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雪が降るまで異界でともに。  作者: イルミネ
プロローグ:これって異世界転移ってやつ?
1/26

プロローグ


…。


……。



「なあ、 ここどこやろな…? 」


「さあ? どこなんやろうな…。 」


「少なくとも、 学校ではないわな。」


「そりゃあ、まあ、、、見ればわかるわ。」


一面の草原。

木も数本視界に写るが、だいたいは草だ。


背後から吹く風が、足下の靴ほどの高さの草を揺らす。 制服の裾や首に巻いた薄手のマフラーも、つられたようになびいている。


場違いにもある台詞が浮かんできて、 言うべきか言わざるべきか。 悩んだ結果言ってしまうのは血筋か。


「今日は風が騒がしいな。 」


沈黙が走る。


「…ごめんなさい。言いたかったんです。 我慢出来んかったんです。 」


横で、ぷっ と吹き出す声が聞こえた。

次いで、はっはっは っと 笑う声も。


「せやな。 どうせ、真面目に考えてもわからんわ。 」

「なあ、これ、いわゆる異世界転移ってヤツじゃない? ちゃうかな? 魔法とか撃てたりして! 」


と、笑いながらも案外的を射た発想を出してきた。

驚いたのは、魔法についても本気で言っていたようで、腕を伸ばしたり指で印を結んだりしていた。


何か呪文とかも要るよな、とブツブツ言いながら、動きを休めようとはしない。


「…ファイア! 」


安直かよ、とツッコミを入れようとしたが、伸ばした手からホントに火が出てしまった。


「うわ! 出よった! 出よった! うわ! あっつ! あっつ! 」


…騒がしい奴だ。


彼の足元で燃える火は、わずか数秒で消えてしまったが、その衝撃はいつまでも心に残っていた。


火が消えると同時の彼のドヤ顔。

お前もやってみろと言わんばかりの顔。


そこで俺も手を前に伸ばしてみる。

呪文的なものが浮かばなかったので、 丸パクリして、ファイアと呟く。


同じように火が出た。

が、手を前方に向けたせいか、はたまた後方からの風のせいか、火は遠く飛んでいく。


「…どこ行くねーん。 」


とボソッと入れたツッコミに対しやや食い気味に


ガゴォア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!


という鈍い怒号が被さる。


「 ■■■、やらかしたんちゃう? 」


横から心配の声が上がり、前から怪物が走ってくる。


「…どうやら風が良くないものを運んで来ちまったみt… 」


「言うてる場合か! 逃げるぞ馬鹿! 」



しかし、逃げようとした時にはもう怪物はすぐそこにいた。 身の丈の倍ほどもありそうな巨体とその迫力に圧され、脚が(すく)む。



怒る怪物はこれまた巨大な棒を振り回す。

二人に振り下ろされる丸太のような棍棒。



咄嗟に、それぞれ左右に避ける。



その棍棒が地にめり込む。


振動によろけて転びそうになるが、何とか踏みとどまる。



踏みとどまったのが運の尽き、動けない所に丸太が襲いかかる。


あ、これ死ぬわ。 おかんごめん。


と覚悟を決めたとき、棍棒を追い抜く速さの友人に突き跳ばされる。


! ? ! ? ! ?





刹那





棍棒 が 友人 を 捉え



鈍い音 を たてながら




友人が地面を転がった。



…。




…っ!


怪物はすでに次の一撃の動作をし始めている。


狙いは、

地に横たわる獲物(そいつ)だ。



助けなきゃ。 助けなきや。 今度は、俺が!



「ファイア! 」


力強く伸ばした手から、今度は真っ直ぐ、怪物の顔目掛けて飛んでいった。


グゴォガァ…ッ!


怪物が僅かに仰け反った隙に、友人の元へと駆け寄り、抱えて逃げる。



走る。



はしる。




だが、情けないことに二人分の体重を支えきることが出来ず、数メートルの先で倒れ込んでしまった。


(なら、、もう一回っ! )


「ファイアッ!! 」



叫ぶ声虚しく、火の気は立たない。


「うっ、そやろ…。 」


「ファイアッ! ファイアっ! ふぁいあっ! 」


何度叫ぼうが、伸ばす腕は何も―。



もう肩にも脚にも力の入らない自分とは相対に、怪物は一歩、また一歩と、のっそりのっそり歩み寄ってくる。

その目に慈愛など微塵もなく、あるのは本能に満ちた殺意。


じわりじわりと拡大する敵意。


交差する本能。



「ぶ、ぶつけたのは謝るから…さ。 見逃してくれへん…かな? 」


端から言葉の通じる相手ではなかった。

こちらの頼みは聞き入れられず、相対する怪物の本能がトドメの一撃を叩き込もうと、大きな振りかぶり姿勢をとる。




「や…やめ、…くるな…くるなぁぁぁ!!…!」





こんにちは。

はじめまして、の方ははじめまして。


イルミネと申します。


異世界ものに挑戦してみました。

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