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乾燥豆子と弁当男子  作者: ムトウ
2.家族とかごはんとか
21/58

21.豆を茹でましょう

「あい子の一番好きな豆料理って何?」

「……んー。なんだろな。そもそも豆自体がいっぱい種類あるし。

 レンズ豆もひよこ豆もぼうも好きだし、レッドキドニー、空豆、黒豆、うずら豆、パンダ豆、虎豆。絹さやとかスナップえんどうとか莢メインの豆もあるしなー、そだ、四角豆って食ってみたい」

 指折り挙げていくと、待て待て、と諒が呆れとも感心とも取れる様子でストップをかけた。

「俺の聞き方がまずかった。そんなに広げられるとかえってとっかかりがなくてイメージしづらい。

 えっとさ、俺、豆って煮豆にするか、せいぜいがサラダに入れるくらいしか使ったことないんだ。豆メインの料理覚えたいんだけど、教えてくんないかな。で、あい子の好きな豆料理ってなんだろう、って興味あったもんだから」

 ほうほう。なるほど。


「そういうことなら、手に入りやすいし、大豆でいってみよっか。

 大豆系イイよー。枝豆、青大豆、黒豆もそうだし、蒸して平たく潰してから干してあるうちまめっていう乾燥豆も戻すのラクチンでおいしいよ」


 今回は、シンプルに大豆の味を味わえて、その後応用が効きそうな簡単レシピをご紹介しましょうかね。


 というわけで、用意するもの。



・茹で大豆3カップ(500g弱)

・ニンニクふたかけ

・乾燥唐辛子1本

・ブロックベーコン100~150g

・炒め油大さじ1

・塩小さじ2

・黒胡椒小さじ1


「大豆は、茹で豆とか蒸し豆が缶詰やレトルトパックになってるやつが便利だよ。結構おいしいんだよね、あれ」

「いや、でも“乾燥豆子”を名乗ってんだから、乾燥豆を茹でるとこからやってよ」

「そーいうメタなこと言うなよ」



 んじゃ、乾燥大豆の茹で方ね。

 まず、消費期限とかよくチェックしましょう。

 乾燥豆ってしまい込んで忘れてたりすることない? いつのまにか期限過ぎてたりすんの。で、豆は年月経っちゃうと、どんっっっっだけ長時間煮ても柔らかくならないんだよね、不思議なことに。ここ結構大事。気をつけましょう。


 普通売ってる分量は、ひと袋で乾燥状態の豆300gくらい、かな? これを茹でると、700~750gくらいになります。

 茹で豆は冷凍が効くので、いっぺんに茹でて冷凍しといても便利。


 で、茹でる前に浸水します。乾燥豆をざらっとボウルに開けて軽く水洗い。泡がぶくぶく出てくるのは、サポニンていう成分です。吹きこぼれの原因になるんで、泡が収まるくらいまで水代えて洗う。特に身体に害のある成分ではないからあんま神経質にならなくってもいいよ。

 で、たっぷりめの水にひと晩浸けときます。ひと晩というのはまあ、6~8時間、ってとこかな。豆が頭出さないように、水は深めにたっぷりね。


 浸けとくと豆は膨らんで、2倍ちょいくらいに増えます。ぷりぷりまるまるとして、かわいいんだよねー。これが楽しくて。


 さて、茹でます。

 浸け水ごと豆を鍋に移し、水が足りないようなら足す。これも豆が完全に水没して泳ぐくらい、余裕のある量でね。

 中火にかけます。アクとか泡が出てきたら掬ってやって、沸騰寸前くらいになったら火を弱める。噴きこぼれに注意。

 軽くくつくつぽこぽこ沸くくらいの火加減で30分くらい茹でたら味見して柔らかさを確認。30分ならまだ少し固いんじゃないかな。

 5分おきくらいに固さを確かめて、好みの固さ加減で火を止める。私はわりと固めが好き。


 茹で汁ごと冷まして、ぬるま湯~常温くらいになったらザルに上げて茹で豆の完成です。


「茹で汁の中で少し休ませるようなイメージで冷ましてやると食感がしっとり落ち着くんだよ。熱々の茹でたてをそのまま食ってもうまいけどね。ほい、味見してみる?」

「ん。ほの甘くて、素朴にうまい。……なんかクセになるな。茹でただけなのに」

「ね、うまいよね。熱々なのがまた」

「枝豆と地続きな感じでパクパクいける」

「諒、食いすぎ」

「いいじゃん、いっぱいあるんだから」

「いいけど、豆は腹に溜まるよ。あとで他の料理食べられなくなっても知らないからね」

「大丈夫大丈夫」


 ちなみに、茹で汁もダシが出てるので、味噌汁にしたりすると甘くておいしいです。


「これ、圧力鍋使ったらもっと早くできるんじゃないか?」

「んー、そうなのかもしれないけど。私、圧力鍋使ったことなくて。諒はよく使うの? どう?便利?」

「こないだの豚の角煮は圧力鍋でつくったよ。とにかく調理時間が短くすむのが助かるんだ。ただ、火通りの加減は難しいときもあるかな。俺、何回か材料を煮溶かしちゃったことある。それはそれでポタージュみたいにして食ったけどね。

