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少年は捕食者と出会う

本作品はカクヨムにも投稿しています。

 一触即発という状況を、俺は人生で初めて経験したと思う。

 そう思うくらいの緊迫感の後に、キオルが動いた。


「素人が勝てるとでも?」


 突き出された拳が迫る。

 俺は思わずつぶりたくなる目を気合で開け、横へ跳んだ。


「っとと!」


 避けれた!

 なんか、思ったより体が動くぞ。


 今までの俺だったら絶対に避けられなかったし、そもそも反応できたかどうかすら怪しい。

 せいぜい頭の中で避ける動きをイメージして、行動する前に腹パンで即KOってところだろ。


「意外とやれんじゃね?」


 ニヤッと笑って、思い切って地を蹴った。

 駆け出したその一歩目、初速からして今までの俺とは段違いだ。


「っらぁ!」

「ふっ」


 鼻で笑ってキオルはパンチを難なく避けた。


「んのやろ……!」


 ゲームやアニメの見よう見真似で殴り掛かっても、キオルには当たる気配すらない。

 全部の攻撃が見切られてる。


「少しばっかり動けるようになったからって、能力のない世界に生まれた素人になにができる?」

「こんのっ、偉そうに!」

「事実お前なんかより偉いんだよ、実力も当然、比べるまでもない!」


 次の瞬間、キオルが一気に距離を詰めてきた。

 とっさに腕をクロスさせてガードを固める。


「っ……!?」


 キオルの掌底が俺の腕に直撃した。

 ……わりには、痛くない?


「はっ? なんだ今の、とんだへなちょこじゃ──」


 右腕の力が抜けた──?


 咄嗟に飛び退いて、俺は唖然とする。

 力が抜けたんじゃない。感覚がない。


「ははっ。火種って言ってもこの程度かい?」


 なにをされた? 今触られたあの一瞬、あのときなにかされたのは間違いない。

 

「なら距離をとっ──」

「させないよ?」

「このっ……!」


 形勢逆転とはまさにこのことか。

 逃げ惑う俺に対し、キオルが悠々と迫る。


 奴の能力はなんだ? 触れた相手の感覚を消す?

 右腕だけ感覚が無い辺り、効果範囲は限定的って考えるのが自然か?


「触れないんじゃやりようがねぇじゃねぇか……!」


 毒づいて、俺は考えを巡らせる。


「考える暇なんて与えないって」

「いっ……!?」


 こいつ、一気に加速した!?

 いや違う、最初から本気じゃなかったんだ。


 だから速度感を見誤った……!


「はい、これで終わり」


 キオルが俺の胴体に触れる。

 それでもう、一気になにもできなくなった。


 足の間隔はまだある。

 けど、上手く体が動かない。


 脳の処理がバグったみたいな、今の自分がどうなってるかまるで分らない。


「胴体の感覚が無いって不思議だろう?」


 嘲笑するようにキオルは言い、俺の前に立つ。


「このまま全身の感覚を無くして、生かしたまま解剖してもらうことにしよう。その方が、研究のためになる」


 その手が、俺の顔に伸びる。


 ──ああ。


 生かしたまま解剖するとキオルは言ったが、それは果たして生きていると言えるのか。

 俺は実験用のマウスのように、剪定士せんていしの研究材料にされるのか。


 ──ああ。


 ムカつくなぁ。イライラするなぁ。

 どうしてこうなったんだ?


 そういえば俺は、飯を食いに出てきたんだった。

 そうだ。腹が減っているんだ。


 ──ああ、そうだ。食っちまおう。

 このムカつく男を、肉片ひとつ残さず、嚙み砕いて、喰ってヤル。

さて雲行きが怪しくなってきた蒼斗VSキオル。

彼は人か、それとも獣か、その正体はいかに。

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