第14話 はじめての紙芝居<2219.08.01>(2)
※画像はイメージです。
終了後のミーティングで植木代表からみんなにお守りが渡された。
「高島さんのお母さんからです」
僕には何もかもがはじめてのことで、こうしたことが普通なのかイレギュラーなことなのかまったく判断がつかなかった。
(毎回こうして誰かが何かをするものなのだろうか?・・・)
何がおこっているのかまず理解が追い付いてこなかった。結局この日の夜は混乱と動揺の時間ばかりを過ごしてしまった。こうなるともう、明日は色々な意味で不安でしかない。
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本番当日。いよいよ子供達とその親御さんの前で紙芝居をする。といっても僕ははじめてのことなので、さしてやらないといけないことはない。それでも、それはそれで、緊張はする。
しかし、それにしても、昨日の続きがどうなるのかが気が気でない。
集まった親子は、どうだろう100人ほどだろうか。もう少し人数はいたかもしれない。ただ、いずれにしても、それが多いのか少ないのかはわからない。僕以外のみんなは流石に手慣れている。
本番当日の予定されていたいくつかの紙芝居の全てが順調に終わっていった。僕は大したことをするわけでもなかったので、心配をよそに案外問題なく終わってしまった。全ての紙芝居が終わり、ステージ上にスタッフ全員が並んだ。
(えっ並ぶものなんだ・・・知らなかった)
それぞれの役割を終えたスタッフ一同が一列に並んだところでお客様からおしみない拍手をいただいた。
(こんなことになるって言っておいて欲しかったな。こんなこと知らないし。もう動揺しなかない。何がおこっているのか考える余裕もない。それにしてもみんなよく堂々としていられるな)
皆は当たり前のようにそう振る舞っていたのだから、そうするのがいつもなのだろうと割り切って、僕は列の一番はじにならんでいた。やることがないので、客席をずっと見渡していると、一番後ろの席に親子連れでもないスタッフでもない、中年のご夫婦の姿が見えた。
(なんとなく周りの人とは違うような・・・なんだろうあの雰囲気は。誰なんだろうか?)
しばらくするとそのご夫婦の奥様が、座席を立ち上がってステージ上のスタッフの列に歩み寄ってこられた。その手には花束があった。
(えっと、何がおこっているの?また何が起こっているの?ちっとも状況がのみ込めない)
ステージの端に立っている僕から、反対側の端までを見渡してみても、みんな表情をかえず、特に何かするようでもない。これはつまり、その奥様が近寄ってくることは、想定できているということなのだろう。そのお子様の動きに合わせるかのように、会場内から何人かが座席を立って、花束を手にステージに歩み寄ってこられる。
(そういうものなんだろうな)
もう割り切るしかなかった。しばらくその様子を眺めていると、最初に座席を立ち上がったその奥様は、高島さんの前に歩み寄って、手に持っていた花束を渡された。
(えっ、誰?)
ただでさえ状況をのみ込めていないだけでもかなり動揺しているところに、高島さんの花束が渡されたことで、かなり混乱してしまっていた。一言二言、会話をされた後、その奥様は向きを変えて、ご主人らしき人の隣に戻られた。




