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レバースゲーム  作者: 安楽岡 千輝
スターティング
1/1

プロローグ

目が覚めた場所。

柔らかな光に包み込まれている。

俺は座り上がり、周囲を見回す。

自分が座っている芝生は青く見え、まるでパンパのように天際へ蔓延している。緑の世界の中で、ただ一本の道が見える。空は夕方になったように、オレンジ色で染めている。ただ、身の廻りの全ては幻であり、実体があるかないかと確定できない。このような景色は、人生の中で一度も見なかった。

「ここは、どこ?」と、囁く。

手を開いたり、閉じたりしている俺は、自分が真っ白な服を着ていると気付いた。

死後の世界、かな?しかし、何かが起こったのか全然覚えていない。

自分のこともほとんど覚えていない。

本能的に言った言葉は確かに中国語だということによると、俺は、中国人なのか?

これはいわゆる記憶喪失?どんなに頑張っても何も思い出せない。今は、中国人であるかもしれないという手掛かり以外自分のことについて何も知らない。

感じられるのは、今ここに存在しているという事実だけだ。

突然、心の中である声が響く。

「迷っている少年よ」

迷っている少年って、俺のこと?

魂之道ロード・オブ・ソールを沿って、わしの所に来なさい」

その声は男か女か判らないけど、神聖な気がしている。立ち上がった俺は、唯一のある道を歩き、前に進む。

金色な煉瓦に舗装された道の果てが見えないと思ったが、何分だけが掛かり、俺は道の尽くしに立っている。

「神に選ばれた少年よ」

その声はもう一度響く。

「あなたは?」と、俺は叫び出す。

不安が心で溜まりつつある。

「わしはこの世を救う救世主セイバーです」

姿はまだ見えない。

前にあるのは、広く緑色のパンパだけだ。

「すみません、わたくし、死んだんでしょう」と、肯定的な口調で問いた。質問より、自分で判断した事実を言い出した。

「そうです」

やっぱり……

意外的に情感もなく、ただ想定できた事実を確認した。今の俺は自分の身分も分からないし、死因も分からないし、悲しみや苦しみなどが感じられないのは当然だと思う。

今の気持ちと言えば、「疑い」なのだ。

「だが、あなたは、そこで死ぬ運命さだめではない」

まるで俺の疑問を答えているように、その声は言い続けた。

「ここに来られたのは、死ぬ運命さだめではない魂です。意外に殺害されて、事故で命を失って、死ぬはずではない魂だけが来られるんです」

では、俺も死んだはずではなかったんだろう?

「じゃ、わたくしの魂をここに連れてきて、何のためですか?」

思考しながら、俺は質問した。

「神に選ばれた少年よ、ゲームで勝ったら、あなたは復活できます」

「ゲーム?」

「そうです、蘇り(レバース)ゲーム。復活だけじゃなく、あなたが生前の願い事も叶えられます」

「でも、今の私とは関係ないんでしょう?生きてた記憶もないし、死因も分からないし、たとえ願いが叶えても、今の私に……」

「あなたに関する全ては、ゲームの始めに教えます。ただし、規則によって、死因を除いて」

「なぜですか?」

「あなたは後悔しないよう」と、あの声はそう言った。

「わかった」

後悔しない気持ちより、好奇心が溢れ出した。

この体に居た魂は、一体どのような人格なのかと、知りたくなってきた。

「では、ゲームの説明を始めます」

「ゲームの期間は一年であり、10段階があります。毎段階はそれぞれの任務ミッションがあります。任務ミッションが完成されたら、次の段階に進めることができます。任務ミッション失敗の場合、処理されます。あらゆる参加者は、瀕死状態である魂です」

全部、俺のような人ですか……

「十五人の参加者は五つの三人チームで分けられ、参加者はそれぞれ一種の超能力を賦与されます」

「超能力って?」

興味がますます濃くなる。

「ゲームの進行を加速するための手段です」一年間の闘争で最終の勝者を決めます。勝てるのは、一つの三人チームだけです」

「じゃ、負けたら……」

「負けたら、処理されます。つまり、消えます」

人の魂を処理することなんて少しひどいだと思うかもしれないが、元々なくなっていくはずの俺にとって、そんなに厳しくないらしい。

「分かりました」

できるだけに冷静の声で、俺は応える。

「では、最後の参加者ですね」

他の十四人はもうゲームを始めたのかと思ったが、すぐ自分の考えを否定とした。今俺がいる時間は、生きていた世界のように常識的な判断ができない。

このような競争を目的としたゲームはきっと公平である。或いは競争の意味がなくなってしまうかもしれない。

「ゲームを楽しみにしてください。では、レバースゲーム、始め(スタート)!」

強い光を感じ、俺は目を閉じた。





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