第7話 禁じられた願い
恋をする!って言ったら、絶対大魔導士さまに怒られると思ってたの。
でも、意外なことに、大魔導士さまは「ひと月待つ」って言った。
わたし、ほっとしてから気づいたの。
恋のはじめ方が分からないのは、何も変わってないじゃない?
その日、ヨルンとわたしは、薬草を取りに山へ入ったの。
雪が厚く積もった岩肌ですべりそうになったところを、ヨルンが支えてくれる。
こんなふうにヨルンと触れ合っても、ドキドキすることは相変わらずなくて。
ただ、子どもの頃以上に、昼も夜もずっとヨルンと一緒にいられることは、すごく心が満たされたの。
二人で雪を掘り起こして、薬草を摘む。
ヨルンは汗をかいているようだけど、わたしは冬の女神さまの力で身体の状態が一定に保たれているから、それもないの。
持ってきた籠の半分くらいになったところで、わたしたちは狩小屋へ帰ることにした。
そのとき、地響きのような音がした。
振り返るより早く、白い壁がわたしたちをのみ込んだ。
視界がさえぎられて、息ができない。
ヨルンとわたしは、雪崩に巻き込まれていた─。
雪の中で、わたしは目を覚ました。
生きてる!
「当然じゃ、わらわは冬の女神じゃぞ」
女神さまの声が聞こえて、わたしの身体は、ポンッと地上に戻った。
「ヨルン!ヨルンは……!?」
女神さまの力が、わたしの身体の外へと流れ出していくのを感じた。
辺りの雪が吹き飛ばされ、数メートル先にヨルンの身体が現れた。
わたしは、雪に足を取られながら、ヨルンのもとに駆け寄った。
「ヨルン!大丈夫!?」
ヨルンは、わたしの呼びかけにうなずいたけど、苦しそうな表情だ。
どこかケガをしているみたい。早く狩小屋に運ばなきゃ!
でも、12歳のわたしの力では、とてもヨルンの身体を支えられない。
そのとき、わたしは気づいたの。
女神さまの力を使えば、ヨルンを助けられるって。
「女神さま、ヨルンの身体を眠らせて!」
今よりケガがひどくならなければ、きっと大丈夫。
わたしが狩小屋に大魔導士さまを呼びに戻れば、治癒の魔法を施してくれるはず!
苦しい息をしながら、ヨルンがささやいた。
「レニ、ダメだよ……自分の意のままに、女神さまの力は使っちゃいけないって……」
女神さまが、いつになく真面目な口調で言った。
「そなたの願いを叶えるのは容易なこと。だが、大魔導士が黙っておるまい」
わたしは、叫んだ。
「いいの、この先千年ひとりぼっちで閉じ込められてもいい!ヨルンを助けて!」




