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第三十五話

 その宴会の後、ビルにて爆破による火災が発生したので、無視するワケにはかないのでセルフィともども出動した。


 幸い周囲に被害も無くその一室が消失するほどではあったが、その中に焼死体が発見されたそうなので警察が先に入り、立ち入り禁止の黄色いテープの前で各自に指示を出し、腕組みをしながら一息ついているとセルフィがやって来て言った。


 「姉さん、ごめんなさい、まさかあんな事になるとは思わなかったわ」


 「ふっ、気にするな、まあ、何事も一歩一歩だ。


 あの男も、あいつらもこの程度で機嫌を損ねる連中ではないさ。


 私からしてみれば、アイーシャも、もう少し社交的になればいいのだがな」


 思わずセルフィが困ったような顔をしたように、あの後、アイーシャの態度は悪かった。


 「ア、アイーシャも食べたら、おいしいよ?」


 そう言いながらエドワードは遠慮がちに向かいのこちらに小皿を差し出すが、アイーシャは一向に態度を変える事無く、顔を明後日の方向に向けていた。


 それを見かねたサイトはあえて軽い調子で向かいの席に座っていたのであえて言った。


 「なあ、夫婦なんやから俺の席と変わろうか?」


 だが、それが引き金となっていた。


 「ふさけないで!!」


 家庭科調理室全体にそんな声が響いたので、さすがに私もなだめに入ったが。


 「親が勝手に決めた結婚じゃなければ、誰かこんな情けない男と結婚するものですか…」


 なだめて落ち着きに入った、そんなつぶやきがエドワードに突き刺さったのが見えた。


 「おい、お前言いすぎだろう?」


 レオナが見かねて言う、しかし退く気は毛頭ないアイーシャはすぐさま。


 「言いすぎモノですか、この前なんか、ご両親に相談していたしていましたわよね『あなた』。


 何をするのにも、ご両親に聞かないといけないなんて、どこまで子供なのよ?」


 その言葉にエドワードは黙ったまま俯いてしまった。

  

 「それにしても、あそこまで言われて普通は怒るわよ?」


 「ふっ、人間には怒る事の出来る人間と、怒る事の出来ない人間がいるそうだからな。


 エドワードがそうなのだろう。


 ただ、環境によってはそれは良きにも悪きにもなるがな」


 「そうね、小、中、今に至るまで同じ学園に通ってて。


 カリキュラムの関係上、東方術同士であったため、エドワードとアイーシャが手合わせをした事もあったそうだけど、そこでもあの人負けたらしいから、それが余計に立場なくしてるのよね…」


 さらにエドワードの東方術は私と同じ『サーベル』である事がさらに立場をなくす事に拍車を掛ける事になるのは、目に見えていたので思わず。


 『ふう』と同時にため息をついてしまった。


 そして、こんな嫌な空気をうち破ったのは…。


みんなで~叫ぼ、愛の~歌~♪


そんな間の抜けた歌声のアーティストの歌う、アラバの携帯だった。


 「あっ、先生…」


 どうやら先生だったらしく、そのまま教室の外に出て行き対応に出ていくのを見送る事となったが、アイーシャの苛立ちの矛先は今度は私に向かっていた。


 「レフィーユもこんな連中の宴会に出向くのはおやめなさい。名前にキズがつきますわよ?」


 嫌味のように私に向かって言ってきたが、意外だったのはそこにいたセルフィだった。


 セルフィがアイーシャ相手に啖呵を切ったのだ。


 「あいにく様、私の家は昔から『そんな名誉に頼るな、自分の力で名誉を得ろ』って言われてるのよ」


 そんな事を思い浮かべた性か、ビルを見上げていたセルフィに少し聞いてみたいことがあった。


 「ふっ、アラバが聞いていたら、何かに気付いてたかも知れないが…。


 セルフィ、お前は『七色同盟』としてのアルマフィ家の事に関して『気づいている』のか?」


 セルフィはさすがに周囲を見回し、黄色いテープの先を見ているのだろうか、遠い目をして答えた。


 「何となくはね、自分で言ったのも何だけど、あの台詞って、アルマフィの良いプロパガンダじゃない。


 私から見れば、名誉を当てにするこの家が、そんな名誉な事を否定的になるなんて前からおかしいと思っていたわ。


 そんな姉さんはどうなのよ?」


 「私は親から聞かされていたからな、まあ、アイツには聞かれてない事が幸いだったと思いたいな」


 「姉さん、私も出来るだけ気をつけるけど、特にあの魔道士に知られるのだけは避けてよ?


 場合によっては、オズワルドよりタチが悪いんだから」


 少し、笑みを浮かべて『そうだな』答えると、自分の視線の先に知っている人物が見えた。


 セルフィも釣られるがまま、その人物を捉えて言った。


 「あら、あれ、チェンバレンじゃない?」


 その男は一人で、その爆破現場を遠目で覗き込むように見ていたが、私達の存在に気付いたのか手を振りながらこちらにやって来た。


 「いやー、オズワルドに『事件に関係ない』なんて言ってたけどよー。


 一応事件だから気になったからよー、ちょっと寄ってみたんだー」


 そう言って、しばらく間、チェンバレンと話し込む事にした。


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