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ビビ俺  作者: タイキ
第1章
1/7

page1. 迷い混んだのは・・・

「あとちょっと、あとちょっとで・・」


 時村海斗がスマホをタップするごに、様々な光が画面を照らし出す。

 ここは、東京都内のとある学校。海斗は昼休み中ずっとスマホをタップし続けていた。

 理由は簡単、今やっているアプリ〔sword magic online〕通称SMOのボスモンスターのHPが残り少ないからである。

 SMOとは、今から半年前に出た、スマホのVRMMOアプリで、協力プレイと難しさが売りのゲームだ。


「これで終わりだ!!」


 海斗の操作するキャラクターが、ボスに最後の一太刀を浴びせ、ボスは崩れ落ちた。


「よっしゃああああ!」


 周りの目を憚らず、雄叫びをあげる。


『ありがとう』

 協力してもらっていた初対面のプレイヤーにメッセージを送った。

『カイトさん、このアイテムってなんだと思います?』

 話しかけてきたパーティーメンバーは海斗へとあるものを送る。送られてきたのは〈ゲームへの招待状〉というアイテム。アプリが出た直後からやっている海斗もこんなアイテムは見たことがない。

『カイトさん、使ってみればいいじゃないですか?』 

『俺が!?』

『はい、僕はいいので、どうぞ』

 正直に言って使ってみたかった海斗は、言葉に甘え、アイテム欄を開く。

『じゃあ使ってみます』

 海斗はそう打ち込むと、そのアイテムをタップし、使用確認でOKをタップ。



ーーーー海斗の体が光に包まれる。


 そして、その事をクラス中の誰も気づいていなかった。




 目覚めたのは暗い森の中。


「どこだ、ここ?というか、何でこんなことに?」


 自分でアイテムを使ったところまでは覚えている。だが、俺は学校にいたはず・・・

 足りない頭ながらも考えを巡らす。しかしいくら考えても答えは出てこなかった。


「こうなるとあれだな、俺は異世界召喚系でここに呼ばれた可能性が高い」


 自分で納得し、一人で頷く。

 突如、隣の茂みからガサガサと音が聞こえてきた。


「なんだ?」


 飛び出してきたのは、RPG等でよくみるゴブリンだった。

 胴が短く、頭がでかいほぼ2頭身のその姿は間近で見ると、正直気持ち悪い。ゴブリンは片手に持っていた木の棍棒を振りかざすと、海斗に降り下ろした。


「ちょ、待って・・・」


 身の危険を感じ、体を横に転がした海斗のすぐ横を棍棒が通過する。地面に深々と埋まったこん棒の様子から見ても、もろに受ければ軽いダメージじゃすまされないだろう。


「あっぶね!」


 立ち上がり、追撃にくるゴブリンに背を向け逃げ出す。しかし、右も左もわからない森の中だ。木の根に躓きその場に転倒してしまう。

 目の前に迫るゴブリンに、なすすべもなく目を瞑った。

 

 ――森の中に轟音が響き渡る。

 恐る恐る目を開けると、ゴブリンは姿を消し、代わりにこちらに手を差し伸べる少女の姿があった。


「大丈夫?」


 透き通るような少女の声。金色の長髪にコバルトブルーの瞳。歳は十六ぐらいだろうか。

 海斗はその場から動けなかった。


「えーと、大丈夫?」


 反応がない海斗に対しもう一度質問。

 ようやく我に帰ったのか、海斗は小さく首を振り、少女の瞳を見据える。


「ありがとう、助かったよ」


 海斗は少女の手をつかんで立ち上がりお礼を言うと、自己紹介をする。


「俺の名前は、時村海人だ。君は?」

「私の名前はアカリ・アルバニア」


 その少女の名前はここが日本じゃないことを告げていた。


「カイト、ところであなたはなんでこんなところにいたの?」


 突然、あった人から「異世界から来ました」何て言われたら怪しまれると思ったカイトは、道に迷ったと言っておくことにした。


「ここは危険よ、まずは一旦街に帰ったほうがいいわ」


 危険というのはさっきのゴブリンなどのことを示しているのだろう。

 アカリに連れられ、カイトは街へと向かう。




「うわあ、すげーーーー!!」


 そう言ったのはカイト。アカリとカイトは、あの暗い森から二十分ほど歩いたところにある大きな街へ来ていた。ヨーロッパのような街並み。軒を連ねる露店の数々は街を彩り華やかな雰囲気を醸し出す。


「すごいでしょ、この街<フガーナク>に初めて来た人はみんなそういう反応を取るわ」


 アカリの言葉にカイトは首を傾げる。


「<フガーナク>?」


 アカリに確かめるように質問する。


「ええ、この街の名前よ」


 途端にカイトは驚愕の表情を浮かべ、もう一度質問する。


「さっき俺たちがいた森の名称は?」

「えーと、ゴブリンの森、だけどそれがどうかした?」


ーーーー何てこった、本当に召喚系とはな・・・。

 森の中に迷い込んだ時に考えた予想が現実に変わる。


 カイトが迷い混んだのはあのSMOの中だったのだ。


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