第四十六話
明けましておめでとうございます
そして、アルマは覆面集団の狙いを仮定ながら言うが、それに反論したのはオズワルドだった。
「馬鹿馬鹿しい、どうして私なんかじゃなくて、あの役立たずの西方術者なのだ?」
「根拠はあるよ。レフィーユ、今回あのタンカーを調べようとしたのは誰なんだい?」
「アラバだ。
『ビルの火災で出てきた、身元不明の死体は、お前が倒した覆面集団の死体かもしれない』
なんて言われたモノでな。
実質、疑わしかったが、オズワルドに頼んでワールドゼロから取り寄せたトコロ。その国の歯の医療履歴の中から、人物の名前が特定できたのでな。
そこであのタンカーも捜査の対象に入ったのさ。
…という事は、それが原因というのは高いな」
アルマは笑みを浮かべ、笑いながら答えた。
「当てずっぽうって、時折、真実に近い場所を打ち抜くから、影の組織にとってやっかいな代物だよね。
あの集団が、それが原因で彼が狙おうとしたのなら、可能性は高いかもしれないね。
さすがキミの見込んだ男だよ」
「何が見込んだ男だ。あの西方術者が、そんな余計な事をするから、危険な目にあったのだろう?」
「どうかな、彼は自分で動いていた結果じゃないか。
キミはただ何もしないで、部下の報告待ち、聞いたけどレフィーユの周りの人間にお金をちらつかせて、彼女の動きをちくいち報告するように買収したそうじゃないか?
未だに彼女に付きまとっている男を、キミの手足のようにあつかっているのはいい証拠だよね。
だから、私達に包囲されるなんて目にあったりするんだよ。
ま、ボクから見ればキミなんかより、彼の方がよほどいい男だと思うけどね」
「何ぃ、私は七色同盟の中心に位置する人物だぞ?」
「だから、何。歴史の教科書にも載るような人物だというのかい?」
「そうだ、私が成そうとしているのは、そう言う事だ」
「2000年に渡って、封印されていた日記帳を読む事で平和の尊さを世間に大々的に発表する事でかい?
こっちから言わせてもらうけど、それこそ『馬鹿馬鹿しい』よ。
ボクはそんな『歴史』より『天然記念物』を眺める方が好きだよ」
「何の事だ?」
オズワルドには意味がわからなかったが、レフィーユには意味がわかったらしく。
「ふっ、言い当て妙だな。
だが、私もアレらの狙いは何となくは、アラバが狙いだったと思っていた。
そこで一つ気になるのは…。
あの集団は『知っている』のか?」
「知らないのじゃないのかな、知っていたら、とっくの昔に脅されているなりされていると思うよ?」
「とっくの昔に…か、アルマ、随分とあの集団の事を知っているようだが、お前の狙いは何だ?」
「言っただろう、ボクも調べていたとね」
「だが、お前はその集団の事を知っていた、そこに行けば襲われる可能性がある。
そんな危険を冒してまでアルマ『何を』調べようとしていたのだ?」
「どうもキミには誤魔化すというのが効かないらしいね。
いいよ、教えてあげよう。
ボクはあの集団の『ボス』に会いたかったのさ」
その一言に、レフィーユは手を組みなおしてアルマを見つめて言った。
「私がやってきた時には、いなかったが?」
「それはキミがやって来たのを察したんだろうけど、そのまま帰って行ったんだよ」
「それで、その特徴は?」
その時レフィーユは自分の言った事にため息をついた。
「どうしたんだい?」
「またお前が『キミ達が考える事だ』と言ってきそうだと思ってな」
「良く知ってるじゃないか」
声を曇らせながらアルマは笑うが、何か思いついたようにある『提案』を出した。
オズワルドは当然、反対したがこのままではラチが明かないのが目に見えていたので、こう言った。
「良いだろう、但し、条件がある」