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 私と彼の共通の知人(と言っても私の知人の殆どが共通だが)からよくされる質問がある。彼と私が付き合っているかどうかだ。大体は別に付き合っていないと答えるし、相手が可愛い子なら即座に口説き文句を送るんだ。折角主人公になれたんだし、新しい人生を楽しまなくちゃ損だろ? ハーレムの夢は絶対に諦めないのさ。


 でも、偶に別の返答をする時もある。相手が女の子で、さらに言うなら彼に好意を寄せている場合さ。


「さてさて、どっちだと思うんだい?」


 意味深な顔で返答すれば何かを勘違いして去っていく。どうも彼に恋をする相手は原作キャラでもない限りは口説く気になれない。まあ、原作キャラが彼に好意を向けようが私が横からかっさらってやるけどね。


 昔から私の隣に居てくれて、私の手を握ってくれて、私の頼みを聞いてくれた大切な幼馴染み。その隣をキープしつつ原作キャラを手に入れることが出来る。うん、我ながら素晴らしい作戦だと思う。


 ……でもなあ、彼って男女問わず友人多いし、中には恋愛感情に発展するのも居るから少し不安だよ。彼に恋人が出来たら私に構ってくれる時間が減るじゃないか。だからいっそのこと本当に付き合ってしまえば良いかもと思う時もある。まあ男嫌いの私にとって唯一結婚しても構わない相手だし、もっと多くの可愛い子を落とす為には経験から来る色気も必要だろうし? ハーレム唯一の男にしてやっても良いかなぁとは思ってるよ。


「お前と付き合うとかどんな悪夢だ」


 ……実に失敬だ! この超絶美少女の遥ちゃんが彼女になってあげようと言っているのに幼馴染みとして側に居る方が良いって正気を疑うね。



 ……でも、そんな彼と私が結婚する未来も有るとか。ふむふむ、その選択をした彼は実に利口だね。奇跡的な確率で付き合うことになったら浮気は禁止とか言われたこと有るけど、美しい花は数多く集めて愛でるものだ。きっと理解を示したんだろうね。



 え?彼にデレデレになって女の子に向ける余裕なんかなくなるんじゃ無いかって? はははは! 有り得ない有り得ない。だって私は主人公だぜ? さて、どうにかして彼を私にメロメロにさせなくちゃね。他の男が寄ってくるのも防げるしさ……。






「むむむ……『三番に膝枕をされながら頭を撫でられる』」


 エリアーデの別荘でのお泊まり会(一名余計なのが居る)の夜、トランプでビリになった小鈴は箱に入れた罰ゲームの紙を引くなり三番目になった彼の方を向く。押し殺しているつもりなんだろうけど尻尾代わりのポニーテールが動いているし、目が輝いている。


「おや、流石に恥ずかしそうだね。ならば同性である私の膝枕で構わないだろう? 頭と言わず全身を撫で回して……」


「同性という自覚があるのなら自重しろ。……手早く済ませるぞ」


 中々楽しそうな罰ゲームが有るのに私と子猫ちゃん達が絡める機会が得られない。……これは最後の最後に凄いのが来るパターンだな。徐々に盛り上がって寛容になってきた所で……グッドだ。


 私が手招きをした途端に怯えた様子で彼にしがみつく姿も可愛いよ、小鈴。お持ち帰りして撫で回したいなあ。お風呂で全身をくまなく洗ってあげてさ。



『そ、そこは駄目です!』


『こらこら、手を退けなさい。うまく洗えないだろう』


『で、ですが……』


 ……最高だ!


「……何を妙な顔で笑っているんだ、お前は……そろそろ終わる時間だな」


 完全に理性がとろけきって至福の顔になった小鈴を撫でながら彼は時計に目を向ける。ああ、確かに遊びの時間を終える頃合い。女子で一緒にお風呂に入る時間だ。


 成長途中の未熟さを持つ初々しい刹那


 小柄ながらたわわに実った果実を持つ鹿目


 あどけなさと平均を超えた肉体を持つ小鈴


 残りの二人もだけどこの三人との仲をお風呂イベントで一気に進展させよう。ふふふふふ。実に楽しみだ。さぞかし目の保養になる光景が見られるんだろうね。


 思わず顔がにやつき思考はこの後のお風呂のことばかり。だからか最後の一回で負けてしまった私は罰ゲームのクジを引く事になってしまった。……成る程。これで子猫ちゃんに私を普段より意識させた状態でお風呂って事か。感謝するよ、神様。



