あとがき
ライト戯曲「弁天劇場のジュリエットたち」をご覧いただきましてありがとうございます。舞台では大体悪役か警官役だった南 群星です。
本作は2015年に「劇団オグオブ」という小劇団で上演された舞台を元に、その台本を「ライト戯曲」として再編集したものです。
今時の若い人にはまず「戯曲」とはなんぞやという所から説明する必要があるかもしれません。「戯曲」とは舞台で上演することを目的として書かれた、いわば「台本」を一般の人も読めるように書籍化したものだと思って下さい。
「小説」という形式が成立する以前は、物語はこういった「戯曲」というスタイルで書き記されて伝えられていました。その風習は近年まで作家の表現方法の一つして多くの小説家の人々が戯曲を書き残しています。
お芝居で上演することが本来の目的なので、物語は当然ながら「会話」を主として進められます。情景を描写する「ト書き」はなるべくシンプルに短く書くのが基本です。まあ中には谷崎潤一郎や真山青果といった、上演することをまるで考慮していない戯曲を書く方も大勢いらっしゃいましたが・・・
過剰な表現が少なく、会話だけでポンポンとテンポ良く物語を進めて行くスタイルは昨今の「ライトノベル」に近い感覚があるのでは?と思い立ち、今回実験的に「ライト戯曲」という新しいジャンル(誰か先にやってる人はいるかもですが)を創設して書き起こしてみました。皆様のご感想はいかがのものだったでしょう。
作中の「ロミオとジュリエット」のパートにつきましては、小田島雄志訳版(白水社刊)と坪内逍遙訳版(青空文庫https://www.aozora.gr.jp/index.html)を参考にさせていただきました。この場にて改めて感謝の意を申し上げます。
「ライト戯曲」シリーズに関しましては、皆様のご要望があるようでしたら過去作品を中心に今後もアップしていこうかと考えております。その際にはまた皆様の暖かいご声援をいただけますよう、よろしくお願いいたします。
2018年 11月 南 群星
公演記録
2015年4月25日〜26日
劇団オグオブ第17回公演
東京キーノートシアター
本作の上演申請につきましてのお問い合わせは下記アドレスまでご連絡ください。
gunseinan99@gmail.com