表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未練があるなんて、思わないで下さい  作者: みん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/32

19 良い上司

()()コペリオン親子が受け入れるとは……一体どんな手を使ったんだ?女の武器か?」

「それは、コペリオン親子への侮辱と受け取りますが、よろしいでしょうか?コペリオン様が、私のような凡庸な者に籠絡されたと?」

「──っ!!」


老害貴族との、そんなやり取りから始まった研修期間。これからどうなるのか?と不安になっていたけど、不安になる暇もなかった。


「マリレーヌさんは数字にも強いようだから、この資料の計算の確認をお願いします」


と、山積みになった資料が準備されていた。確かに、計算は得意な方だと思うけど、目の前にある資料の確認を、今日中に終える事ができるのか……なんて悩んでいる時間が勿体ない。とにかく、与えられた仕事はやらなければならない。


ーとにかく、やるしかないー


そうして、研修期間が始まった。




始まって1週間は、用意されていた資料の確認だけでいっぱいいっぱいだったけど、2週間が過ぎると少しずつ余裕が出てきて、3週間が過ぎると、自分なりに資料を纏める時間ができるようになった。そして、1ヶ月が過ぎると、違う仕事も与えられるようになった。



「本当に、マリレーヌさんが来てくれて良かった」


と言ってくれたのは、私と同じ部屋の補佐官の1人のジェイデンさん。現時点での宰相の正式な補佐官はリシューさんとジェイデンさんとセスさんの3人。この3人というのはかなり少ない人数なんだそうだ。私達は、今、昼休憩で、食堂でランチを食べている。


「まだ、そんなにもお役に立ってませんけど」

「何を言ってるんだ!?マリレーヌさんが来てから、あの目と頭が痛くなる数字を見なくて済んでいるし、計算と確認が正確で早いから、決算も早く済んで、本当に助かってるんだ!」

「そうそう。俺達、計算は苦手だったから、本当に助かってるんだよ」

「それなら良かったです」


計算に関しては、領地改革で毎日毎日しなければならなくて、結果的に早く計算できるようになった。アシュトンが、計算を嫌がっていたという事もあったからだけど。


ジェイデンさんとセスさんは、2人とも子爵で妻子持ちで、30代中盤。残業で帰りは遅くなる事もあるけど、きっちり週休2日で有給もあるし、家族休暇と言って、年に2回1週間の休みを取る事ができる。福利厚生も、サザリアンよりも良い。


「ほら、あそこに居るのが、宰相室に入った子よ」

「なーんだ、大した事ないのね」


「「「…………」」」


昼食の時間に食堂に来ると、よく耳にする会話だ。これが嫌で、普段はサンドイッチなどを持って来て執務室で食べるけど、今日は、今日の日替わり定食が好きなメニューだったから、食堂に来ていた。


「コペリオン親子に認められたとか言われてるけど、勘違いしないようにって、言ってあげたほうが良いんじゃない?」

「言わなくても分かるでしょ」


くすくすと笑う3人の女官らしき女性達。


リシューさん(優良物件)がスカウトした女性”


周りからはそう見られている──と、カロリーヌさんに言われていた。


「勘違いって……どんな勘違いをするの?」

「八つ当たりだな」

「あのコペリオン親子が、無能を入れる訳がないのに」


あの普段は優しいリシューさんも、仕事中はピリッとしているし、一切の妥協もない。勘違いする要素なんて全くないし、浮かれるような暇もない。


「聞こえてる筈なのに、無視するなんて、図太い神経の持ち主なのね」


こういうタイプの女性は、国が変わっても居るのか。反応すれば更に言われて、反応しなければしないで文句を言われるパターン。相手をするだけ面倒で疲れるだけだから、無視をするのが一番だ。それを、ジェイデンさんとセスさんも分かっているから、無視をしてくれている。


「それは、一体どんな勘違いなんだ?」

「え?あ!コペリオン様!?」


そこに、リシューさんがやって来た。リシューさんが食堂に来るのは珍しい。


「彼女をスカウトしたのは私だけど、何か問題でもあるのか?」

「いえ、私はただ──」

「それとも、私の見る目が無いと言いたいのか?」

「違います!ただ、宰相室に女性が──」

「君も同じ女性なら、寧ろ能力次第で性別関係無く採用される可能性があるのだと、喜ぶべき事じゃないのか?」


相手が女性でも容赦ないリシューさん。


「彼女に文句があるなら、まずは私に言ってもらいたい。ただ、自分の発言には責任を持つように。彼女は侯爵家の者だと言う事も忘れないように」

「っ!?すみませんでした!その……失礼します!!」


3人の女官達は、リシューさんに謝った後、急いで食堂から出て行った。


「謝る相手が違うだろう……」


と、溜め息を吐いたリシューさんが、私達の所までやって来た。


「“未だにチクチクネチネチ言う者が居る”と、王太子殿下に言われて様子をみていたら、丁度良いタイミングに遭ったから。これで、落ち着くだろう」

「ありがとうございます」


リシューさんは、良い上司だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