。


 そもそも、魔王様が人目を避けて暮らしていたのは魔物特有の魔力吸収能力で周囲の人の魔力を無差別に吸い取って衰弱させてしまうからなのだ。

 意外と堅実に安全装置を設置した上での交流だったようだ。



「エプヴィル様、/1 イドレード様は/1 何人ぐらいで/5 いらっしゃるのでしょう。/2 あまり大勢になると/5 ミルフマ様に/3 ご迷惑ですわ/2 」

 ニスミハがエプヴィルに問いかける。

「それが/7 連絡が/1 途絶えたきりでな/2 」


 そんな時、西の大河の上流から数隻の船団がやってくるのが見えた。



― あれ/1 ノチリスノイラの船だね/3

「イドレードさんたちが/1 乗ってるの、/2 あれじゃないですか?/3 」

「成功したようだ/2 」

「よし/6 」

 エプヴィルやパークサズラムがなにやら話している。

「成功?/2 ……イドレードさん達が/1 乗ってくるにしても/2 /05 多くありませんか/3 ?/6 」


 パークサズラム達がばつの悪そうな顔を見合わせる。


「……それじゃあ/6 改めて打合せするか。/2 事情を/3 知らないのは/2 エンジだけか/1 ?/6 」

 パークサズラムがこともなげに言った。

「え?/6 」

「ごめんなさいね/6 エンジが/1 配信を/3 停止したら/2 /05 何か/3 やってるって/2 /01 ばれちゃうから……/2 」

 パークサズラムの言葉を受けてイオナが申し訳なさそうな顔をした。

「事を構える可能性もあるから/4 改めて/6 全員で/1 確認しておきたいわね。/2 伝わってない話が/1 あっても/2 困るし/6 」

「え?/6 」


「情勢が微妙だったんで/4 情報が/1 向こうに/5 筒抜けになるのを/3 避けたかった。/2 /7 誰が/1 何を/3 把握している/2 ?/6 」

「我は/5 パークサズラムと/1 イドレードが/1 少しずつ/6 伝えてきた/2 情報以外は/01 分からんぞ/2 」


― エンジに至っては/5 完全に/6 蚊帳の外だったもんな。/6 聞いてないよな/2 ?/6

「僕は/1 何も/3 聞いてないですね/2 」


「……北西の平原に/3 来ていた/2 第二定都の難民が/01 乗ってる。/2 千人近く……/3 」

「きゅい、きゅぅーう」

 一瞬どうしようと思ったが、とりあえず足下に戻ってきたキューイを撫でて落ち着くことにした。




 ミルフマの家から街を南西に下ったところにある船着き場。


 狭い河港に次々と大きな船が到着している。小舟を出して後ろの船から病人らしい人を先に運び出している船もある。

「きゅーーい」

 壮観な様子にキューイが声をあげる。エンジの横にはエプヴィルが来ていた。


「方針とかは/1 決めてあるんですか/2 ?/6 」

「大枠ではあるが/7 話し合って/2 決めている。/2

 エンジ殿は/1 毎回/5 律義に/6 配信していたので/04 急に/6 配信がなくなると/05 不審がられそうだったのでな……/2 」

― 律儀な配信が/1 仇になったのか/2

― 最近は/5 日刊今日のキューイって/1 感じだったから……/6

「じゃあ/6 全部お任せしちゃったほうがいいですね。/2 必要があれば/5 声をかけてください/2 」

 その時、パークサズラムが誰かを見つけたようで声をあげた。


「ウォンバーネフ!/1 」

「パークサズラム君!/1 元気そうだね!/3 /7 ミルフマ君は/1 元気かい!?/3 」


 パークサズラムが声をかけたのは淡い茶髪で碧眼、整った顎髭。立派な体躯の男性の貴族らしい恰好のプレイヤーだ。


「こちらが/1 ミルフマ殿も言っていたご友人か/3 ?/6 」

 エプヴィルが声をかけると、男性はきびきびした動作で向き直る。


「私は/1 ジーハ第三十七医療会社社長/3 ウォンバーネフ・ジーハだよ!/3 よろしくたのむよ!/6 」


「我は/1 ガナフドラ第一警備のエプヴィルだな/3 」

「イドレード君から/5 聞いてるよ!/2 会う前から/5 お世話になったね!/2 」


「私は/1 商業会社をやっています。/3 ドーエク・フロードです/3 」

「私は/1 ダスバックス第五農業会社のイオナ・ダスバックスよ。/3 こちらこそよろしく/6 」

「ドーエク君と/3 イオナ君だね!/3 /7 食糧/1 助かったよ!/2 」

 わいわいと皆で自己紹介していったあと、話を進めたのもイオナだった。



「着いて早々/5 申し訳ないけど/6 /7 よろしいかしら?/6

 医療会社なら/1 医療施設/3 作れる/2 ?/6

 あそこに居る人たちは/1 病人か/3 怪我人よね/3 ?/6 彼らを/3 収容する/2 簡易の療養所が/01 必要よ/3 」


 イオナの言葉を継いで地図を睨んでいたドーエクがエンジの方を振り向いた。

「川の周辺は/5 ノチリスノイラの土地が/1 多いんです。/3 エンジさん/1 かねてよりご相談していましたが/6 この下流の土地/3 貸していただけますか/2 ?/6

 感染の有無にかかわらず/5 街から離れていた方が/1 安全ですし。/3 

 生活排水が/1 紛れず/2 交通の便が/1 良い/3 所だと/05 この辺が/1 妥当かと/3 」

「え/6 はい/6 」

「大体の資材は/1 運んでおきましたが、/2 /7 必要なものは/1 現地で/5 確認していただくことになると思います/2 」

 ここに来る直前、倉庫として使うかもしれない土地を云々と言われた場所だった。本当の目的はこれのためだったらしい。


「エンジ/1 緊急事態だから/3 /04 魔力も/3 貸してもらえるかしら。/2 開拓者は/1 すぐに送るわ/2 」

「わかりました/6 」

― エンジ/1 人が良すぎない!?/3


 そもそも、エンジは大きな組織を自分の裁量で動かすのは苦手だ。


「どちらかというと/6 あんまり責任重大な役職を/3 任されなくて/2 ほっとしてます/6 」

 何も聞いていなかった以上、他の人達が事前に十分検討していたならそれに乗るのが一番楽そうだと思ったエンジだ。



「ウォンバーネフは/1 エンジに/3 ついていって/2 指示して/2 」

「通信魔法/3 つけておくから/2 /7 必要なものは/5 俺に/3 連絡してくれ/2 」

 イオナ達の指示にウォンバーネフは目を丸くしていた。

「……何かダメなところが/1 あったかしら/2 ?/6 」

「いや/6 了解した!/6 」


 エンジについて移動するウォンバーネフがひっそりと話しかけてきた。

「すごいな!/6 即決で決まるな/2 君たちのところは/1 」

「イオナさんと/1 ドーエクさんは/1 組織運営に/5 強いですよね。/2

 エプヴィルさんは/1 戦闘で/5 強いです。/2

 ミルフマさんは/1 誠実で堅実ですし。/3 パークサズラムさんは/1 切り替えが速くて/3 思い切りがいいですよね/3 」

「思い切りか……/2 」

 ウォンバーネフが少し遠い目をした。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 第二定都は、街中でプレイヤーによるNPCキルが横行しているとか、街の発展を考えていないとか、βテスト以前に、ゲームデザイン的にも最悪のケースになっているのではなかろうか。 ある意味でテ…
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