 豆も、好みの茹で加減の時間調整がうまくいけば、手早く柔らかく煮えるんじゃないかな。今度研究してみるよ」

 おお。相変わらず研究熱心なことですね、諒さんよ(年寄り口調)。



 さて、その茹で豆を使った料理に戻るよ。


 ニンニクはみじん切り、ブロックベーコンは豆のサイズに合わせたさいの目のコロコロに切ります。ベーコンはスライスベーコンでもOK。唐辛子はペキッと折って中の種をパラパラ出す程度。面倒ならそのままでもいいです。

 フライパン or 厚手の鍋に炒め油を引いて、油がまだ冷たいうちにニンニクと唐辛子、ベーコンを入れます。炒め油は菜種とかオリーブとかコーンとか。

 弱火にかけて、ベーコンから油脂が滲み出すように、そんで、その油に唐辛子とニンニクの香り成分をじわじわ煮出すように加熱していくよ。油ひたひたに具が浸かってるような状態でビビるかもしれないけど、大丈夫大丈夫。ベーコンとニンニクのオイルソース的な状態になっていきます。


 そこに、大豆を投入。よく馴染むようにかき混ぜて炒めていきます。ニンニク焦げやすいから気をつけて。焦げそうになったら、大さじいっぱいくらいの水加えて鍋を揺すってやるとよいです。加熱するうちに蒸発する程度の水分ね。


 豆は火が通ってるから火通りは気にしなくていいんだけど、分量があるから、全体に熱が回ってあったまるまで結構時間かかっちゃうんじゃないかなあ。

 全体が熱々になってきたら、塩で味つけします。塩は分量的にちょっと多っ!って感じるかも。でもこれね、時間経って冷めてくると、豆が味を吸っちゃって味がぼやけるのね。豆類は結構しっかりめに味付けた方が、飽きが来ない味になると思う。

 で、よく混ぜて全体に味が馴染んだら、黒胡椒をどっさり。ふざけてんのか、っていうくらいたっぷりどっさり。


「はい、できあがり。大豆のペペロンチーノ」

「へー。簡単。うまそう。これ、黒胡椒こんなにぶっこんでるし、ジャーマンポテトっぽい感じもするかな」

「ジャーマン大豆? あ、そっちのほうが、味のイメージ近いかも。

 というわけで、こいつをスプーンでガッと掬って、ガッと頬張って、グッとビール!」

「…………」

「うぃー。うっまー!」

「何それ美味そう。俺も俺も」



「缶詰とかレトルトパックの茹で豆使えば、アホみたいに簡単でしょ」

「肉とか魚のメイン料理のつけあわせにもいいな。シンプルだから何にでも合う。これさ、タマネギとかいれても美味いんじゃね?」

「そうそう、そうなんだよ。これは豆の味を活かすために極力材料絞ってるけど、こいつにタマネギとかトマトとか挽肉とかぶっこんでチリパウダーとか足してやるとチリコンカーン的な美味いものになる。本気のチリコンカーンはインゲン系の豆使うけどね」

「……トマトか。なるほど。カレーもいけそうだな」

「大豆カレーいいね。カレー万能だもんね。

 あとね、ホールコーンとかミックスベジタブルを足して、ごはんに混ぜ込んでピラフふうにしてもおいしいよ」

「そっか、混ぜ込み……混ざりやすい形状なのもアレンジしやすいわけか。じゃあ、ハンバーグとかミートローフに混ぜ込んでもいいかもな。」

「うん、いいね。卵にぶっこんでオムレツとか」

「卵に合わせるなら軽くマッシュするか。あ、マッシュしたやつにホワイトソースかけてグラチネしてもいいんじゃないか?」

「大豆だから、豆乳のホワイトソースでもおいしいよ、きっと」




「……圭兄、何あれ。どこぞのレストランの新メニュー研究か、ってくらいガチ過ぎんだけど」

「どっちも料理オタクだからな。放っとけ」

「なんでもいいけどさ、しばらく大豆料理続くのかな……」






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