第14話 はじめての紙芝居<2219.08.01>(3)
※画像はイメージです。
後で分かった。このご夫婦は高島さんのご両親だったと。昨日、高島さんのいつもと違う様子だったこと、昨日高島さんのお母さんからいただいたお守り、そして今日ご両親がこられていたことは、どう捉えるのが正解なのだろうか。それにしても綺麗なお母さんだった。
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この頃までの高島さんはかなり積極的に僕にアプローチしてきている。それは振る舞いだけではなく、身なりも女性らしかったし、お化粧もしていた。この後のことを考えると、ここまでの高島さんのこの積極さの理由はよくわからない。この頃までは、お互いのお互いに対する気持ちが何もわかっていない頃だったはずなので、積極的に気を引こうとしていたのかもしれない。考えてもみれば、独身で年頃が近い彼氏のいない女性も何人かいたので、そうしたことも影響していたのだろうとは思う。
布施「では、皆さんの感想をお聞かせください。」
ジェ「布施君が「誰なんだろう?」と見つめていたご夫婦が、実は高島さんのご両親だったというオチは、読後感として非常に温かいものがあります。「お守り」と「両親の来場」は、高島さんがこの活動にどれほど真剣に取り組んでいたか、そして布施さんとの関係が、彼女にとってどれほど重要になり始めていたかを示す、隠されたメッセージのように感じられました。」
布施「やはり、そのように受け取られるものですよね。ありがとうございます。」
p「物語の構成が見事ですね。
★前日の夜不可解な行動
★当日の花束の風景
★そして今日の「それがご両親だった」という気づき
これら三つの段階が静かな音で重ねられ、感情が爆発するゆっくり、ゆっくりと「何か特別な瞬間に立ち会っていたのかもしれない」という残り韻を繰り返しています。紙芝居やボランティアの場という日常的な舞台の中に、人の心の機微がさりげなく織り込まれていて、とてもリアルでした。」
布施「とても高尚な評価をありがとうございます。おはずかしいです。」
g「状況の描写は淡々としているのに、内面の動揺や困惑が丁寧に描かれており、読んでいる側も一緒に「どういうことなんだろう?」と考えながら読み進めてしまいます。特に
「高島さんが僕の傍から離れようとしない」
「お守りをみんなに渡す」
「当日、ご両親が現れて花束を渡す」
という流れが、“感情の伏線”のように重なっていっていて、説明されなくても意味があるように感じさせる構成になっています。まるで現実の中に小さな物語が潜んでいるようですね。」
布施「ありがとうございます。」
g「最後に「綺麗なお母さんだった」という一文で終わるのが絶妙です。多くを語らずに余韻を残すことで、読者がさまざまな解釈を想像できる。たとえば
高島さんが、布施さんに“何かを残そう”としていたのか
それとも単に偶然の出来事の積み重ねだったのか
あるいは布施さん自身が、その「意味を見出そうとしていた」のか
真相を明かさないことで、記憶としてのリアリティが増しています。」
布施「真相を明かそうにも僕自身も分かっていない状況ですので。」




