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雪が降るまで異界でともに。  作者: イルミネ
第一章:始まりの街
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見えない制限

「ここからはドラゴンの巣だ。 気を引き締めて行くぞ。 」


ゴブリンを倒した草原を抜け、緑深い森へ入っていった。 緑と薄茶色に包まれた景色は何とも落ち着いた雰囲気を醸し出していた。 だが、ここで戦うとなると条件は悪い。

そんなことを思っていると、もうすでにかなり内部まで進んでいたらしい。 振り返ってみても目に映るのは樹ばかりだ。

そのまま森を進んでいくと僅かに、しかし確実に気温が上がっていくのを肌で感じた。


顔や指先に、なんとなく違和感を覚える。


電気風呂程度の弱い痺れが顔全体に広がった頃、 セノが気を引き締めろと言ったのだった。


違和感を払拭するため、顔を両手で ぱんっ と叩く。 歩みは止めない。


それからほんの数歩進んだ時だ。



ゴオオオオオオオオオ



「っ ! ! ! 」


地を這う重低音が足の裏を通って、次第に身体中の自由を奪う。


「ちっ… くそっ! なんなんだよっ… これっ…! 」


金縛りよりも数倍強い拘束を振りほどこうと肩や膝、身体中に力を入れてみても、目に見えない縛りは一向に解けない。

無力な自分にドラゴンの爪が近付いてくる。


爪が自分を捉え、前足の影に覆い潰されそうになった その時だ。


「 」


セノの手から淡い光が一球現れ、 爆音と共に弾けた。

注意を逸らされたドラゴンの足は俺の右方に着地、息付く間もなく二、三、四撃目がセノを襲う。


土ぼこりが葉や草を巻き上げる。


その土ぼこりを掻き切るように樹が根元から倒れた。


あまりに短い出来事だった。


「セノ! ! ! 」



声を上げた頃には土ぼこりは収まりかけていた。


「セノ! んぐっ…! 」


もう一度叫んだ声は、背後から伸びてきた手に塞がれた。


「隠れるぞ。 」


そう言うと彼は俺の背中に手を当て


「 」


わずか2秒で拘束を解いてくれた。

ずっと力を入れていたせいか、 ほどけた瞬間に少しフラついてしまったが。


「 」


何を言ったのかは聞き取れなかったが、 腕を引いてその場を離れようとするセノの目的はわかった。


ドラゴンに気づかれるより数秒早くその場を離れ、 死角となる草陰に身を潜めた。



「セノ、無事だったんですね。 」


「ああ、危ないところだったがな。 」


セノは目を合わせない。

周囲、特にドラゴンへの警戒を切らないようだ。



「連携、行けるか? 」


目線はドラゴンから外さないまま、セノが問いかける。

こちらの返事を聞かぬうちに彼は続ける。


「一瞬でいい。 ヤツの気を引いてくれ。 その隙にバインドをかけて動きを封じる。 そこを斬れ。 」


この問いに選択肢などない。

あるとすれば、やるかやらないか、生きるか死ぬかだ。

やるしかない。


でも、どうやって?


(なにか、アイツの気を引けるもの…。 )


周りを見渡てみる。 最大限に頭を働かせろ。



木、枝、葉、草、土や石ころ、

セノの銃と自分の剣。


銃…、 そうか。 それだ。


ただ、火は危ない。


(だったら、 )


俺は剣を左手に持ち替える。

空いた右手は、指二本を突き出した銃の形を作る。


(イメージしろ。 明確に。 )


背中や足の裏からぐっしょりと湿ってくるのも気にせず、俺はそっと目を閉じた。

指先…、 銃口に光のエネルギーを集めることに全神経を注いで。

球を形成するイメージ。


ゆっくり目を開く。


(出来た…! )


これをドラゴンの耳元へ。


親指で正確に照準を定め、



発射(いけ)



(頼む、響け! )


光球がドラゴンの耳元に届いた時、そう強く願った。

願い通り、 光球が ダイナミックな破裂音と共に弾けた。



グルオォ??



ドラゴンの意識が音源の空間へと向く。


その一瞬の隙をついて


多重拘束(バインド)! 」


セノの前方の空間から白い鎖が何本も現れ、ドラゴンを縛り固めた。


「よし、 ナナ、今だ! 」


俺は勢いよく草陰を飛び出した。

こんにちは。こんばんは。

イルミネです。


違和感は、「感じるもの」ではなく「覚えるもの」ですよね。

その辺、気をつけました。

が、他にも文法的エラーがありましたら、お知らせください。


さて、次回は16日の土曜日、午後6時ごろを予定してます。

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