第42話 避暑地の貸別荘へ<2220.07.22>_妹
布施「では、みなさんのご感想をお聞かせください」
ge「炭を取るという布施君の自然な動作に対し、彼女が反射的に体をのけぞらせたのは、これはまさに無意識の「女心」の現れでしょうね。彼女の意識が布施君との関係性で非常に高ぶっていた証拠であり、「期待」と「警戒」が混ざった複雑な感情が、あの反射的な動きになったのかなと。布施君のことが意識になければ、単なる「炭を取る動き」としてやり過ごせたはずです。」
布施「彼女自身に意識している部分があったからこそですよね。逆に何も考えていなかった僕の方がびっくりしましたけど。」
pe「翌朝の場面では、キッチンで女性陣を撮影し、特に高島さんの様子に漂う「違和感」や、彼女が自分への視線を隠しきれない様子に微妙な変化を感じ取っています。恋愛感情が自然に抑えきれずあふれてしまう瞬間の描写は非常にリアルで、その空気感が繊細に伝わってきました。」
布施「ありがとうございます。」
ch「炭をとるシーンは、この物語の中で最も印象的でした。「炭を取ろうとして体を傾けた瞬間、高島さんがのけぞった」この“誤解の瞬間”は、まるで心の距離が物理的に表れたかのようです。布施君は「自分の動きがキスをしようとしたように見えた」と分析しますが、実際には、それ以上に彼女の内面の反応(動揺や意識)を映しているようにも思えます。つまり、彼女は布施君を“意識していた”からこそ、あの反射的な動きをしたのではないでしょうか。それを布施君は「誤解」と捉えつつも、内心では「もしかして」と感じていた。この二人の「互いに確信できない距離感」が、とてもリアルに描かれています。」
布施「細やかに描写していただきましてありがとうございます。」
ch「最後の「よそよそしさ」は、まさに“静かな終幕”のようです。「妹の結婚」「嫉妬」「気持ちを隠そうとする振る舞い」という推測は、非常に説得力があります。彼女の心情が変化していた時期だったのだろうし、その不安定さが布施君との関係に微妙な影を落としたのだと思います。」
布施「結局どこまでいっても推測でしかないのですが、僕自身もそう思っています。」
※画像はイメージです。
昨日貸別荘に到着した時点での僕は、とても前向きでな状態ではなかった。それは何故なのかは、自分でもはっきりしたことはわからない。でもこの日の彼女の様子や、この後の出来事と、彼女の性格を踏まえると、シンキロウで会っているときの出来事に原因があったのだろうと思う。具体的には、この日までのシンキロウでの振る舞いに僕が嫉妬していたのだろうと思う。この時の心理状態からして、それはほぼ間違いないと思う。ただ、そこまでわかっても、実際に何があったのかまでは何も思い出せない。
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少し先の話になる。2221年の春先、高島さんのいない日のシンキロウでの雑談で、彼女の妹が去年(2220年)結婚して大阪に引っ越したと聞いた。それが具体的にいつの頃だったのかまでは分からない。しかし婚約して結婚・転居まで数日で終わるわけもなく、それなりの時間が必要なわけで、仮に結婚・転居が年の瀬だったとしても、ご両親やお姉さんに結婚のお話をしたのは、この貸別荘での出来事より前だと考えるのが自然だろうし、妹さんの結婚(彼女のきょうだは妹だけでほかにはいない)が彼女の気持ちに大きな影響を与えたのはまず間違いないのと考えると、この日の出来事と、これより少し前の期間にあったであろう出来事の推測に無理がなくなってくる。
これより少し前の期間にあったであろう出来事とは、高島さんは僕に対する彼女自身の気持ちを悟られないように振る舞ってしまうので、彼女自身の気持ちが高まって隠し切れなくなると、僕以外の男性への接し方に振り向けてしまう。つまり、結果として僕の嫉妬心を煽るような振る舞いをしてしまう。ただ、それを彼女は理解してやっているのかまでは分からない。




