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unnamed song

作者: 高橋亮

決してともだちではないしあたしはお前が好きでも嫌いでもない。

ただ、お互い戦ってきたことを知っていた。

別々のバトルフィールドで。

お前が、戦ってくれたことを、古傷のように胸に抱いてきた。

奇妙な連帯感の中で12年がたち、

今去り行くお前にわたしが言えることなど何もない。

がんばれ、とも、

ありがとう、とも、

今までそのリングに上がり続けた野郎に言えることじゃない。

これまで言ったことも。



あたし達に、弱音は鳥肌が立つし、

慰めあう気はないだろう一度も。



最後に語る言葉もない。

明日を戦うだけだ。まだ、戦うだけ。



あたしは、生涯を、苦しみ抜いて死ぬんだ。

誰が家族でも誰がともだちでも誰がそこにいてもいなくても。

苦しみ抜いて。



その時わたしは、ずっと昔に見たお前の背中の残像を、忘れないよ。



生きることはきっといつまでもわたしには苦しい。

だから、この痛みの先に、残す希望があると証明したい。

信じられないすべての未来へ。



しあわせのように、胸が痛んだすべてをしつこく覚えていく。

もうきっと会うこともない仲間たちへ。



楽しかったね。

苦しかったね。

あたしは間に合いたかった。



食い縛りながら戦うお前たちの、

苦しさに間に合いたくて必死だったからここで戦えた。



間に合わなくてごめんな。

いつも、間に合わなくて、ごめん。



知恵と勇気が欲しい。



だからひとりで泣いて、明日は明日で笑うよ。

本当はひとりじゃないから。



ひとりじゃなかったって、

12年かけて、お前が教えてくれていたから。



今日ひとり流した涙は、未来のきみたちのために、

大切にもっていく。

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