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第七十四話

 「恐ろしい話だったな」


 自分の車に向かいながら通行人に自分の存在を自覚させつつも、レフィーユは、もう一度、タンカーに振り向いて言った。


 「おそらく誰にも止められないタイミングだった。


 エドワードが断らなかったら、どうなっていた事やら…、いや、アルマは試したのだろうな。


 もう昔のエドワードかどうか、世間に知らしめたかった。


 それが出来るようになったのは、お前のおかげだ」


 『さすがだな』と感心しながら、一つ疑問が浮かんだのだろうかレフィーユは自分に聞いてきた。


 「アルマには別の役割を与え、アルマの部下どもには新たにカリフを名乗らせるまでは頷ける。


 しかし、それでは再び今回のような事件が起きる可能性はないのか?」


 「それはわかりません。


 ですが、しばらくはほとぼりが冷めるまでには時間が掛かるでしょうし、下手に動けば何かしら疑いの目を持つのが今の世の中ですからね。


 彼等には日記帳を待たせて『日記帳を取り戻したのはカリフだ』なんて名目を持つのが精一杯でしょう」


 「それに『本物かどうかの役目をシャンテにやらせる』というのにはどういう狙いがあるのだ?」


 「シャンテに対しての世間の反応を和らげるというのが狙いなのですが。


 まあ当然、そこで裏工作が行われないか睨みを聞かせるのはレフィーユさんの役目ですが、お願いしてもよろしいでしょうか?」


 「それくらいの事くらいはやってのけてみせるさ。


 だが、そしてアルマにアイーシャの行方を捜させるか、お前がそこまで見通しているとは…。


 お前のその慧眼(けいがん)、恐れ入るな」


 「え、アイーシャさんって、行方不明だったのですか?」


 「知らなかったのか?」


 「てっきり部屋に閉じこもっているものだと思ったから『エドワードさんとアイーシャさんと話し合う機会を与えてほしい』と頼んだのですが…」


 レフィーユは、呆れたように肩を竦めたが、そのため息をつく様はそれほど気にしてはいないのだろう。


 「まあ、情報は制限されていたから、仕方がない…か…。


 さて、困ったな。


 お前は色々と手を尽くしているようだが、私はどんな事をさせられるのだろうな?」


 「どういう事でしょうか?」


 「核弾頭のある施設を教えた、先祖を持つ私だ。お前はどんな罰を私に与えるかと思ってな?」


 「レフィーユさん、言いませんでしたか、私はそんな事を気にはしませんよ。


 ま、まあ、私としては、七色同盟の誰がなりすませているのかが気にはなってますがね?」


 「ふっ、(ひかり)に存在しない色を当てるのにそんなには時間が掛からないはずだ。


 それに結局、私達の先祖が核によるテロを起こした事には変わりない…」


 「ですが、おかげで廃核、廃戦を招いた…」


 「簡単に言ってくれるモノだな」


 「ですが、それでいいじゃないか、貴女がどれだけ落胆しているかはわかりませんが、残念ながら私は二千年前に起きた事件を裁けるほど大した人間ではありません。


 大事な事は、忘れない事ですよ」


 「忘れない事?」


 「『事実』だから、なのでしょうね。


 どうして日記帳は改ざんされずに残ったのか、確かにその仕えた人が裏切られたと思って殺人に至っても『事実』だから。


 良心があったから、改ざんされなかったと思えてならなかったのですよ。


 改ざんしないのは、自分も後悔があったとか…。


 その世代が増長して、今みたいに調子に乗るようなことがあるから、改ざんが出来なかったと思うのですよ。


 そう考えると、私は貴女を裁く事なんかもどこにもないと思えるのですよ。


 それは理由になりませんか?」


 レフィーユは何も言わずに、自分のいう事を聞いてくれていた。


 そして、ため息をつき。


 「…どうして、私の知っている男というのは、遠回りな道を選ぶのだろうな。


 お前にしても、エドワードにしても…」


 エドワードはオズワルドの事業危機を多額の支援で救ったらしい。


 『七色同盟だから、理由はいらない』


 そう言って、アルマから聞かされたであろう事実を受け入れながらも…。


 それを知るのは、後の事になるがレフィーユは自分を見つめて答えた。


 「いつでも言えばいい、お前なら私は奴隷にでも何でもなってやるさ」


 「まるでゲームような言い方ですね?」


 「ふっ、何のための回覧板騒ぎだと思っている?」


 「なら、貴女にいつも付きまとっている人を慰めるとうのはどうですか?」


 「私としては、放っておきたいのだが?」


 「ですが、私達が出来るのはコレくらいな事しかできませんよ」


 するとレフィーユは肩をすくめながら答えた。


 「ふっ、まったくだ」


 そう言って、レフィーユは車のエンジンを掛けた。


 ……。


 そうして、全てが終わり数週間が過ぎた頃。


 白鳳学園の生徒達と一緒に映った写真立てを眺めているエドワードに一通の手紙が届いた。


 『こんにちはエドワードくん


 ある人から頼まれた探し物が見つかったので、簡単な挨拶は省くよ。


 アイーシャは見つかった。


 すぐにでも会わせてあげたいけど、ボクは思う限り、彼女はキミに合いたがらないだろう。


 彼女は今、生まれも家柄も両親に剥奪された。


 ただ一人、生き続けようと覚悟している。


 それこそ今のキミが、自分の名前から逃げないと覚悟を決めた以上に…。


 もう出会う事もないだろう、でも、キミに今を捨てて、彼女と向き合う覚悟があるなら…』


 その先は破られていた…。


 レフィーユはエドワードの行方の捜査に関わって欲しいと、捜査を頼まれたが…。


 協力する気など、どこにもないだろう…。


…おしまい。

どうも高速左フックです。


「2nd」終わりましたが…。


長かったですね、すいません。


これを書いている間、様々な事が、あったせいもありますが単純に作者の力不足です


まどろっこしくて、すいません…。


暖かい目で見てくれれば、幸いです。


次回もそれなりに頑張りますので、今後ともよろしくお願いします


 感想もお待ちしております、でわでわww



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