大富豪1
「今日は大富豪やろ!」
私は部室に入るやいなやみんなに今日やる遊びの提案をした。
ここはボードゲームサークルの部室。まあ実際はテレビゲームとかもやるゲームサークルなんだけど。桜坂大学の8号館の一室で平日は毎日活動をしている。部員は7人程度だ。
「大富豪? トランプの大富豪だよね? いいよやろう」
私の声に唯一反応してくれた男子。私より1つ上の2年生の松川幸樹先輩だ。3,4年生がいないこのサークルの部長で、この先輩がやろうと言えばだいたいみんなが賛同するというカリスマみたいな人だ。
「おーい、今日はみんなで大富豪やるぞー」
部長が一声かけると、部室にいるみんなが中央のテーブル付近に集まってくる。さすがのカリスマ性。誰も異論を唱えることなく始める体制が整う。
今日部室にいるのは5人。1年生が私を含めて3人。2年生が2人だ。
持ってきたトランプをみんなに配る。裏が花柄のかわいいトランプで私のお気に入りだ。なのにこのトランプでやると私はだいたい成績が悪い。このトランプは私に拒否反応を示しているようだ。
大富豪は地方によっていろいろローカルルールがあるが、このサークルでは8切り(8流し)と11バックを採用している。まあ他にも他地方ではやってないルールがあるかもしれないけど、それはゲーム中に出てきたら説明するって感じで。