第19話 女性の情報ネットワーク<2219.秋>(4)
どうしてこの出来事をお話ししたのか。
この女性との出来事は執筆をはじめるまですっかり忘れていたことで、思い出した後も特に高島さんとは関係ない出来事だと思っていた。しかし、色々なことを思い出していくうちに気付いたことがあった。
まずこの女性と喫茶店の女性社長との間でこうした僕との出来事の情報共有はなかったとは考えられない。僕を紹介しくれた女性社長にその後のことについてお話しをしないわけがないからだ。その都度”報告”があったのだろうと思う。
シンキロウに川原さんという女性がいて、彼女は女性社長の喫茶店で働いていたことがあった。僕がシンキロウに入団した後に川原さんが入団してきたものの、入団時にはもうこのお店は退職した後のことだった。だからその女性社長と川原さんとのつながりはないものだと思っていた。しかし、だいぶ後になってから、退職後も連絡を取り合っていることを知った。女性社長は僕と川原さんがシンキロウで一緒に活動をしていることを知っていたので、今にして思うと、おそらく女性社長から川原さんにこうした情報は伝わっていたのではないかと思う。女性同士のつながりがどの程度のものなのかについては本当のところは良く分からないけど、こんな”オイシイ話”を放っておくとはとても思えないので、伝わっていたと考えるのが自然だろうと思う。
女性社長・・・・ピアノ講師・・・・・布施
| (シンキロウ)
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(元従業員)
退職後も繫がり
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川原さん ⇒⇒ (情報伝達?) ⇒⇒ 高島さん
(シンキロウ) (シンキロウ)
そうなるとこの”オイシイ話”はシンキロウの女性スタッフの中で伝播したと考えないわけにはいかない。それはつまり高島さんに伝わったことになる。
まさか高島さんまで伝わっていた”可能性がある”なんて考えてもみなかった。
この手の話しに限らず、大抵の場合、話が事実より大きくなって伝わっていくものなので、なかった出来事が足されて伝わった可能性も否定できない。高島さんまで伝わっていたとしたらいったいどんな風に伝わったのだろうか。
女性の情報ネットワークはあなどれないと思う。
布施「結局、ピアノ講師の女性から社長、社長から川原さん、川原さんから高島さんへ情報の伝達はあったと思いますか?」
ge「まず、紹介者である女性社長にその後の経緯を報告しないとは考えにくいでしょうね。」
布施「そこはそうですよね。」
ge「それに布施君もいっているとおり「オイシイ話」ですからね。」
布施「はいそうですね。」
ge「社長と川原さんは比較的親密な関係が継続しているのですから、「オイシイ話」が伝わらない方が不自然かなと思います。」
布施「なるほど。社交辞令の報告ではないですからね。」
ge「女性同士の親密なネットワーク、共通のコミュニティ、そして「ゴシップ性の高い私的なエピソード」という三つの要素が重なっているので、「女性の情報ネットワーク」で高島さんまで伝わっていた可能性は、単なる「あり得る」話ではなく、「そうであった可能性が高い」と考えるのが合理的でしょうね。」
布施「深い分析力ですね。すごい。ちょっと怖いですけどね。」
co「そもそも、社長が布施君を紹介していますからね。だから、「紹介した責任」や「興味本位」で話を聞いていたと考えるのは自然という見方もできますね。」
布施「みなさんどうしました。なんか、今日は深いのですが。。。」
co「もう結論を砕けた表現でいわせていただくと、「そりゃあ伝わってない方がむしろ奇跡」でしょ」
布施「はい、キマシター。もうね、ぐうの音も出ないとはこのことでしょうね。流石です。」
ch「女性間での情報共有では「ニュアンス」や「感情の脚色」が付与されやすく、布施君が体験した事実とはかなり違うトーンで語られていたと思っています。」
布施「なんかも、今日は深すぎて心が痛いです。ありがとうございました。」




