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第四十三話

 「カリフのアルマだな。


 七色同盟の仇をなすモノとして、お前を見逃すわけにはいかん、ここで死んでもらおう」


 広い広間に覆面集団、視線を泳がせながら人数を数えると15人くらいだろうか、数えていた事を誤魔化すように肩をすくめた。


 「随分とここに長居をするなと思いましたが、アルマさん、これも貴女の狙いどおりですか?」


 「それは勘ぐりすぎだよ」


 「何をこそこそしている、シュウジ・アラバ、お前もだ。お前もここで死んでもらう」


 「おや、それはどうしてですか?」


 「本来なら目などかける必要も無いが、お前が我らの障害になると判断したからだ」


 「どうやら、このタンカーにアルマさんの部下達を殺した。貴方達が隠れているというのは間違いないようですね?」


 「うるさい、お前のその知りたがりが自分の首を絞めたと思うんだな」


 「知りたがり…、貴方達は私をただの知りたがりだとそう思っているのですか?」


 「どういう意味だ?」


 遠回しに『自分が漆黒の魔道士だと知っているのか』と聞いたのだが、どうやら自分の事を知らなかったらしい。


 その態度にアルマは笑みを浮かべていたが、これ以上、遠回しに聞くと何かしら疑問に思われそうだったので、顔をしかめつつ言った。


 「それならエドワードさんは見逃してくれませんか?」


 「ア、アラバさん!?」


 驚くエドワードを尻目にアルマは言った。


 「随分と軽率だね、コレらがそんな提案を受け入れると思っているのかい?」


 「前に七色同盟の血族であるセルフィさんを見逃した事がありますので、エドワードさんは特に大丈夫だと思います」


 「そうなんだ」


 するとアルマは素早くエドワードを羽交い絞めにした。


 どうやら、アルマはその事を知らなかったらしい。


 「大人しく道を譲るんだね、動くとどうなるか解るだろう?」


 身体を密着させて、カタールをエドワードの頬に突きつける。


 「くっ、卑劣な…」


 「それはキミ達に言われたくないね、キミ達はボクの仲間の居場所を聞く時に拷問に掛けたそうじゃないか?


 仮にもキミの拷問に掛けた二人の片方は女だったんだよ?」


 「物事というのは時に冷酷に進めなくてはならんのだ。


 だが貴様、エドワードは何者なのか知らないとは言わせんぞ?」


 「七色同盟の一人…だよね、だったらボクでも冷酷に物事を進めさせてもらうよ」


 「おい、貴様、アルマを止めろ」


 「止めろと言われましてもね。一応、これでも私も命を狙われてますからね」


 エドワードと視線が合い、彼らの見えないトコロで片眼を瞑りながら言った。


 「アルマさん、止めた方が良いですよ?」


 「おや、ボクは最良の手段をとったつもりなんだけどね。


 ボクがここで止めたら、多分、彼らは攻撃を仕掛けてくるよ。


 ボクだけじゃない、キミにもね。


 これで助かろうなんて思わないほうがいいよ?」


 「そんなの知ってますよ。ただ貴女は、彼らと違う…。


 貴女は約束は守る人間だ、少なくとも私は彼らほど信用はしているつもりですがね?」


 「…他に方法があるの。間違いなく、助けは来ないよ?」


 「ああ、それなんですがね。アルマさん、私は『切って』ないのですよ」


 「切ってない?」


 「あまり強く言いたくないのですがね。つまり、ここで粘れば粘るほど…。


 大丈夫なワケです」


 「あっ」


 最初に自分が腰のポケットに手を当てるとエドワードが、自分が何を言いたいのかわかったらしい。続いてアルマも気付いた。


 「なるほど小ざかしい。彼女が手を焼くわけだ」


 「お前達、何を言っている?」


 「アルマさん、もう一度、聞きます。


 ここは機関室ですか?」


 「そうだ、機関室だ」


 ニコリとしたまま、視線を退路に送った。


 「間違いないですね?」


 「キミもしつこいね、間違いないって言ってるだろう」


 幸い自分達の来た道は、まだ誰もいなかった。


 アルマはもう拘束する必要もないだろう。エドワードの肩を押して走らせて言った。


 「退路はボクが守る。だからキミ達は早く!!」


 その瞬間だった。


 『掛かれ』と言う号令とほぼ同時に金属のぶつかり合う音が聞こえた。


 「お願いします」


 そう言って、一旦はアルマに視線を送って自分も走り出した。


 この後、この時自分が感じた疑問を思い浮かべながら。

 

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