第四十五話
「そこまでよっ!!」
そんな中、セルフィ達がやって来た。
それをみた覆面達の一人がさすがに適わないと思ったのだろうか、手を上げた。
取り囲まれる前に撤退をしようというワケだろう。
「私達は追います、セルフィさんはエドワードさんをっ!!」
そう言い残し、ヒオト達はセルフィを残して走り出した。
「大丈夫、怪我は無い?」
「セルフィさん、追っていった人達に悪いですがあちらでアルマさんがいるのですよ」
「ふん、相変わらず人の事を心配するのね。
心配しないで、姉さんが行ったわ」
その時である『ドン、ドン』と鈍い音と爆発音が連続で聞こえた。
「なんですか今の音は?」
エドワードは聞いてきたがセルフィは苦い顔をしていた。多分、自分も顔もセルフィと同じような顔をしていたと思うが何とか言った。
「…とにかく今は安全を確保しませんか?」
聞いたことのある『証拠隠滅の音』にセルフィは頷いて、とりあえず自分達はこの場をレフィーユに任せる事にした。
その後、学園に帰ってきてわかった事だが、レフィーユは覆面集団を取り逃がしたようだが、負傷をしていたアルマを保護をする意味を込めて確保をしたらしい。
「ふざけるなっ!!」
しかし、その扱いは体罰的だった。
オズワルドの怒声が合図だったのだろうか、直属の警備員の一人が、拘束着で身動きのとれないアルマの髪を引っ張り叩き伏せていた。
「け、けが人に、随分な扱いをしてくれるじゃないか?」
「じゃあ、真実を言うんだ。
アルマ、どうしてお前は私のタンカーに潜入して来た?」
「だから何度でも言うけど、ボクは『調べ』にやって来た。それだけだよ」
「嘘をつけ、お前はレフィーユの命を狙いにやってきたのだろう?
前の時のようにな」
「ちょっと、矛盾してないかな。
どうして治安部がまわりにいる状態で、そんな危険を冒す必要があるんだい?」
「じゃあ、私の命を狙いにやってきたのだな?
最初、お前はレフィーユを狙おうと思った。だが、今日、偶然、私のいるタンカーはレフィーユが調べる事を知ったお前はターゲットを私に移した。
そうだろう?」
「馬鹿馬鹿しい、何でキミを狙わないといけないんだ?」
「口の利き方に気をつけろっ!!」
「迷推理ってのを聞いたことがあるけど、それじゃあ珍推理だ…っ!?」
再度、警備員に殴られ、飛ばされそうになるがアルマは答えた。
「…じゃあ、言わせてもらうけど。
『偶然』なんて暗殺で最もしたらいけない事だよ?
証拠を残さず、痕跡も残さなかったら、なおよし。この場合、ボクが正しいと思わないのかい?
それにボクは『調べ』にやって来たのに、まるで待ち構えていたかのようにいた。
あの覆面集団が、なんであそこにいたのだろうね?」
「ふっ、狙いはお前だったと言うのかアルマ?」
するとレフィーユが入ってきた。
「レフィーユ、今は私が取調べをしているんだ。
ここは任せて、キミはあの魔道士を…」
「それにしては随分な、扱いをしているようだが?」
「殴る蹴るの暴行が、この人達の真実の追求のしかたらしいよ?」
余計な事を言うようアルマはニコリというが、レフィーユは一瞥をして、警備員を睨みつける。
そのままオズワルドを睨みつけ席を退かせると、そこに座るとアルマが言った。
「待っていたよ、レフィーユ」
「すまんな、お前を保護しないとそのまま殺されそうだったのでな。
それでさっそくで悪いが『狙い』は何だったのだ?」
「随分と曖昧だね、どっちの事?」
「お前の狙いと、その覆面集団の狙いだ」
「ボクは調べにやってきた」
その時、オズワルドが何か言おうとしたが、レフィーユは話が混乱すると判断したのだろう。手で制して、アルマの会話を促した。
「…いい心がけだね」