「『二位の膝に座って告白する』……二位は」


 おや、女の子かと思いきや彼だ。露骨に嫌そうな顔をしているね。ふふん。少しイラッと来たから悪戯してやれ。視線を向ければ子猫ちゃん達が少し機嫌が悪そうだ。嫉妬だね。うんうん。水着イベントで距離が一気に縮まって自分の気持ちに素直になったんだね。


「じゃあ座るぜ?」


「……おい」


「私はちゃーんと膝の上に座ってるぜ?」


 私は彼と向かい合うようにして膝の上に座る。背中を預けることが出来ないので落ちないように首に手を回して密着し、耳に息がかかる距離に顔を持って行く。



 恋愛には駆け引きが重要。こうやって嫉妬心を抱かせると同時に彼を陥落させれば一石二鳥だろう? 流石に恥ずかしいみたいだし意趣返しにもなっているしね。


 ……流石に私も少し照れるから顔が熱いし鼓動だって速くなる。それは彼も同じなのが伝わってくる鼓動で分かった。……は、早く済ませてお風呂を楽しもう。

 


 私が出来る限りの甘えた声を出し、よりいっそう体を密着させる。自慢の胸が押し潰されて少し苦しいけど余裕を保ちながら私は声を出した。「私は君が好きなんだ。君で良いのでもなく、君じゃないと駄目だ。私の全てを君に捧げる。だから……私を愛して欲しい。いや、愛してくれなくて良い。欲望のはけ口にするだけで良いから私の愛を受け取って側に居させて欲しいんだ」


 最後にキスをして欲しいとばかりに目を閉じて顔を間近に持って行く。ふふふ、恥ずかしいだろう? 私も照れるが君の方が恥ずかしいはずだ。


 ……あれ? どうして私の腰に手が回されて抱き締められてるんだ? えっと、本気にしちゃった? いや、罰ゲームだよ!?

 別に君ならそう言った関係になるのも悪くないけど、流石に私にだって理想とか……。


 それに他の皆も居るし、もしかして君ってそういった趣味……? 仕方ないなぁ。受け入れてあげよう。複数人同時に抱くとか浪漫だって思ってたし、見られるのは仕方ないか。でも焔は何処かにやって……。








「よし。俺が捕まえておくから皆は風呂に行ったら良い。絶対に逃がさないから安心しろ」


「おい!? 私の乙女心返せ!」


「お前にそのような物存在するか。無い物をどうやって返せと言うんだ……」


 あ、呆れたように言いやがって! 見ていろ、そのうち押し倒して私の物にした後で謝らせてやるからな!!



「……本当に大丈夫ですか?」


「あ、主殿。拙者は主殿が護ってくださるのなら平気ですしご無理をなさらずに。……それなら一緒に入れますしお背中をお流し……いえ、何でも」


「水着なら一緒に入れるしいいんちょーも来るー?」


 こ、これはチャンス到来か!? お風呂でのセクシーイベントの予感が来たー!?





「いや、大丈夫だ。この馬鹿は俺がずっと抱き締めて離さないから安心して入浴すると良い」


 あ、終わった。子猫ちゃん達が、お風呂イベントがぁ……。






「……酷いなぁ。折角の機会だったのにさ」


「自業自得だ馬鹿者」


 腹立つし不貞寝してやれ。こうやって抱き締められてると安心するし熟睡できそうだ。ふふん。腕の中でスヤスヤ眠る私をどうすべきか迷うと良いさ。邪魔したお返しだ。




「お休み……」


 本当に君の腕の中は心地良くて安心するなぁ。ずっとこうしていたいとさえ思えてくるよ。目を閉じると直ぐに意識が途切れる。子猫ちゃん達がお風呂から上がって暫くしても私は起きず、当然彼は私が落ちて体を打たないように抱き締めているしかなかった。



 あはははは! 仕返し成功だ。……でもまぁ少し悪い気もするし、今度家のお風呂で水着で背中でも流してやりに突入するか。

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