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プロローグ

「……様。……お嬢様」

「……ん?」

「あぁ、もう朝ですよ。起きて下さい」

「……んー……」

 成宮(なるみや)がカーテンを開ける。眩しい光が差し込んで……。

「ライトじゃないのよっ!」

「どうかなさいましたか?」

「どうかなさいましたか? じゃないわよ! なんで天気が雨だからってライトつけてるのよ!」

「人工太陽とお呼び下さい」

「まんまね! ……もういいわ。朝食は?」

「少々お待ち下さい。もう少しで楠木(くすのき)が……」

 成宮がそこまで言ったとき、丁度ノックする音が聞こえてくる。

「いいわよ入って」

「失礼いたします。朝食の準備が出来ましたので……」

「分かったわ。……成宮。ベッドを片しておいて」

「かしこまりました」

 楠木に連れられて大きな食堂へと入る。

「で、朝食は何?」

「はい。クロワッサンにハッシュポテト、それとコーンかコンソメのスープがございますがどちらにいたしますか?」

「コーンでいいわ」

「かしこまりました。では少々お待ち下さい」

 楠木が引いた椅子に座り、朝食がくるのを待つ。


 私は神崎麗耶(かんざきれいや)。神崎財閥の跡取り娘。私の両親は忙しいみたいで殆ど家に帰ってこないので代わりといっては何だが、二人の執事に一人のメイドがこの屋敷に住んでいる。まあ、生い立ち自体はいい。問題は執事にメイドの性格だ。朝私を起こしに来た成宮は爽やかな顔して人をいじるのが好きなSだし、もう一人の執事、楠木はナルシストだし、メイドの影原(かげはら)はバカでドジだし。とにかく普通の使用人が一人もいない。


「お嬢様。朝食で御座います」

「ありがと」

 テーブルに皿を乗せていく楠木。見た目は肩まで伸びた黒髪に整った顔立ちなのに……。

「……どうかなさいましたか?」

「ん? ああ、なんでもないわ」

「お嬢様。私の顔に見とれるのもいいですが、生憎私は執事で御座いますよ」

「んなわけないでしょ!」

「ああ……なぜ僕はこんなにも美しいのか……! 神も随分な嫌がらせをしてくれる。お嬢様には許婚がいるというのに心変わりしてしまいますよ……!」

「あーはいはい。頂きます」

「ごゆっくりどうぞ」

 楠木が一礼して下がる。

「……はぁ」

 朝から疲れた。というかこの屋敷にいて疲れなかった事はない。まあ、それだけ楽しい毎日でもあるんだけど。

 そこへ成宮が戻ってくる。

「あ、成宮。これ下げちゃっていいわよ。ご馳走様」

「かしこまりました。ああ、お嬢様。そろそろ寝室のベッドが古くなって参りましたので買い替えて宜しいでしょうか?」

「構わないわ」

「かしこまりました。それでお嬢様は今日から一週間、床に寝てもらいます」

「は?」

「いえ、どうせ買い替えるのでまあいっか、と思いまして」

「なんでそうなるのよ! どれだけ主人舐めてるのよ! あんたそれでも執事!?」

 成宮は涼しい顔で返す。

「執事ですが何か?」


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