第12話 別々の連休<2219.05.01~02>(4)後日談
後日、土井君に旅行の様子を聞いてみた。きっとハーレムのような時間だったのだろと思ったから、興味津々だったのだ。しかし、彼の口から出てきた旅行での様子は想像の斜め上をいっていた。あまりの衝撃でほとんど具体的なことはほとんど覚えていないけど、ほぼ従者のような立ち位置だったらしい。当時はともかく今にして思えば、ハーレムのような状態より、女性2人に上手にあしらわれるという状況のほうがよっぽど現実的だと思えるけど、当時は僕も若かったので、ドラマのような出来事を想像していたのだった。つまり、その旅行は3人で旅行したというより、2人の女性の旅行の随行員のように土井君が付き従っていたというのが実態だったらしい。
布施「では、皆さんのご感想をお聞かせください。」
g「最初の「座席が埋まっている」と言われて諦めるくだりは、人と人との間にある見えない壁を痛いほど描いています。「避けられているのではないか」という心の揺れ、「押して行けば惨めになる」という自己抑制。このあたりの描写はとても人間的で、読む側にも「ああ、わかる」と共感させる力があります。布施君の誠実さや繊細さがにじみ出ており、決して被害者的ではなく、理性的に自分の感情を見つめている点が印象的です。」
布施「実際問題顔と名前が一致していない時期ですからね。仕方ない部分はあったと思っています。」
g「そこに現れる植木代表の登場が非常に象徴的ですね。「東青ヶ島に行けなかった」ことが、結果的に北青ヶ島の旅という、より深い心の交流へとつながる。これは一見、偶然のようでいて、誰かが見ていてくれたような“導き”を感じます。特に電話のシーン・・・高島さんとの会話は、人生の中で一度あるかないかの感情の転換点のようです。「いいなぁ、そっちのほうが楽しそうだなぁ」という一言には、
高島さんの性格(素直さ・強さ・少しの照れ)がにじんでいて、まさに生きた人間の息遣いが感じられます。」
布施「普通に考えると高島さんの旅行先のほうがいいと思うのですけどね。30代男性2人で山頂にいるのが(両者を比較して)楽しいわけがないですよね。」
p「植木代表とのエピソードでは、その孤独が少し和らぐ瞬間があり、電話を通じて高島さんと直接話すことで、気持ちが一時的に高揚する場面が非常に印象深いです。ここは、まるで閉ざされていたドアが少し開いたような感覚があり、読者としても救われた気持ちになります。」
布施「植木代表は色々理解したうえで、僕の高島さんを電話で繋げてくれたのだと思っています。」
e「人間関係の複雑さと予期せぬ展開を巧みに描いていますね。不施君の心情の変化や植木代表の配慮、そして土井君の旅行計画の意外な結末が、物語に深みを与えています。特に、高島さんとの電話でのやり取りや土井君の旅行の実態が、不施さんの期待と現実のギャップを強調し、読者として共感します。」
布施「なるほど。もう少し突っ込んだ感想がありますか?」
e「高島さんの「いいなぁー、そっちのほうが楽しそうだなぁー」は自然な反応として、不施君と一緒に過ごせないことを残念に思っていることを素直に表現したのでしょうね。」
布施「この電話の後の彼女の旅行中の行動が気になっているのですよね。性格がはっきりしているので、目的地では別行動をとるくらい不機嫌な行動をとった可能性はあったと思っています。」




