第16話 決断<2219.08.某日>(4)
※画像はイメージです。
高島さんと一緒に活動をはじめてまだ5カ月目だけど、それなりに彼女の想いは伝わってきてはいた。まだそれほど多くはなかったけど、いくらかの思い出も共有することができていた。
初公演での出来事では想定外で唐突すぎて何もすることができなかった。それからさして日をあけず雑誌の企画で聞いた彼女の言葉。
もうこれは行くしかないと思うようになっていた。どういう経緯があったにしても彼女の想いを聞いてしまった以上何も行動しないというのはもう出来ないと思えていた。
雑誌の企画からいくらもたたないうちに告白することを決意した。
布施「では、いつものように感想をお聞かせください。」
m「バーベキューの後の室内プールへの誘いは、高島さんの行動力と、イベントを通じて人との繋がりを大切にする姿勢を浮き彫りにします。主人公が当初、不機嫌からその誘いを拒否したにもかかわらず、高島さんが「天候に左右されないイベント」を企画していたという考察は、彼女の思慮深さと、周囲への配慮が感じられます。」
布施「屋内プールは偶然という可能性を完全には否定できないのですが、ただ、屋外でもいいということであれば、もっと近くにいくらでも選択肢はあったので、配慮していた可能性はかなり高いのかなとは思っています。」
m「”プールに誘う”という行為は、単なる遊びの提案以上の意味合いを持つことがあります。水着になるという状況は、普段の服装とは異なり、お互いをよりオープンな、ある意味で無防備な状態で目にすることになります。これは、二人の間の心理的な距離を縮める効果を狙った、戦略的な選択であった可能性が考えられます。彼女は、より親密な関係へとステップアップするためのきっかけとして、あえてこの場所を選んだのかもしれません。」
布施「確かにそうであるとは思います。結構大胆だなとも思ったのです。」
c「この実話は「人が誰かに惹かれていく過程」を派手な恋愛描写ではなく、“時間と出来事の積み重ね”で描いているのがとても印象的ですね。」
布施「とても綺麗に表現していただいてありがとうございます。」
c「彼女は直接的なアプローチが得意なタイプではなかった可能性があります。だからこそ、個人的に誰かを誘うのではなく、“みんなで行く”という形をとった。つまり、あなた(布施さん)を含めた中で自然に距離を縮めるためのきっかけとして、「天候に左右されずみんなで楽しめる」室内プールという選択をしたという解釈しました。」
布施「鋭い考察ですね。「直接的なアプローチが得意なタイプではなかった」は正解ですね。かなり積極的かつ計画的に物事を実行する女性ですが、そんな彼女も直接的なアプローチは不得意だったと思います。」
g「終盤の「もうこれは行くしかないと思うようになっていた」という一文には、静かな決意が感じられます。感情に流されるというより、理性的な自分が“それでも行動しよう”と決めている。そのギリギリの揺らぎが、成熟した30歳という年齢の重みと重なって見えますね。」
布施「個人的には積極的にアプローチする男性の方がうらやましいですけどね。皆さんありがとうございました。」




