藤海岸駅
「あのぅ、池本くん、、? だよね?」
目の前には、お嬢様高校の生徒
「えっと、、?」
「中学の時、塾で一緒だった浜見だよ」
「久しぶり、まえからそうかなって、、」
「池本くんもだいたいこの電車だよね」
いや、覚えてないな、
こんな可愛い娘いたかなか?
「覚えてないかな、
あ、中学の時は、メガネしてたから、、かな」
それが彼女との出会い、いや再会だった
藤海岸駅で、いつも彼女は電車に乗ってくる
「おはよ、」
僕らは電車の中で待ち合わせているかのようだった
そして、僕が先に降りる
「またね、」
「浜見さん、今度の土曜日、図書館で一緒にテスト勉強しない?」
「でも、学校が違うし、教科書だって、、どうするの?」
「いや、それぞれで、いいんじゃない、、」
僕は、ちょっと強引に誘ってみた
土曜日
その日、図書館は、臨時休館だった
彼女は、戸惑った表情
ぼくは、恥ずかしくなって、困ってしまった
歩きながら、彼女は、
「じゃあ、明日、うちに来ない」
「えっ?」
藤海岸駅で彼女は、待っていた
「おはよ、今日は、電車じゃなくて駅だね」
彼女のお母さんは、笑顔で迎えてくれた
2階の彼女の部屋
どうしよう、勉強が、手につかない
ふと顔を上げると彼女と、目が合った
お互いにぎこちない笑顔
窓の向こうには夏の海が輝いていた
彼女との楽しい日々
でも、彼女からの連絡が減って
僕から連絡することも減って
電車で会うことも減ってきて、、
藤海岸駅に来たのは、五十年ぶりくらいだろうか
彼女はその後、しあわせな人生を送っただろうか
この駅からは、海なんて見えやしない
それでも僕にはあの日の海と彼女の笑顔が見えた気がした




