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第40話 避暑地の貸別荘へ<2220.07.22>_朝食

挿絵(By みてみん)

※画像はイメージです。


 次の日の朝がやってきた。男性陣はテレビを見ており、女性陣はキッチンで朝食の準備をしている。僕もテレビを見ながら、こういう生活感のある雰囲気に、いい知れないよろこびを感じていた。ひとり、高島さんと二人で迎えた朝を想像していた。そして、そうしているうちに、どうあっても、この”今を保存”したくなってしまった。

 思い立ったら吉日。早速行動にうつした。

 キッチンでせわしく動いている女性陣を撮影しているように振る舞いつつ、さりげなく高島さんを注視していた。彼女を撮影しながら、彼女の様子をファインダーごしに観察していくうちに、違和感を感じはじめていた。いつもの彼女とは雰囲気が微妙に、でも確かに何かが違うように感じられてきたのだった。そもそも、今彼女がやっている朝食の準備や、今の環境や雰囲気がいつもとはまるで違うのだから、そう感じられるのかとも思ったけど、それだけで今の彼女の雰囲気に説明がつくとは到底思えなかった。

 撮影を続けながら、時折彼女の僕に向けられる視線を感じていた。でもフィルムカメラを使っていたので、この時点ではそれを確認することはできなかった。後日現像してみて、彼女が僕に視線を送っている一瞬を捉えた写真が1枚だけ残っていたものの、残念ながらこの時点でそれは不確かなものでしかなかった。

 この時の彼女の雰囲気をどう形容したらいいのだろうか。一見すると朝食をつくるのに没頭しているように振る舞ってはいるものの、あまりにそれらしく振る舞い過ぎていて、かえって不自然な雰囲気が漂っている。それに、3人の女性で準備しているのに、どうにも彼女だけ歩調を合わせて作業をすすめている感じには見受けられなかった。そうしたところに加えて、時折僕に向けられる一瞬の視線が更に、ただならぬ雰囲気が醸し出されているように感じられたのだった。ここまでは、この時概ね理解できていたことではあったものの、ひとつ大切なことを、それもとても大きなところに気付けていなかった。彼女は彼女自身の気持ちが伝わってくるような振る舞いをこれまでほぼ見せることはなかった。しかし、今回の別荘での彼女はギリギリそうした自分の感情を抑えきれていない。溢れ出そうな感情を抑えようとしているのに、完全にはコントロールし切れていなかったのだ。それが振る舞いだけならまだしも、写真撮影している僕に一瞬向ける視線という分かり易い行動に出ているには何か深い意味があったのだろうか。

 そうこうしているうちに朝食の準備が終わった。朝食を彼女たちがつくっている時の記憶は割と深く記憶されているのに、この後の朝食での出来事はほぼほぼ記憶にない。

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